~第二部 下層フリーター爆誕編~ 第13話 仕事紹介、しかし自身はニートだ...。
おっさんの元上司「..酒とツマミに良いものあるかい?」
おっさんの同期「...そんなことより仕事してくださいよ...。」
...削除された電子掲示板の情報を見てみたところ、下層地区の仕事紹介のところに悲惨な状況と記載しておいた...。
"下層地区、5区カラ20区マデノ大手企業3ツ程、住居カラ工場マデ壊滅ノオ知ラセ、死者数百名ト予想"
...正直、後ろで見ているおっさんの反応が怖いので振り向けないが、現状自身も呆然している。だがしかし、ここで突っ立ててもしょうがないので、とりあえず、おっさんの家族が住んでいる場所に移動することにした...。
「...。」
「クソッ....。早くアイツ等のところにっっ..!!」
...空気が重い...。家族が心配だからか、おっさんの態度が重々しく、滅茶苦茶しかめ面をしながら、ドスドスとした様子で大股で両手を大きく振りながら歩いている...。
..その口からハアハアッと荒い息が漏れながらも、おっさんは前に向かってドンドン進んでいくと同時に、その表情から焦りが完全に見えており、これ以上ない異常事態であることが、このニートな俺にも察せられる...。
「...おっさん。"デバイス式簡易身体強化魔術"を使っているか...?」
おそるおそる俺はおっさんに聞いたが...。いきなり、グルんとおっさんが首を後ろに向けて俺の方を強く凝視しつつ、額に太い血管が3本とも視認できながら怒った表情のまま、言い放った...。
「バッカモーーーーンッッッ!!!んな、燃費が悪い奴使えるわけあるかっっ!!そんな暇あったら、自身の筋肉でどうにかするわっっ!!!」
「...っっっ!!?」
..めちゃくちゃ怒鳴られたわ...。なんだろう..。どうして、こんなに怒られなきゃいけないのか...??そう思いながら、俺は表情を苦々しく歪めながら、前で未だにドスドス歩くおっさんに後ろから問いかけた...。
「...おっさん。..自身の家族が心配なのは分かるんだが、今からどこに行くのか教えてくれ..。マジで今、足腰が痛い...。どこか休める場所を.....。」
..しかしながらも、おっさんは、余裕がない表情で俺に返答を返した...。
「俺たちに今休む暇なぞない...!!」
「..っ!!?」
俺はいきなりの死刑宣告とも呼べる宣言に驚愕しつつも嫌な予感が当たったと思いながらも、足早におっさんに追いつくような速度になるように努めつつ、動かす...。
..しかし、悲しきかな、目の前にいるおっさんがまだ遠くで早歩きで歩いているのが視認出来る...。
"..この現状、俺泣いてもいいっすか...?"と絶望的に憂鬱な気分になりつつも、死ぬ気でおっさんの姿を見失わないよう付いて行こうとする...。
...だがしかし、そんなことを考えていると、いきなり、おっさんがこちらを勢いよく"グルリっ!"と振り向いた。
「っ!!」
その反応に"ギョッ!!"とした俺だったが、そんな俺にかまわず、おっさんの口が勢いよく開かれた...。
「..でも場所だけは教えてやる...。」
そうおっさんは顔を顰めながら言いつつ、足を止めず、そのまま、話をつづけた...。
「..えっ。それじゃあ....。」
疑問に思った俺がさらに質問を重ねると...。
「..ここから後1時間半ほど歩いたら、ガチで古ぼけた酒場みたいな建物がある...。そこで一旦情報を集めて、俺の家族を探す。それからお前の話も通す予定だ...。」
おっさんがこれから行く道を淡々と説明し、そのままスピードを落とさずに足を大幅にしつつ早歩きをする...。というか、さっきから歩きの速さが上がってない..?
「いや...。家族が心配なのは分かるんですけど...。」
..やっぱり、デバイス初級魔術の身体強化を使った方が良いよな...?
いや、今そんな状況じゃないよね....。だからと言っても、この状況でマジでどう話題作ればいいんだ...?
「..あいつら、今マジでどこにいるんだよ..?...この場所にいなかったら...、あとは...。」
そうブツブツ独り言を言いながら、おっさんはその人たちを探した...。
「...これから、マジでどうなんの...??」
...途方に暮れ、この状況に着いていけない俺を置いて行きながら....。
....一方そのころ...
「はあ~~~っっ...。疲れたよ。もうへとへとだ...。」
「頑張ったから今日は奮発するよ~~っ。」
..近くの家等が工場の火災で焼かれ、今や瓦礫の山となった場所に作業服のような服を着た二人の少女がそこで大きなレンガのようなものを力を合わせて必死の形相で運んでいた...。
「おーーーっい、嬢ちゃーーーーっっっんん!!」
「うっせえええええっっっ!!クソじじいーーーっっ!!いま、そっちに向かっとるわ、アホーーーッッ!!」
...じいさんの呑気な大声と前で重い瓦礫を運んだ陽気な赤い長髪の少女のキンキンと鳴る大声が響く...。
正直、大きな音に慣れている私でも本気で五月蠅いと感じる五月蠅さだった...。
そんなことを往々と考えていると、前にいた少女が唐突に休もう、と言い始めた。
"私はまだ大丈夫"と返したが...、
「..いや、大丈夫じゃないでしょ??あんた...。」
その少女は特徴的な吊り目を更に細く鋭くしながら、私に対してそう強い口調で指摘した...。さらに...。
「大体、アンタはね...!!」
...彼女は両手に持っていた瓦礫をいきなり離して、右手の親指を私に対して向けるように示した...。
「ちょっと...!?いきなり、両手を...!!」
..私はそう言っていると...。
「キャアッッ!!」
...私たちが持っていた瓦礫の重さが私だけの方に重さが両手にのしかかったのか、落としてしまった...。
そのおかげか、形のあった瓦礫が細かくなった...。いや...、細かく分散していて、もはや粉々になってしまい、まさかの回収できなくなってしまった...。
「...どうすんのよ..。これ...?」
「...ごめん。」
目の前にいる吊り目の少女は眉毛を八の字にして、声を少し小さくしながら謝罪したのだった...。
...こうして、私たちの時間は過ぎていくのだった...。
----------しばらくして-----------
「おーーーっっい!!今日は一旦これだけにしよーーっっ!!」
むこうで瓦礫を除いていた片手をふっている麦藁帽を被った黒い髭面のおっさんに私たちは呼び止められ、瓦礫を運んでいた手を止めて、一旦ギルドのある木造建物に戻った。
「...疲れたわ...。汗だくだくだし...。」
こちらの友人の吊り目の少女は特徴的なツインテールを少し揺らし、頬を少し赤らめながらもつややかにこちらに視線を送る...。
...正直、確かにおっさん以外にもギルド職員たちも密集してきているので、そりゃあ、ギルド内の温度は高くなる...。
なので...。
「...ちょっと、外の物見用の砦、チェックしてきます。」
「私も~~、同じく~~。」
そう、ギルドの事務職員に伝えて、おっさんどもの野太い、"何だ、お花摘みか?" や"便所にいっといれっっ~~!!"等々のうるさい声援を受けたが、気にせず歩き、物見の高台に何の問題もない形で到着した...。
早速、高台に上り、彼女と台に備え付けられた双眼鏡で下層地区のギルド周辺を見る...。
「いまのところ、問題なし~~っ。南と北は問題ないよ~~?」
「こちらも、東西辺りの周辺は魔物もいないし、辺り一面瓦礫しかない...。生存者の姿も視認できないわ...。」
そう私は彼女に告げて、双眼鏡から目を離した...。しかし、彼女はまだ双眼鏡で気になることでもあったのか、とある一点の方角をまだ見続けている...。
「何かあったの...?」
私は怪訝な表情で彼女を見つめる...。すると彼女はこちらに少々不快そうな表情で顔をしかめながら、私に低い声でこう告げた...。
「...これ。」
彼女は彼女自身が使っていた双眼鏡を私に差し出した...。私はそれを素早く受け取り、彼女が見ていた北の方角を見る...。
「...マジかよ...。」
それを視認した私はすぐさま、高台を飛び降り、双眼鏡で視認した対象の方角に速やかに向かった。その目的の場所にいたのは...。
「...何で帰ってきたのよ、クズ野郎。」
「..心配したのに、そのリアクションはどうなんすかね...。」
私の態度とは裏腹に一番顔を見たくないクズ兄貴が瓦礫の上に満身創痍で傷だらけに何か右腕に抱えながら仁王立ちで立っていた..。
とある酒場店主「...酒をたしなむべきでしょうか?」
とある暴食な青年「いや、まだメインじゃないよ。お昼とも違うさ。」