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ダレカノ唄
夢を見る。
見えるものは焼き尽くされてもはや何も存在しない場所。
感じるものは皆無。
結局何一つわからなかった。
世界を滅ぼしてまで手に入れたのは虚無。
ならばあとひとつ、経験したことがないことをしよう。
そして、━━━俺は命を手放した。
目が覚める。
見えるものは闇。
目を開けているかどうかも分からない。
感じるものはぬるい温度。
何も分からない。
ここがどこか、俺は知らない。
「━━━♪」
時折聞こえる誰かの歌声だけが、自分の存在がここにあることを俺に教えていた。