第一部 ニートな俺たち 第8話 “世界創生”
“....酒を買ったから、一つおもしろい話をしてくれ、って? ......ハハッ..、アンタ...、おもしれえな...。こんなしょぼくれたジジイの話を聞きたいときたもんだ?”
とあるバーで背筋が65度くらいに曲がった質量がある白髭を蓄えた60、70代くらいの老けた爺さんが、面白い話を教えてくれ、と言った私に質問を問い返し、厳格な表情からは悪鬼が凄んでいるように見え、バー内の温度が3度くらい下がり、空気が重くなったように感じた.......。その目には、あからさまに、こちらの身分を怪しんでいるように見えた.....。
“....一体、何が目的だ....? .....!”
私はすぐに、バーにいる爺さんに向かって、自身の右腕にある特徴のある紋章をよく見えるように、右腕にあるシャツを捲って、見えやすいようにしっかりと見せた.....。
爺さんは私の腕を見ると、急に黙り込み、重いプレッシャーによって重かった空気と下がった温度に変化に生じ、面白い話を聞く前の部屋の空気に戻っていた.....。
....そして、爺さんは私の目の前で、大きな溜め息を尽きながら、話を切り出してくれた...。
“......チッ..、...なるほどな...、そういうことか...。...ハアッ..、メンドクせえな...。まあ、分かったよ...。こんな、襤褸屋台で高い酒と料理を頼んでくれた例だ....。話してやるよ....。”
“昔々(むかしむかし)の話さ....。そうだな...。分かりやすく言うと、今よりも2000年前くらいの人が文明を築く前に作ったとされる文明の話だ....。ようは、今の文明よりも前の話だな....。それでは,始めようか....。”
~~~某企業の跡地・大和帝国 東京都池袋跡地、汚染地区“イザナミの離宮 二ノ塔 ”~~~~~~~~
「...視界オールクリア。障害及び障壁、範囲6キロメートルに敵対反応なし。スキルカードオープン。
“テレパス”発動。.....報告を開始する。現在時刻は午前8時00分19秒、イザナミの離宮、二ノ塔では障壁結界の後、魔術の行使した後すらない...。生物がいた痕跡は残ってはいるが、ここいらにいた魔獣や星獣の後だろうな....。後で“魔獣録”のデーターを送っていただきたい。」
廃墟となった池袋駅の近くにその男は銃火器を持った武装した状態で立っていた。男が現在立っている池袋駅口前は荒れており、ところどころ壁や改札口に苔や蔦などが生えており、その近くにあるビルもはえて大部分に苔がはえており、ビル全体の窓ガラスも割れて、建物自体も半壊状態で傾きながら立っている。
他の周辺の建物もほとんどが半壊の状態で、ビルとして原型はとどめてはいるが、右斜めに傾き、上半分が右に寄って崩壊しているもの、上半分が半分し、その建物が全壊した様子が見えるものがある....。少しガラスの破片がのぞいている四角い窓枠からは中の会社の廊下部分にタイル部分の隅に苔がびっしり生え、あちこちに乱雑ではあるが、雑草らしきものが生えているのも見える...。
そんな殺風景の風景を暫くの間、男は警戒しながら眺めていると...、男が着ている部隊に配布された四角いタブレット型でタッチパネル搭載付きの特殊魔術反応装置“龍神の銅鏡”に反応があった。
「....こちらアルファ・ハートワン、20㎞の範囲、南西の座標46、21度、....目的地検索....、履歴、2015年以前に建っていた建物の内部、生物保存研究室と判断....。研究者名...!?...いや、オペレーター・ドクガ、なんでもない...。ただ、...予想外の研究者の名前があったから、少し驚いただけだ.....。これから...、通常通り、ミッションを開始する.........。オーダーミッション...、作戦名“タルタロスパーツ・パンドラネットワーク”回収作戦を実行する....!!」
....その10分後、建物内に入った俺を待ち受けていたのは巣でに廃墟と化した研究室所と思われる内装の数々が置いてある物品のフロアにたどり着いた....。
....研究室内は散乱し、フラスコなどの実験器具が割れたものがちらほらと見える....。机の上には大量のレポートと思しき書類の山がごちゃごちゃに混ぜて置かれている....。
正直、頭が痛くなるような並べ方だ...。何が何だか分からない...。研究室内の床にはおびただしい血痕の後も残っている....。ちょうど床に落ちていた血痕が報告書と思しき書類を拾い、ざっと目を通してみた...。
.....正直に言って、胸糞の悪い研究内容が書かれていた...。
...それも仕方がない..。ここは、“サード世界AI暴動戦争 (ぼうどうせんそう)”の舞台の裏でもう一つ起きた残虐な戦争の原因となった“第3次世界魔術異能大戦(だい じせかいまじゅついのうたいせん)”の原因の一つとなった企業“アンダーグラウンド・ヒューマンネットワークソリューションの支部の一つである“ネメアーの獅子”というギリシャ神話に出てくる怪物の名を持っている。しかし、今はそれよりも優先すべき事項が存在する...!!
俺はそう思い、持っていた報告書を床にたたきつけて、研究室の書類で埋もれた机の上になにかタルタロスパーツに関する重要な物品、書類があるかどうかを探した....。そして、その中にボイスレコーダーが存在してした....。
俺はオペレーターに確認を取った後、
“音声記録データーを再生します....。再生まで3,2,1アクション.....。
ガタッッッ...................。
・・・・・物語る舞台は2016年に“AI暴走事変”が起こったことから始まる....。あの事件さえなければ、このような終末を迎えることもなかった...。しかし、自身に起きた過去を変えることは出来ない。そして、私たちはそのまま、地下で深い深い眠りについた....。
......この記録を見る者よ...。君がどのような人物かどのような人格かは私達は知らないし、これから知りえることもないだろう...。
しかし、...君がこの記録を見ているのならば..、我々がここに記録を残すことは無駄ではなかったのだろう....。だからこそ....、君たちに未来を託そう....。この“タルタロスパーツ”は残しておく...。慎重に使うことだ....。さもなければ、魔術世界でいう“魔王の襲来”となるのだから....。
....この世界を託したぞ...。魔術型人工知能 “パンドラネットワークシステム”を頼んだぞ....。
プッツン.....、ザッ...ザッ~~~~~~~~~~~~~~......................................。
.....音声記録を終えました。オルフェウス・システムズ音声記録データー、2017年8月10日15時28分記録終了します.....。”
......プツッ、とボイスレコーダーに記録されていた音声記録の再生が終わてしまった....。中身は中々衝撃的だったが....、まあ、情報がないよりはましだ...。そう俺は思い立ち、その場を離れようとした。
「.....結局、ここで何が起こったのかの詳細は分からず仕舞いか...。何か他にも分かりやすいブツがあればいいのだが....、しかし、問題の“タルタロスパーツ”がねえとなると....、クソッ!! ここにあれがあると思ったのだが....、期待しすぎたか....。」
そして、俺は、ズボンの左ポケットに入っていた通信機を取り出し、オペレーターに連絡を取った。
「“...はい、了解いたしました....。明智社長には、通信記録を見つけた、と連絡を伝えておきます。
...問題の“タルタロス・パーツ”はどうなりましたか?”」
「....俺たちが求めている“タルタロスパーツ”は、ここにはないみたいだな.....。クソッ、また、無駄足か....!!」
「...口が悪いのは相変わらずですか、“世界の記録者 黒橋 (くろはし)様”、あなたはいつまで経っても...、変わりませんね....。」
....いつの間にか後ろに立っていた兵士帽を被った白髪、白髭を持った老兵士が声を発した。
「“殺戮の浸食型電脳兵器 アルファ・グリーンサイコズム”か....、ファッ〇..!!
...ってことは、アイツがいるっつうことだよな....? あ~あっ、ツマンネエな....。」
俺はそう言い放ち、その言葉に老兵士は一瞬、厳格な表情から“ムッ”と、少しだけ怒りをはらんだような表情になったかのように見えたが、徐々(じょじょ)に口元にはニヒルな笑みを浮かべていき、“実に皮肉だな”、と一言呟いた後、いつも通りの厳格な表情に戻って、俺に対して、この先の警告ともとれるような言葉を言い放った...。
「....しかし、この先には、ここの施設のメインでもない予備管理棟に直接繋がっている階段に当たりますね....。....行きますか....?」
「クソが....。いろいろと見回って歩き疲れてんのに、また1周歩き回る羽目になるのか.....。おっさんの身体としてはキツイな....。」
「....後で、カフェ・愛欲の触手で触手店主のおススメカフェラテ、奢りますよ...?」
「いらねえよ?!...ってか、触手店主ってなに??!店名もおかしいって!?」
俺は老兵士の言葉の内容に驚いて早い切り返しをしてしまった....。
しかし、老兵士は、俺の言葉に老兵士はフッと笑みを浮かべると、俺の先をトタトタと奴が気に入っている自慢の黒の革靴で早歩きで歩いて行き、俺の目の前まで行くと、途中で立ち止まり、俺が“どうした?”と奴の行動を不審に思い、低い声にして、脅すように聞くと、奴は唐突に手を大きく広げて、ニヤニヤと怪しい笑みお浮かべながら、演劇風にかつ、大袈裟に奴が普段言わない台詞を言い放った。
「さあ、スリルを味わいに、この施設の秘密を暴き、冒涜しにいこうか...!!!!」
そのとき、老兵士の男の目が一瞬、赤く輝いて見えた.....。
.......ただ、俺の目の前に立つのは正直邪魔なので、やめてほしいのだがな...。
〇今日のメニュー
・悪意の弾丸煮込み鍋
・気まぐれニートのカチコミ専用飯
・絶望の脱獄犯用カチコミドリンク