アイリ、助け舟に飛び乗る
助太刀参上!な回。
「──おや? うちの妹に何か用ですかね?」
「こんにちは、アイリーン様! 今日もドレスが素敵ですわね!」
──助け舟を出してくれたのは、お兄様……とアディ!!!!
いいタイミングだよぉぉ!!!! てなわけで、助け舟に飛び乗るっっ!
『アイリ様! アネットがアイリ様が何か怪しい奴に絡まれているって教えてくれたのです! 大丈夫でしたか!?』
『こいつが化けたアングラードの王族、ってことで合ってるか?』
『ええ、この人は闇の魔力持ちです。魔法で商人に化けています。そして、精霊も死霊もハッキリと見えている。霊力も魔力も高い。王族で間違いないでしょうね』
「これはこれは、未婚の女性に失礼なことを致しました。商人なもので貴族の振る舞いに疎く、申し訳ございません。
あまりにもベルチェのガラスビーズがキラキラと輝いて美しかったものですから声を掛けてしまいました。──それでは、皆さん良い一日をお過ごしください」
──アングラードの王族(仮) は、手をひらひらと緩やかに振ると、再び人混みの中に去っていった。
『──カミュ様? ありがとうございます。お兄様とアディが助けに来てくださいました』
『良かった。忙しくて放置してしまって申し訳ない。こちらは落ち着いたから、合流しよう』
「お兄様、アディ、ありがとうございました。助かりましたわ……カミーユ様が落ち着いたそうなので合流できそうです」
「何も無くて良かったですわ……」
「これは……夜、会議だな……」
お兄様は守る会のブローチに魔力を流し書き込んでいるようだった。これは、たしかに……会議案件ですわ……
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───ベルチェ家鍛錬場の更地(カミーユの闇部屋)
各々、夜ご飯を済ませた後、ベルチェ家に集合していた。やはり内密にしなければならないので、カミュ様が闇魔法で部屋を出した。
お留守番していたエミリーとリーニャ、パーティにはいたが、その場にはいなかったメンバーに、一応詳しく説明した。
「──精霊王様も、アングラードは特に注意して見てる。きっとアイリは目をつけられてしまったわ……もうっ!精霊たち何やってるのよ〜!」
──リーニャは恐ろしいことを言う。
でも、たぶん、そうだろうね? 死霊まみれの国なら……聖女様は喉から手が出るほど欲しい存在よね……?
「──今日は王に代わり、王太子のジョアキムが来ていた。おそらく、あのジョアキムは替え玉だろうな。俺にも魔力が見えれば……!」
「仕方ないですよ。おそらく、あの場で替え玉だって気がついていたの私だけでしょうから」
──魔力が見えるということは、替え玉なんかも分かってしまうということ。便利だけど、言ったらまずいから、それはそれで困るんだね……!
『──アイリ、話したいことがあるから、バルコニー来てくれる?』
『分かりました!』
──とりあえず、まだ何も出来ることはないので、日常生活も注意を払うことと、ブローチを介し密に連携をとることを確認して会議は終わった。
話ってなんだろう? アングラードのことかな?