表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
拝啓、この終末世界のあなたへ....。元気でやっていますか?やってたら返事してもらってもいいですか?  作者: 桜兎の梅花
第一部 ニートな俺たち~家を追い出される編~
14/39

第一部 ニートな俺たち 第14話 分岐点の引き金

>おっさんは公園にいた青年に(なぞ)施設(しせつ)招待券(しょうたいけん)(わた)した...!

>青年は(あわ)てて(ことわ)ったが、おっさんに謎の招待券を押し付けられた!


>青年はひどく困惑(こんわく)した様子(ようす)でその施設に足を運ぶことになった...。



おっさんと話を終えた俺は公園に隣接していたベンチから立ち上がり、そのおっさんのいる場所から離れて今日の寝床(ねどこ)(さが)すことにした...。


まさか、実家から追い出されてホームレスになるとは思わなかった...。そう俺は思い、気づいたら(ほお)がゆるみ、苦笑(くしょう)していた...。


...引きこもりになってからは過去でどの選択を間違えたんだろう、と頭の片隅(かたすみ)で感じている日々が続いていた...。


アニメの批評(ひひょう)やネットゲーム等のコミュニティで時間をつぶしながら、親が作ってくれた飯やレトルト食品を食べて過ごす日々が15歳から20年間続いた...。


当初は引きこもり始めてから、2週間は何もなかったが、2週間目から親に学校にいくように説得され、学校に行っていた...。


しかし、それは最初の内だけで俺は周りとはうまくなじめなかった...。よくあるグループいじめでクラス内での無視だったり、上手く話せなかったのが災いして、上手く誤解(ごかい)すら解けなかったことが多かった...。


行くのをやめたきっかけは、クラス内全体の無視が3ヶ月続いた後での校舎裏(こうしゃうら)に呼び出されてからの先生と生徒と共同作業での体罰(たいばつ)、要は殴られたり、蹴ったりされた、ということだ...。


他のやつから見れば、まだマシな部類(ぶるい)に思えるやつが多いかと思うが、俺はそこで、これが毎日(まいにち)続くのかと思うと、いろんな意味でどうでもいいや、と思い、体罰した教師の目に串焼きの串を突き刺した...。


そこからは良く覚えていない...。いろいろと目まぐるしいことがあったのはなんとなくは覚えてはいるが20年以上も前の話だし、何よりこの話は思い出したくもないので、ただたんにその部分をおっさんには結局(けっきょく)、話そうとしなかった...。


「...はあっ..、珈琲(コーヒー)が温かい...。」


おっさんから買ってもらった缶珈琲(カンコーヒー)の温もりが手から伝わり、身体(からだ)の奥がじんわりとあたたかくなっていくような感覚(かんかく)が支配したが、それは突如(とつじょ)として吹いた冬特有(ふゆとくゆう)(さむ)い風によって、この季節(きせつ)の寒さを味わうことになった...。


「ううっ....、やっぱり寒いな...。実家にあったストーブが恋しい...。って、もう戻れないか...。...ハアッ...、なんで今になって、こんなことになっちまうんだろうか...。」


...そう呟きつつ、俺はおっさんからもらった未だに温もりが残っている缶珈琲のプルタブを親指(おやゆび)(つめ)をうまく使い、開けた...。そのとたん、缶の中にあった香ばしい珈琲の匂いが鼻の奥まで届き、俺の心まで温かくなったような感覚が支配した...。


そして、俺は“グビッ”と缶の中にあった珈琲を少しほど飲み込んだ...。その瞬間(しゅんかん)(した)から(のど)にかけて珈琲の熱が一瞬(いっしゅん)にして伝達(でんたつ)され、珈琲の大部分(だいぶぶん)を占めるまろやかな苦みとその後から来るほのかな優しい酸味(さんみ)が俺の(くち)(なか)を支配した...。


...寒空(さむぞら)季節(きせつ)静寂(せいじゃく)が時間を支配する中、一人で缶珈琲を飲む様は正直(しょうじき)、実家でニートしていたころとさして変化はなかった...。


実家では、家政婦(かせいふ)ロボットに、とやかく(はたら)かない人間はなんぞや、と社会的役割(しゃかいてきやくわり)やら支配階級(しはいかききゅう)歴史(れきし)すら(おそ)わった。これは最初は根を()めて、本人?(本ロボット)曰く、かつて一般大学(いっぱんだいがく)高等学校(こうとうがっこう)講義(こうぎ)ほど教えたつもりらしいが、引きこもった当初(とうしょ)一般教養訓練小学校(いっぱんきょうようくんれんしょうがっこう)に行った際に吐いて次の日から行かなくなったときから、そのロボットはうちの親が処分(しょぶん)した...。


その理由は“2日、3日で息子が行かなくなるのはまだマシだが、その次の日に学校に行かせるように説得(せっとく)したのに対して、この結果は何だ...?俺たちのメンツが丸つぶれじゃないか...。だから失敗だ...。あと、家事(かじ)のことについても不満(ふまん)がある...”という形で目の前で(じゅう)でロボットの頭部(とうぶ)がはじけ飛ぶのを内心(ないしん)、訳も分からず、ただ茫然(ぼうぜん)とその光景(こうけい)を突っ立て見ているしかなかった...。


その後、なぜか両親の冷酷(れいこく)能面(のうめん)のような無表情(むひょうじょう)とその撃たれたときの何か俺に言いたげなロボットの目の光がジジッと消える光景が目の奥でフラッシュバックし、一気に胸の奥からドロドロしたものが口までこみ上げて、トイレで吐いた...。


...そんな時期(じき)から20年間経つまでも何度も両親はことあるごとに何かを破壊したり、俺に対しての心配(しんぱい)の声と自身(じしん)保身(ほしん)に関しての声をあげていた...。


俺はこの●●●●●感覚(かんかく)が嫌だった....。この●●●●●感覚はこの年になってから吐くこともなかったが、先ほど自身の過去を語ろうとした際の吐きそうになった感覚が急によみがえったからなんか久し振りの感覚だった...。


この季節は相も変わらずに精神(せいしん)にも肉体面(にくたいめん)でも俺から熱を(うば)っていく...。“ブルッ”と身体が一瞬震(いっしゅんふる)えた...。


“今年の夜空(よぞら)はむかつくくらい綺麗(きれい)に見えるな...”とつぶやいた後、俺は、おっさんに教えてもらったホームレス用の宿泊施設(しゅくはくしせつ)に向け、おっさんからもらった紙切れを持ちながら、足を進めた....。



...その後ろをついてきている2人組の存在(そんざい)に気づかずに、ただただ足を進めた....。



おっさん「...結局(けっきょく)、ホームレスになっちゃた...。これから、どうしようか...。」

?????「....何かお困りの様子だね...?手伝おうか?」

おっさん「!?」


次回、「ニート、幻想デバイスを駆使(くし)する」、スタンバイ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ