~第二部 下層フリーター爆誕編~ 第19話 空虚な私とスポットライト
...2ヵ月空いてしまい、すみません。活動は未だ不定期ですが、更新できるよう頑張ります。
「...それでさー。わたし、マネージャーに言ったわけ~。もう、こんなストレス多いスケジュール辞めない??ってさ。~でも、マネちゃんさ。ダメの一点張りでさ。もう困る~、困る~~。」
...目の前にいるこの厚かましいピンク髪の女は私に対して、先ほど前にうっとうしいものに絡まれたかのように口をへの字に曲げながら、私に対して、軽い口調で最近起きた日々の愚痴を吐き出している。いやいや、言っている彼女の顔は頬をすこしプクッ、と膨らませながら、そう言い放った...。
...ここは電脳空間にある”とある図書館”での出来事。水族館のような大きく広い水槽に泳ぐ魚が見えるこの図書館では、私が静かに本を読んでいた時間から数時間経って、利用者が増えてきており、いたるところに様々なアバターが目に入る...。
頭が獣っぽいやつや、2次元でよくいるドットみたいなものや、全身着ぐるみのようなアバターが私たちの視線に入りつつ、ここらの図書館の本を物色している様子が見て分かった。..その口々から出てくる話題は世間話や最近の趣味に渡るものまで様々な情報が雑音とともに流れてくる...。
...しかし、そんな中で今はこの図書館での一室には私たちが二人座り、話し合っていた...。その一つ一つがくだらない話題ではあるが、友人である彼女にとっては、一応、現状の一部始終を彼女にとって聞きたかったことらしい...。しかしだ。表向きは一応人気アイドルである彼女がなぜ、こんな今では寂れていく一部の趣味人しか来ないコミュニティに来たのか...?
..目の前にいる彼女はアバターでも可愛い仕草なのは彼女が実際に見せうる現実の表の活動やオフ時のときの仕草と何ら変わりない様子でここに立っている...。
むしろ、現実との変化がさほどないのが問題ではあるのだが。コイツはそれを分かっているのだろうか...。まあ、現実では髪色が変わり、何よりそばかすが現実ではないのについている...。
...今目の前にいるこのおバカこと、彼女のアバターは全身がスラリとしたモデル体型で服は白黒とピンクのラインが入ったゴスロリ服を着用していて、その髪色には長い髪先にピンク色であり、小さな黒いシルクハットの帽子をかぶっている。それでいて、そのふりふりの黒いスカートの下にはスラリとした足に縞々の模様にあるピンク色のストッキングを着用している。
そんでもって、甘い美人顔に唇も顎は小さく、まさに小動物のような可愛い系統の顔つきであることが分かっているだけでも、まさしく男に好かれそうでもあるが、性格次第では女の敵にもなりうるタイプの軽薄そうな感じだ。
まあ、本人の馬鹿正直な性格上、その可能性は薄いため、何とか表の活動のグループ内で特に無駄に嫉妬されるわけではなく、何とか細々とキャラが薄くやっているっぽいらしい...。
まあ、全体的に小麦色の肌と合わさって、活発系の可愛いゴスロリ小動物メイドが本人曰く、コンセプトらしい。うん。正直、可愛いには可愛いが私にとっては今そんなのはどうでもいい思考だ。
「...で?愚痴をとにかく私に聞いて欲しいわけね。静かに本を読んでたのに...。」
私は溜息をつきながら、ページをめくっていた本をパタンと閉じて、次の言葉を世間話の疑問として放った。
「しかし、珍しいこともあるものね?最近、アンタ、表の仕事がライブで忙しくてこんな寂れた場所に来ることなんてなかったじゃない?なに?仕事のスケジュールに空きでも出来たの?」
本当に不思議なこともあるものだ、と私はそういうニュアンスで聞き返し、彼女の反応を待った。すぐさま、彼女は私の反応に不満があったのか、片方の肘を着いているのを一気に崩して、机をバンッとたたき、勢いよく立ち上がって、こう言葉を放った。
「仕事のスケジュールはいつも私専属のマネージャーがいるのは言っているでしょ?マネちゃんの計画っていつも完璧でさ。個人の休憩時間も把握してくれるのよね?」
...彼女の目が一瞬、暗く淀んだ目つきになった。.
..かつて、今まで、彼女のこういった目つきと反応は前に見たのだが、あのときは彼女の初めてのアイドルライブのときだったか。または表のアイドル活動でマネージャー共々、忙殺されていたときのことだったような。だめだ。あのときの記憶を思い出そうとすると、彼女に引きづられ、ライブ活動を手伝わされたある意味、貴重で馬鹿みたいなトラウマがよみがえってくる...。
しかも、目の前にいるこの馬鹿は溜息を吐きながら、疲れた残業オワリの会社員のように目のふちにある隈を見せながら、軽く伸びをして、続けてさっきより少し声のトーンを落として、続きの話を始めた...。
「..私のマネージャーのスケジュールが完璧だからこそ、やばいんだけどね?まあ、久々にアンタとの話をするって言ったら、こっちに来るってさ。」
「...アンタ、それって...。」
..そういうのは、先に言及して欲しいのだが?そういう疑問をすぐ返せることもなく、私は反応に困ってしまった。しかし、タイミングが悪かったのか、ついに...。
「お久しぶりです。お嬢様。」
「...はあ。その人をからかう口調を相変わらず辞めてないのね、...錬。」
...目の前にはあのとき、別れた友人が立っていた。
...打って変わって、下層地区ギルド付近。ここに瓦礫を運び終え、ギルドのメンバーと談笑をするおっさんたちと、その隅で縮こまり、現在、椅子に座りながら、ちびちびコップから水を飲む髭を生やした青年がいた...。
「...久々の体力仕事、きちい...。なにコレ。普通に瓦礫ってこんなに重かったけ?」
久々に肉体強化のデバイス魔術を使いながら作業を行ったためか、魔力量、体力とともに消費が激しい。しかも、吐く息が重く、自身の体力のなさに情けなさが出ている。途中で何度も水を飲みに行ったり、汗を流す量が半端なかったり、何度も意識を失いそうになったりした...。
..だが、今現在は満身創痍の状態であり、今や身体はほとんど動かせない。しかし、これでもまだまだ瓦礫があるってもんだから、これ以上やったら、明日は体が動かないのかもしれない、と簡単に予想出来うることだ...。
「..ふん。そりゃ~あ、...そうだ。魔術を使うと一番魔力量を魔術デバイスに持ってかれて、体力的にキツイから、使用する際は気を付けないといけないのは当たり前だろ..?」
"...まさか何だ?お前、下層地区職業支援センターでそう習わなかったか?"と怪訝な顔つきで言い放ち、おっさんが俺の顔を覗き込んだ...。鋭い視線が俺に突き刺さる。やばい。めちゃくちゃ冷や汗が出てきた。なぜか、心臓の鼓動音も極度の緊張のためかバクバクと音が鳴っているような気がした。
「..まあ、でもお前は調停者どもに気をつけろよ?あいつらはお前が下層地区にいるところにいると知ったら、他の人々にそのデバイスを狙われる可能性があることには変わらないし、何なら、今のままだと、住む場所も生活もままならないから、...まあ、数日で売り払われるだろうな。」
...目の前のおっさんが俺の目を視線で刺しながら、俺に厳し気な声で話しかけた。それは今後の下層地区に関するルールを忠告として教えるような口ぶりだった。
...確かに、俺はこの下層地区の住民ではないし、この環境にも未だ慣れていないし、何しろ、こんな体力のなさでは先が思いやられるのも納得がいっている。
..正直、この先の生活で下層地区でやっていけるかがお先真っ暗なため、俺にとっては予想が全く出来ず、どこに行っても、その対応力の無さと自身の無力感だけは身に染みて、今では理解できる。いや、今でも理解出来ていないかもしれないが、今は...。
「...それでも俺はここで生活していくしかないんで、どうにかして生きていきたいです...。」
「..ほう?それでは、この後、どうするか知っているか?」
俺はそう言ったおっさんの顔を真っすぐ見つめて、口を開き...、
「なので、どうか俺を養ってください!お願いします!」
「は..?」
...全力で一番人生の中で情けない台詞とともに渾身のジャンプ土下座を行った。その目の前にはあんぐりとまんまるな眼と口を開けたおっさんがいたが...。
だって、こんなフリーターをリトライ中の三十路を超えたやつにお金なんてないのは自明の理だもん!
...下層地区に住民登録してないし、と色んな正当な反論(言い訳)を頭の中で考えていたのだった...。
一旦、別作品のほうを書いてみようと思います。