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拝啓、この終末世界のあなたへ....。元気でやっていますか?やってたら返事してもらってもいいですか?  作者: 桜兎の梅花
第一部 ニートな俺たち~家を追い出される編~
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第一部 ニートな俺たち    ~ 第16話 ニート、襲撃される。~

....ホームレスになったとしても、宿はどうやらあるらしい...。

誰にも邪魔されずに寝たいし、就活の不安しかない....。

....あのとき、俺はどうすれば良かったのだろうか...?


~とあるニート青年の記憶~

...しばらく、俺は魔術デバイスの画面に映っている何気ないニュースサイトを眺めていたが、ニートな立場である俺からすれば、意味のない文章がつらつら並べてあるが、その中でも今、俺はとある記事に目を血眼にしながら、眺めていた...。そう...、それは....。


「...就活記録、就活コミニティー、マジで魔窟だわ...(泣)」


そこに書かれていた言葉たちを見て俺は正直、ひそかに枕元を涙に濡らしながら泣いた(まあ、涙なんて出ずにただただ布団の中で縮こまってうめくことしかできなかったが..)。


掲示板には、やはりというべきか、ニートや引きこもりに対する恨み辛みとニートがニートを擁護する発言をコメントに多く見られた。実家暮らしがそんなに悪いか?一人で暮らすのはお金がかかるし、名により税金がかかる。また、ただでさえ庶民と特級階級との格差が激しい社会構造だ...。正直、あの人生が充実している奴らを見るとドス黒い感情が湧き続け、こちらの絶望感をあおっているようにしか見えない...。


「...生まれた時代が違えど世は常に動乱の渦中なり、か...。はあ...。憂鬱だわ...。」


正直、就活サイトもAIに職業案内されているとはいえ、常に水が枯渇した砂漠のような荒れ果てた状態なのは確かだ...。


しかしながら、全能に近い多さの知識を持つ人工知能でも人間の感情の機微はどう対処するのが正解かなんて分からない...。無論、人間でもそれは分からないことが多いが、ダメ人間なら尚更だ...。


ダメ人間の俺からは何も生み出せない...。いや何かを生み出せるほどの実用的なスキルがないのが俺の最大のデメリットだ...。実質、ただの廃棄物と虚しい時間を生産する製造機であることは間違いない...。


そこにはニートとしての自覚しかない....。そう社会に適合できないものしかない...。

しかしながら今までニートをしてきた就職活動全滅済みの俺を見てくれるマトモな会社はあるのだろうか....。正直働きたくないが、地下でのIT派遣やいろんな業界を見てみるうちに、どの業界もブラックで"お先が真っ暗"、"甘えんな"、"無能ww"、というカキコミが多く見られた....。


「...もう、就活したくない....。現実真っ暗じゃん...。」


この社会では大体の仕事が20世紀中期くらいから変化し、運送は大体がロボットに置き換わり、PCエンジニアなども大体のプログラムを人工知能がやってくれる....。


しかし、我々、人類が行っていた仕事が減った分、金が稼げるところが少なくなり、そのあとの全世界でホームレスやスラム街が生成されていき、今では地区ごとによってはマフィア等の犯罪集団が多くはびこっている社会となってしまった...。


自身がニートであることに正直誇りはなく、劣等感しかない状況ではあるが、すべてのスペックにおいて低い俺はこの世界に絶望し、現実を見ず、ネットの世界に引きこもった...。


しかし、いつか現実に向き合わねばいけないようにネットの空間内も世知つらくなり、仮想現実の空間や宗教団体や遠方にある集落も何回か情報を見たが絶望的な解答しかなかった....。


「...でも実際に外に出てみないとわかんないし、今はそんなこと言っている(ひま)はない...。

しかし...、だからと言って外に出なければ中級市民でなくなった俺は生きていけない.....。」


...〝この引きこもりクソニートに何ができるというのか、正直苦痛しかない....。でも、生きるためには働くしかない....。”と考えていたら、いつの間にか深夜帯の時間となっていた。


「...もうこんな時間か...。いつも通りの時間で、いつも通りの生活習慣だわな....。」


そう思った俺は髪をくしゃくしゃに掻いたあと、枕に向かって仰向けに寝る体勢に入った..。

そして目をつぶって、俺の意識は閉じた...。


....はずだったのだが、


「....いかんせん。寝れんわ...。」


むくりっ、と俺は体の上体を起こし、自身が履いてきたジーパンや上着に着替えると、自身が泊っている部屋を出た...。廊下は深夜なこともあってか、電灯は着いてはいるがほの暗く、先は暗闇に呑まれ、先が見えなくなっている....。


"ペタペタッ..、スタスタッ..."と自身が入っている施設専用のスリッパを履いて移動する足音が施設内に響いている...。それ以外の音はなく、俺自身の足音しかなかった...。

...しかし、先ほどから気のせいかもしれないが何者かの視線を感じている...。これはどういうことだろうか、と情報過多で疲れた脳を久々にフル稼働させて思考を巡らせようとしたその時...。


〝シュッ...、ズッッン!!"


...自身の隣から何かが横切るような速い音とそれに遅れて何か...、自身の目の前にある床に振動しながら刺さっている矢に一瞬であるが「へッ?」と間の抜けた声が自身の口から漏れたと同時にその状況がいかに異常なことかが察知し、顔から血が引いていく感覚と背中、額にかけて汗が出る感覚があった...。


....そして、まるで錆びたロボットにでもなったかのように後ろをゆっっくりと振り返り、今にも第2の矢を射ようと狙っている捕食者を見て、その場からはじかれるように俺は方向を変えて逃げ出した....。




平穏に暮らす兎たちの楽園は一匹の捕食者によって地獄へと化した...。

そんな君の手元には武器がある....。


君はどう武器を使おうがかまわない...。逃げるために使うも、殺すために使うも、大義名分のために使うもどちらでもいい...。


さあ、選びたまえ....。君はこの武器(じょうきょう)からどのように戦う...?



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