~第二部 下層フリーター爆誕編~ 第12話 "An dich, die du Schmerz und Einsamkeit liebst(苦痛と孤独を愛する君へ)"
不定期更新しました...。
..苦痛、孤独というものを私は忌避している..。何故かと問われると、痛いから嫌だ、というのは当たり前な理由だが、この場合において、そのような表現は関係なく、自身の生命そのものの危険信号みたいなものだからだ、と表現できればどうだろうか?
「...すまん。お前が何を言いたいのかが、こちらには理解できない...。」
友人の苦虫をかみつぶしたような悶絶した表情を見て、僕は口角を二ッと少し上げる...。それに乗ってか、彼の眉毛が上に上がり、顔が歪んだ...。
それを見た僕は面白そうに笑う...。そして...。
「..これでチェック・メイトだよ、"霧氷 燐摩"図書委員。」
"パンッ"と人差し指と中指で挟んでいた将棋の駒を盤上にある相手側である燐摩と呼ばれた青年の王将の近くに置いた...。
「...やめてくれないか..?容赦ないぞ、"月島 雫"委員長。」
燐摩と呼ばれた青年は苦々しい表情をしながら苦言を呈して、両手を上げて降参のジェスチャーをした...。
...ここは、"月島総合学園"と呼ばれる高等学校であり、大和の未来を担う子供たちに対して、司法、政治に関して厚い人脈がある新たに開拓するに足りえる人物に育て上げるための育成機関である...。
司法に関する職業や官僚、名のある科学者になる人物を多く輩出するのが特徴でこの大和帝国では知名度は低くない学園ではあるが、そんな中での図書室で二人の少年と少女が机に座り、向かい合いながら、チェス盤らしきボードを見ながら戦況を俯瞰しているようだ...。
「..しかしながら、こうやって図書委員の一人であらせられる燐摩先輩とお話できる機会をいただけるとは....、珍しいことも有るもんですね...?」
彼女はじっとりとこちらに話しながら、彼女は自身のあごに左手を当てて、考えている姿勢を取る...。
その問いに対して、彼は眉を顰め、顔を引き締めつつ、ため息を一つ吐いた..。
「..そろそろ、やめにしないか..?月島委員長。アンタとの対戦で俺は何十回も負けているんだが..?」
彼はそう苦々しい表情で答えると、右端においてあった湯呑に入った温かい生姜レモンを一口飲んだ...。その様子を見た彼女は颯爽と明るい表情で口を開く。
「いやいや、たかが、23回負けただけで、それは言いすぎだよ~。」
...何だ、コイツは..?と強く表情を引き締め、渋い表情をしながら、対面に座っている彼は自身のこめかみを抑えながら、苦々しい表情で口を開く...。
「..もういいだろう...。俺はもう辞める。気分が乗らん..。」
そして、彼は席から立ちあがり、足早に立ち去ろうとする...。しかし、いきなり、彼の右腕に対して、
"ガッ!!"
「うおっっ!??」
..急につかまれて後ろにひっぱられた...。
「..何をする気だ..??月島委員長?まだ何か用が...?」
自身が少し焦ったことを表情に出さないように極めて、冷静に彼女に対して先ほどの行動を問いただす...。
しかし、彼女は不思議と不気味な表情を浮かべながら、こう言い放った...。
「...ねえ..。逃げないで、答えてよ...。霧氷図書委員...。」
「...。だから何を...。」
「..."崩壊型タルタロス計画"。」
「...っっ!!?」
その言葉に激しい衝撃が俺を襲う...。なぜ、こいつはそれを知っている..??
「..やっぱりね...。」
目の前の彼女は溜息をつきながら、やれやれとしたジェスチャーで両手を振りながら、疲れがたまったような表情で口元をひどく歪めながら言い放つ...。
しかしながら、彼女は表情を引き締めると....。
「..霧氷図書委員、この計画は確実に最悪な形で破綻するよ??」
そう未来を確信した表情できっぱりと言い放ったのだ...。
(...一方、そのころ、某下層地区では...)
「いやはや、久しぶりだな...。」
「ガタガタ..。ブルブル...」
そこには頭が寂しい白髪の生えた50代後半の見た目の筋肉質な男性とその隣にやせ型で厚着をしている長い髪を持つ表情が暗く震えている彼が大きな荷物を持ちながら、額を抑える...。
しかしながらも、震えている彼は自身の右腕を目の前に持っていき...、
「.."マジック・デバイス・オープン。"」
彼の目の前に青い四角い画面が出現すると、その中にある右端の上方向にある三重点の項目を指でタッチし、画面を切り替える。
「..はあ...。確かにこれは辛いな...。」
その画面を見ながら、俺は溜息を吐く...。その表情を見た隣にいるおっさんは、顔をしかめつつ、こう言い放った...。
「何だ、何だ。お前をここまで案内したのは、俺なんだぞ?一体、何が不満なんだよ??」
「..いや、そのことじゃないっすよ...。」
俺は疲れたように溜息をつきながら、そう返事を返す...。確かにここまでの距離、ひっーーーーーじょうっっっーーーーーっっに疲労がたまってはいるが...、そのことは第一の大きな問題ではない...。
...その問題とは...。
「いま、下層地区の政府企業公認型の掲示板を見ていたんですけど...。」
「..んっ??」
おっさんが今の発言に関して、頭にはてなのマークを浮かべたかのように、首を少し傾げつつ、怪しいと感じたようで怪訝な視線で目を細める...。
...どうやら今の発言で怪しいサイトを覗いていると感じたようだ...。その発言に対して、俺は怪しくない証明を出すために、自身の腕から出現したマジック・デバイスを見せる...。
「...まあ、下層地区で今有名な政府が承認した企業公式サイトの就活掲示板なんすよ...。今で言うハローワーク用の企業サイトなんす...。」
「..ほう??今では、こんなものが掲示板で見られるんだな...。俺がまだ若いころではないもんだな...。しかし...。」
彼は怪訝な視線を向けながらも、内容を少し見た彼は、その怪しいものを見るような表情を少しやわらげながら、疑念を呈した...。
「...何で、こんなもの見てんだ...?」
おっさんの口から出たのは純粋な疑問だった...。なぜなら、下層地区ではダンジョンで聞いた通り、ギルドの掲示板でもらうらしいことを聞いたが...、今の時代では少し状況に変化が生じている...。
「...おっさんが下層にいた時代より、30年くらい経っていますよね...?なので、変化が大きく生じるのが当たり前にありますよ...?」
俺は隣にいるおっさんに淡々と言いながら、デバイスの画面の端にある上下のボタンを押しながら、ページを読み進める...。
「...あっ...。」
「..どうした??」
おっさんが怪訝な表情を再度、キリッと引き締めながら聞いてきたが、今の俺には、目の前にある情報の衝撃で呆然として、反応が遅れた...。
..その青白い画面には、こんなことが記載されていた...。
..."下層地区、5区カラ20区マデノ大手企業3ツ程、住居カラ工場マデ壊滅ノオ知ラセ"...。
..とんでもない情報だった...。
オッサン「...えっ???」
ニート「..開始早々、就職場所が壊滅したでござる。グホッ(吐血)」