第一部 ニートな俺たち 第14話 分岐点の引き金
>おっさんは公園にいた青年に謎の施設の招待券を渡した...!
>青年は慌てて断ったが、おっさんに謎の招待券を押し付けられた!
>青年はひどく困惑した様子でその施設に足を運ぶことになった...。
おっさんと話を終えた俺は公園に隣接していたベンチから立ち上がり、そのおっさんのいる場所から離れて今日の寝床を探すことにした...。
まさか、実家から追い出されてホームレスになるとは思わなかった...。そう俺は思い、気づいたら頬がゆるみ、苦笑していた...。
...引きこもりになってからは過去でどの選択を間違えたんだろう、と頭の片隅で感じている日々が続いていた...。
アニメの批評やネットゲーム等のコミュニティで時間をつぶしながら、親が作ってくれた飯やレトルト食品を食べて過ごす日々が15歳から20年間続いた...。
当初は引きこもり始めてから、2週間は何もなかったが、2週間目から親に学校にいくように説得され、学校に行っていた...。
しかし、それは最初の内だけで俺は周りとはうまくなじめなかった...。よくあるグループいじめでクラス内での無視だったり、上手く話せなかったのが災いして、上手く誤解すら解けなかったことが多かった...。
行くのをやめたきっかけは、クラス内全体の無視が3ヶ月続いた後での校舎裏に呼び出されてからの先生と生徒と共同作業での体罰、要は殴られたり、蹴ったりされた、ということだ...。
他のやつから見れば、まだマシな部類に思えるやつが多いかと思うが、俺はそこで、これが毎日続くのかと思うと、いろんな意味でどうでもいいや、と思い、体罰した教師の目に串焼きの串を突き刺した...。
そこからは良く覚えていない...。いろいろと目まぐるしいことがあったのはなんとなくは覚えてはいるが20年以上も前の話だし、何よりこの話は思い出したくもないので、ただたんにその部分をおっさんには結局、話そうとしなかった...。
「...はあっ..、珈琲が温かい...。」
おっさんから買ってもらった缶珈琲の温もりが手から伝わり、身体の奥がじんわりとあたたかくなっていくような感覚が支配したが、それは突如として吹いた冬特有の寒い風によって、この季節の寒さを味わうことになった...。
「ううっ....、やっぱり寒いな...。実家にあったストーブが恋しい...。って、もう戻れないか...。...ハアッ...、なんで今になって、こんなことになっちまうんだろうか...。」
...そう呟きつつ、俺はおっさんからもらった未だに温もりが残っている缶珈琲のプルタブを親指の爪をうまく使い、開けた...。そのとたん、缶の中にあった香ばしい珈琲の匂いが鼻の奥まで届き、俺の心まで温かくなったような感覚が支配した...。
そして、俺は“グビッ”と缶の中にあった珈琲を少しほど飲み込んだ...。その瞬間、舌から喉にかけて珈琲の熱が一瞬にして伝達され、珈琲の大部分を占めるまろやかな苦みとその後から来るほのかな優しい酸味が俺の口の中を支配した...。
...寒空の季節、静寂が時間を支配する中、一人で缶珈琲を飲む様は正直、実家でニートしていたころとさして変化はなかった...。
実家では、家政婦ロボットに、とやかく働かない人間はなんぞや、と社会的役割やら支配階級の歴史すら教わった。これは最初は根を詰めて、本人?(本ロボット)曰く、かつて一般大学か高等学校の講義ほど教えたつもりらしいが、引きこもった当初や一般教養訓練小学校に行った際に吐いて次の日から行かなくなったときから、そのロボットはうちの親が処分した...。
その理由は“2日、3日で息子が行かなくなるのはまだマシだが、その次の日に学校に行かせるように説得したのに対して、この結果は何だ...?俺たちのメンツが丸つぶれじゃないか...。だから失敗だ...。あと、家事のことについても不満がある...”という形で目の前で銃でロボットの頭部がはじけ飛ぶのを内心、訳も分からず、ただ茫然とその光景を突っ立て見ているしかなかった...。
その後、なぜか両親の冷酷で能面のような無表情とその撃たれたときの何か俺に言いたげなロボットの目の光がジジッと消える光景が目の奥でフラッシュバックし、一気に胸の奥からドロドロしたものが口までこみ上げて、トイレで吐いた...。
...そんな時期から20年間経つまでも何度も両親はことあるごとに何かを破壊したり、俺に対しての心配の声と自身の保身に関しての声をあげていた...。
俺はこの●●●●●感覚が嫌だった....。この●●●●●感覚はこの年になってから吐くこともなかったが、先ほど自身の過去を語ろうとした際の吐きそうになった感覚が急によみがえったからなんか久し振りの感覚だった...。
この季節は相も変わらずに精神にも肉体面でも俺から熱を奪っていく...。“ブルッ”と身体が一瞬震えた...。
“今年の夜空はむかつくくらい綺麗に見えるな...”とつぶやいた後、俺は、おっさんに教えてもらったホームレス用の宿泊施設に向け、おっさんからもらった紙切れを持ちながら、足を進めた....。
...その後ろをついてきている2人組の存在に気づかずに、ただただ足を進めた....。
おっさん「...結局、ホームレスになっちゃた...。これから、どうしようか...。」
?????「....何かお困りの様子だね...?手伝おうか?」
おっさん「!?」
次回、「ニート、幻想デバイスを駆使する」、スタンバイ!!