~第二部 下層フリーター爆誕編~ 第5話 ニートたちと迷宮にて、野草鍋を添えて
自身の精神が段々、弱くなっていくのが嫌になってくる...。
..かなり昔の話になるが、夢の中に手持ちの本を片手に持ちながら、俺は数少ない友人とともにキャンプを行いたかった...。
下層地区で生まれ、育った身ではあるが、会社に入るまでは一緒に育った友人が3人いた...。
しかしながら、俺はその場所から中層地区に向かい、廃墟や迷宮を彷徨う数多の会社の一つになる探索派遣傭兵会社に所属していた..。
そこからは...、中年になるまで怠堕した生活を死んだような精神で過ごした...。今まで積み上げてきた戦闘を経験してきたが、かなりの歳になってしまった...。
だが...。
「..結果的に戻ってきてしまったな...。会社で過ごした時間が長い分、忘却していた事柄が多すぎるぜ...。まあ、それ以外にもたくさんの理由があるが...。」
..現在、俺たちは地下鉄のホームを通って、下層地区へ向かうルートで下に歩いていった...。あとはもう少しの距離を詰めるだけで済む...。
この中層で生まれたクソガキを下層地区の知り合いに会わせて引き取らせるつもりだ...。
さっき、コイツの体力を確認したが、やはりというべきか、ただでさえ、戦闘経験を積んできていないためか、体力が少なく、戦うのにキレがないので一般人で間違いはないだろう...。
そして、さっきまで魔物に襲われ、両足の骨が半分砕け、どうしようもない状況に陥っていた野郎だ...。
途中で俺が魔物を倒したことと、偶々持っていたかなり高い身体回復経路弾があったおかげで命拾いしたが...、本当にヤバいところだった...。
...コイツが後ろから着いてきてないと気付いたとき、俺は全速力で来た道を戻った...。
正直なことを言うと、自身のペースに合わせられないコイツが悪いのだが、結構後ろにコイツは地べたに這いづりながら、こちらに向かって腕を伸ばしている状態に出くわした...。
そこまでは良かった...。しかし、そのあとが問題だった...。
..まず、最初に...、こいつの後ろにいたそれらは、俺の足付近に近づいている一体が、全体的に見ると狼のような姿の魔物であり、特徴的な瞳の赤さと青黒い毛皮が全身を覆っており、その背中には特徴的な青く発光する水晶のような結晶が何本か生えている..。
その後ろにいる魔物は全身が粘性体であり、五体はなく、ゲームでよく見るスライムのようなやつだ..。しかし、コイツも俺の足付近にいる魔物と同じく青く光っており、少しばかりか内部に結晶体のようなものも見えた...。
中層地区の一般人ではお目にかかれないどころか、遭遇したら死亡率がめちゃくちゃある魔物を代表する2体だったのだ...。
..こいつも普通にいる一般人の犠牲者と同じく、危うく迷宮の肥やしになるところだったのだ...。
コイツのケガの状態としては両足複雑骨折、呼吸器の重度の損傷、右腕の骨折などが目立ち、ところどころ出血している場所が多く目立った..。
さらに、見つけた時の状態がやばかったためか、コイツの意識も朦朧としていたし、回復させるのが大変だった...。普段はうちの同僚らは血を流しながらピンピンしているので珍しい光景だった...。
..まあ、一般人ならあんだけの重傷だったら、意識をなくしてないほうが変だが...。だが、やはり、弱いな...。
そう俺は思い、考えを巡らせる...。コイツにどんな特訓メニューを組ませれば、下層地区に一人で行けるようになるかの簡単なトレーニングだ...。
これさえやれば、幼稚園児でも行けるようになるトレーニングを俺は珍しく頭を使って考案していた...。
..いかんいかん...。こんなこと考えていると、ふと、傭兵企業に勤めていたころの光景が瞼裏に一つ一つ、フラッシュバックするように浮かび上がってくる...。
そして...、それには...。
...やめだ。やめ!!
そう心の中で俺は言葉をこぼし、自身の両頬を引っぱたく...。"パシンッ"という軽快かつ大きい音が洞窟内に響き渡る...。
後ろにいる髭面の青年がその音にビビったかのように"ビクッ"と背筋を一瞬伸ばし、口を歪め、「ヒッ!!」という声をこぼした...。
...少し脅かしてしまったか...。俺は秘かに心の中で反省した...。
..それにだ...、仮にコイツを回復させずに下層地区に到着しても、身体を先ほどの段階で回復させなければ、すぐさま過激な団体に見つかり、処刑対象に認定される恐れもある...。
..中層地区のやつらは知らんから、分からぬのも無理はないが、下層地区に住む一般人ならば常識だが、迷宮やあの団体に関してはひたすら惨事が終わるまで逃げなければいけない...。
特に俺が住んでいた下層地区では、現在、きな臭い噂が多いし、中層地区から来たやつの魔術デバイスや内臓を盗む事案も多い...。
それにだ..。あそこには知り合いが多い。その中でもやはり信頼できる人物が多いのが、自身の家族であるジジイたちのところに預けようと思い立った...。
...下層地区の思い出は会社の期間にいたころよりも短く、だが、懐かしく嬉しくもある...。
「...さてと、このまま、きっちり南下していけば、下層地区へと向かう通路に入る..。要は通路を真っすぐ進めば、下層地区行きの扉につながるんだ...。だから、もうわかっていると思うが、このまま...。」
「..ゼエッ~~、ハア~~ッ。..分か...った...よ..。とも..かく..。文句を言わずにたったと動いて歩け、ってことだろ...?」
「..そんなところだ...。そこまで話す余裕があるならば、まだまだペースを上げられるな..?」
..勘弁してくれよ...、と後ろのクソガキがぼやいたところをふと見て、前に振り返り、先に進んだ...。
..しかしながら、その歩みはすぐに止まることになる...。
「...おい..。嘘だろ...。」
その光景を目にした俺は一瞬ではあるが固まってしまった...。
「..んっと...、何が起きたんだよ?この先に何があるって言うんだ?暗闇で何も見えんのだが...?」
後ろにいるニートクソガキがなんか言ってはいるが、俺はそれに返答を返す代わりに咄嗟に彼の口に手をかざし、口を押さえた...。
「..口を閉じろ...。それと今から一切、音を出すな...。」
俺は後ろにいるクソガキの口をふさいだあと、彼に今現状、何が起こっているのかを確認するよう言った...。
「...なんで?」
彼は一般人であるからか、何が起こっているのか分からないというふうに呆然として聞いてきた...。
「...お前はあそこにいる団体が何なのかわかるか...。..いや、喋らなくていい...。yesなら頷き、noなら頭を横に振れ...。」
俺はその気迫からコクコクと頷き、目の前に見えるであろう団体を確認しようとした...。
..そこには...、30人ほどの革物や鉄製の装備を着飾った連中が片手に武器、ランタンを持ちながら、こちらに向かってくるのが見える...。
あちらには、まだ見えていないのか、こちらの様子には気づいていない様子だった...。
彼はその様子を見て、少し瞳に光が戻ったように感じた...。"マズイッ"、そう思ったときにはもう遅かった....。
「~~おーーーいっっ...!!ムグッッッ!??」
..俺はコイツの口をすぐさま塞ぐが...。
...ギラリッ、と向こうにいる奴らの目が光った気がした...。
...どうやら間に合わなかったらしい...。こちらに向かって多くの殺気が噴き出していき、咄嗟に俺の後ろにこのクソガキを隠す...。
..戦闘シーンが難しいです...。