第一部 ニートな俺たち ~ 第15話 ニート、幻想デバイスを駆使(くし)する ~
...お久しぶりです。桜兎の梅花です。桜が開花してきた季節ですね。散歩に行ってみて、甘酒を飲みながら、桜の花を見たいものです。不定期ではありますが、読んでいただき、ありがとうございます。
これからもお付き合いのほど宜しくお願い致します。
"俺氏、初ホームレス宿泊所に入館する...。”と馬鹿げたことを思いながら、俺はおっさんに渡された宿泊券を持って、その施設に入っていった...。
白い区役所みたいなビルに入って行った際に何人か、薄汚れたホームレスのおっちゃんたちが何人かいたが、扉があく前から、行列を作り、待っていた...。
ふと、前の様子を見てみると、最前列では青い鉄製で出来たコンテナの壁が正門となっているところにガッチリした体格のおっさんが黒いジャンバーを着ながら、列に並んでいるホームレスのおっさん方を分担して、何やら身体中をチェックしているような動作が見受けられた...。
...こんな世の中だから宿泊券以外に武器など持っているかどうかのチェックだろう...。今の時代、マトモな大手企業で働けている奴らでさえ、武器を持って自衛するために拳銃を持つ時代だ。
しかしながら、それはこの国の中でも限られた階級のやつらだけであり、普通の一般市民...、俺みたいなやつがいた中流階級でも持てないはずだ...。
中流階級より下の階級地区で生活している人たちはどうかというと、確か、ネットで見た経済の講義では、今の国で俺がいたところは大和帝国中央都市部23ブロック品川区ブロック・イザナギの1の離宮と呼ばれているところで、大田区ブロック・イザナギの5の離宮と呼ばれているブロック内で肩身を寄せ合って日々の生活を営んでいると習ったことを今になって思い出す...。
...正直、本格的に経済の勉強をしたことはないが、何とか中学2年生までの基礎知識であるところの一部は思い出せたことに俺は安堵した...。
しかしながら、俺にそんなことを考えている余裕はないはずだ...。ただでさえ、別の地区ブロックにきてからの今までのブロック内のおっさん以外の人たちに嫌われ、いやがらせを受け、就職先のみならずバイト先も見つからないという寝ようにも寝れない2日間も過ごしたのだ...。正直、頭がもうクラクラで倒れそうだ...。
そうやって、心の中で自身が実家から放り出された2日間の思い出を振り返ったが、どうやら振り返っているうちに自分の番が回ってきたらしい...。
目の前に立っている異様なガタイがいいおっさんは黒いサングラスはかけてないものの、人ひとりを握り拳で数人ぶん殴ったような暴力的な怖い目つきをしていた....。
「...通行証は..?」
...ヒエッ、そう下半身の辺りがヒュンッとまるで一筋の寒風が通るような気がする怖いボイスと共にしかめっ面されながら言われたぜ....。泣けるわ...、と俺はビビりながらも、実家から追い出されたときに持ってきた小物入れのカバン{腰につけるようなもの}から、おっさんにもらった一枚の紙を見せた...。
すると、しかめっ面だったガタイのいいおっさんは俺の顔とナリ、招待券をジロジロと確認してきて、少し経った後、”チッ”と舌打ちされ、通行門を通された...。
...門を通り終えたあと、そこには、屋根がトタン、それ以外がビニールシート、どこで取ってきた、と思うような木材や樹脂等で作られたパイプ等々...、と各々、思い思いに作られた屋台が前方にズラーッと立ち並び、それは、まるで幼少のころに見た神社の祭日に運営される屋台のような立ち並び方だったので、引きこもっている間見ていなかった懐かしい光景に驚きと共に俺は唖然とし、どこにそんなスペースがあるのだ、という疑問も含め、ただただ圧倒されていた...。
...屋台の周りには、年季があるジャンバーを着ているおっさんがせわしなく動き回り、使い捨てプラスチックのお皿に屋台で作られた寸動に入っている温かいスープを入れて、並んでいるおっさん達に配っている若く見える青年や中年の男性の姿、寝具や非常食らしきものを忙しなく配る人、それを受け取る作業着姿や古着らしきジャンバー等を着たおっさん達や若い無精髭の青年、様々な人の姿を見た...。
しかしながら、その表情はどこか陰鬱の陰が遮り、その瞳からは光は見えず、ひたすら暗い雰囲気をまとっていた...しかしながら、彼らは目と鼻の先に見える大きな壁のような施設に向かって足を向け、その重い足取りを向けている...。
....20分後.......
...大きな壁みたいな建物を間近で見てみると、それはコンクリートで作られた監獄のような施設に見えるものがそびえたっていた..。自動ドアの扉前に建っているコンクリ柱には古くなったのか、壁に大きな亀裂があったり、そこから銅製の大きなネジみたいなものや水道のパイプ管であろうものが見えて、周りの壁にも先ほどの劣化したあとや、亀裂や黒いしみまで見え、年季を感じさせるような建物の近くには行列を作り、扉に向かっていく人に流れを確認することが出来た。少人数ではあるがバラバラに施設内をうろうろする輩も確認し、とりあえず、行列が並んでいる方に俺は付いて行った...。
...ついて行った先には、施設の扉が見え、そこにズラリ、と人が立ち並び、古びた施設の門に行列を作りながら、一人また一人と入って行く様子が最初に目に入る。最前列の前には、黒縁の四角い眼鏡をかけた髪の薄いおっさんがイスに座りながら、施設に入る人が持つ招待状を確認し、確認された人が何か物が入った袋や寝袋らしきものを受け取りながら、その人は入って行った...。
人一人が入って行く様子を大体2時間くらいボーッと眺めながら、その古臭い施設の中に入って行った...。
...中では市役所のような肌に近い薄い黄色のような壁と深緑色の廊下が一本道で続いており、薄い黄色の壁には、同じ色の四角い扉が一定間隔でポツポツと存在していた。そこは全員、個室であり、カプセルホテルみたいな構造になっているらしい...。
俺は、先ほどの厳ついおっちゃんに渡された紙に書いてあった番号の扉に行き、その個室に入った。部屋で葉カプセルホテルのような白い壁と白いベットがあるだけだった...。
そんなところで俺は倒れこむようにゴロンッと寝転がり、自分自身の右腕の手首にある複雑で悪趣味な文様を一睨みすると、固く閉じていた口を小さく開き、いつも唱えている呪文を唱えた。
「...マジック・デバイス・オープン。」
そう唱えた途端、手首から目の前に青く光る四角いディスプレイみたいな画面が現れ、俺はその画面に指を近づけて、指の向きに合わせて、画面上の文字が変化したり、パソコンで文章を読むときのように、移動ささえながら、画面の中にある様々な情報を見続けた..。
「...現在の就職困難指数70%超えによる犯罪者予備軍増加、治安の悪化により、この国は衰退の一途をたどっている...。岸鍋ライター、またすごい記事書いてんな...。正直凄すぎて、開いた口がふさがらないわ..。」
ハッ、と乾いた笑いがニヒルな笑みと共に俺から漏れ出ながらも、青白い画面に記載されている文章を眺め続けていき、結局、消灯時間になるまでデバイス画面を眺め続けた...。
...一方、その頃、同じ場所でありながら、違う部屋では、くたびれた中年サラリーマンらしき人物がカプセルホテルのような場所にある白いベットで仰向けになりながら、上の空を見て、ため息をつきながら、今日の事を猛省していた...。
「...どうやって生活していこうか...。俺が持っていた生活資金も底を尽きかけているし...、もう家族の場所に戻るとしても、仕事を見つけて安心させたい...。」
俺は、そうため息をつきながら、右腕の文様から出現させた青白い四角い画面を眺めつつ、市民に支給されているデバイス魔術の一つである〝音認識魔術 マイクヘッド゛を使用し、とある文章を検索にかけた...。
おっさんは次に青年を訪ねます(ネタばれ)