~第二部 下層フリーター爆誕編~ 第3話 ニート坊主編、これにて開幕??
久々に出てきたとある坊主のお兄さんのおお話...。
...どうして、こうなってしまったんだろうか?
このような疑問が頭の中をぐるぐると回る。しかし、現状、ここにいるメンバーは誰一人答えてくれそうにない、というか、答えられそうにない...。
現在、時刻は午後の8時...、いつもなら、ここで風呂に入り終え、就寝している時間だ...。
しかし、現状、それはできない状況となっている...。なぜなら...、
..それは家である寺が燃え、形は残ったものの半壊した挙句、犯人捜しに乗り出している最中になってしまったからであり、パスタマンの指示に従い、現在、姉を探している最中である。
"はあ...、弱ったな..。"と思いつつも、今は正直どうしようもない問題である...。
しかし、ここまで来たとなると、姉の行方もそうだがパスタマンもどこにいるのかが気になってくるが、今晩は夜遅く深夜になってしまっているので、山に人を探す時間がない...。
...はあ、とため息を吐きながら、俺は彼女たちとの思い出を振り返る。彼女たちと最初に出会ったころを記憶の底から思い返すが..、
「..あんまり、いい出会いではなかったな..。」
そう良い出会いではなかったのだ..。彼女と出会ったときはかなり悪い印象を抱いた記憶がある...。
俺は御年43歳なのだが、33歳から中層地区でフリーターをしていた時期で俺は絶対絶命の危機に陥っていた...。
~33歳のころの記憶、とある中層地区の駅にあるホームで~
「..なんでこんな作業が出来ねえんだ、てめえはっ!!」
..あのとき、俺は中層地区で生まれ、高等教育機関に所属する学校に途中から行かず、ニートとして実家で自分の人生を生きていた..。
..しかし、そんな自分は同期や幼馴染よりも持っている仕事スキルや今まで積んできた経験が少ない..。中層地区にいたころの高等学校で中退したあと、引きこもりをしてからフリーターになったため、雇ってくれる場所が少ないため、居心地がよくない居酒屋で働いていた...。
「..すみません!すみません!」
「謝ってたら、おまんまが喰えるか、クソが‼どうして、色々教えてやったのにミスするんだ?ボケが‼」
..いつも通りの習慣としてバイトに首を出したら、仕事が上手く出来ないのが原因のためか、店長に罵倒を受けている...。
それを見て様々な"またかよ..."と嘲笑するような、罵倒するような反応をする冷たい視線をした店員たち、俺がここに来てから2か月になったが、関係性は変わらず、見下され続けている...。
「すみません!すみません‼」
..相も変わらず、俺は目の前の人物に対して謝り続ける...。ここまで、フリーターとしての業務に明け暮れていたのだが、飲食店だからか、いつも通りの習慣として店長に脅されまくっている...。
「し~~か~~も~、何でこんなに旧型ロボットに注文取らせてるのに、な~~ん~~でっっ!!料理出すの遅延するんだ..!!バカがッッ!!」
店長の怒鳴った声が俺の耳元で鼓膜を破るくらいに聞こえる...。そして、周りの人間の嘲笑や罵倒が聞こえている...。そこに客の"まだかよ!!"という声と客の冗談交じりのナンパ、ノロマな俺への罵倒も聞こえている...。
「..だって..。上司がすぐ客に出した料理を片付けてから注文を取れって言ってたじゃないですか...!!」
「ハア~~~ッ!?それはそれ!これはこれだろっっ?!なんで、お前にそこまで教えねえといけねえんだよ!?しかも、最近、このバイトに慣れてきたと言っていただろ!?」
「...だって...。」
「"だって"じゃねえ!!何でこんなガキでも出来る簡単な作業を出来ねえのかっ、て聞いてんだよ?!こっちは!?」
..既に山ほどの罵倒を多く言われているが、まだ店長の罵倒は止まりそうにない..。ここ何年か、まともに取り合ってももらえない状況がバイトとして入ってから一日も休みなく続いている...。
飲食店の中で居酒屋というのは気性の荒い客が入ることはよくあることであるが、客にまで笑われ、店長や同僚にまで嘲笑と罵倒のオンパレードが多いので精神的につらいが、正直、転職しようにも出来うる状況でない...。
現状...、この大和帝国には転職をするのが難しい。転職条件として、AIでの仕事選別というのがあるが、この国ではほとんど身分制度の取り扱いによって選べる仕事が少ないうえに、身分証明制度、実際使用できるスキル、内蔵されるマイクロ・デバイスによる条件問題がある...。
そのせいか、俺は大学に行かずにフリーターになったのだから、AIの選別が出来る条件下で頭脳労働系の仕事や事務系の仕事はなく、肉体労働系の仕事が多い...。
それ以外では、暗黒地帯の派遣隊というものが多い..。この大和帝国ではかなり前文明時代にある都市の名残が各地に残骸として残っており、そこに行って給料を稼ぐというのが多い...。
そして、そこではほとんどこの都市の人間が選ぶ職業中、死亡率が一番高い仕事だ..。しかし、それでも残骸に残る"失われた技術"の魅力は凄まじく、それは多額の金が多くの企業や政治家によって動いている...。
そこから、経済やこちらの技術発展にもつながるため、この国の生活を循環させるには必要な資源であると言えるものだろう...。
しかしながら、そのおかげで経済の副作用により、階級による格差が広がったともいえるので、理不尽なことが多いのが現状である...。
...正直、実家から通っているフリーターにとっては派遣隊よりは、こちらのほうしか仕事がないのが現状だ..。
「...はあ..。なんで俺生きてるんだろ..?」
そんな何てことない鬱々した疑問を浮かべ、俺は気づいていたらそれを口に出していた...。
そんなとき...。
「..オイッ!!離しやがれっ!このクソガキッ!!」
「ッ.....!!」
..唐突に大きな怒鳴り声が聞こえた..。ふと、そこに視線を向けてみると、大きな角刈り頭の太った大柄なガラが悪そうな男が暴れている小柄な黄色い狐耳?フードを被った女の子の首根っこを右手で掴んでおり、今にも掴んでいる男が左手に持っているメリケンサックで殴ろうとする一歩手前だ...。
..正直、この目の前で見た状況にある光景により、俺は一瞬固まってしまったが、目の前の光景が怖く、震えた...。
どうして、こうなっているんだ..?どうすれば、この光景から俺が解放されるんだ...?
しかし、この光景から目を離せない俺は恐る恐るその現場に近づき、女の子の襟首をつかんでいる大柄な男のほうに声をかける...。
「..あ..の~~。ちょっ..と...、す..みま..」
「...アッッ?!なんだ、テメエッ!!」
形相が怖い大柄な男に睨まれながらも俺は彼に小声で話し続ける...。
「..彼女、..その..離..して..くれま..せんか..?」
恐る恐る話してみたが、大柄な男はその問に不満を覚えたのか、凄みながら俺に怒鳴ってきた..。
「アッ..!?..よく聞こえねえなッ!!」
彼のガラが悪い怒りの形相が俺に勢いよく近づいてくる..。
「...だから..、その..離して..、ッブ!!」
いきなり、腹をメリケンサック付きの左手に殴られた..。滅茶苦茶痛い...。"ボキッ!!"ていう音が出たし...。
「..グッ..、ウッ..、アッ..アア...。」
「..ハッ.。弱ええな..?」
あまりの痛みに悶絶し、腹を抑え、身を捩ったが、それを先ほど殴った大男が薄笑いを浮かべながら、右手に彼女の首根っこを掴みながら俺の腹にとどめとばかりに蹴りを入れてきた..。
正直、何で俺がこんな目に合わなければ...、と俺は思ったが、ここまで生きてきた俺は最近において、フリーターであるがゆえに罵倒や嘲笑が多い職場で働き、家族との問題もあり過ごしていたので、もういいかな...、とふと思ってしまった..。
そのとき、ふと視線を女の子のほうに向けると、何やら大柄な男のほうを見て、聞き取れるかどうか分からない小さな唸り声を上げている...。
...そこから彼女の容姿に変化が現れた..。どんどん彼女の体格が、縮んでいくのだ..。縮んできて狐耳の付いたフードと彼女自身が履いていたズボンがずり落ちる...。
そして...。
..彼女が立っている場所には、未だに大柄な男のほうに向けて特徴的な黄金色の縦目を細め、唸っている大柄な狐が4つ足で立っていた...。
これが今、寺に一緒に住んでいる姉との最悪で最初の出会いだった...。
どうすればいいのか、この分岐点をどう避ければ良かったのか?
...彼女と出会わなかったら、俺はどうなっていたのだろう..?