アイリ、オジエ夫妻に憧れる
結婚に憧れる回。
───王城庭園
──庭園では、たくさんの人が歓談している。
皆、色とりどりのドレスで、花々にも負けないくらいの豪華さでとても綺麗。
今日は、大きいパーティで、国内の全貴族家や、商人などの資産家、国外の王家の者も参加するらしい。
とりあえず、今日はデビュタントの日なので、カミュ様にお目通りをして、無事に社交界デビューすることができた。
──とは言っても、先月お披露目のパーティを開いてしまっているので、厳密にはもうデビューしていたけれど。
カミュ様は、念話で 『後で話したいから落ち着いたら合流しよう』 と伝えてきた。
きっと、来賓の方々もいらっしゃるから、お忙しいのでしょうね?
「──アルベルティーヌ様、こんにちは! また素敵なドレスになって嬉しいです! 先日のお洋服もありがとうございました!」
「ふふふ! アイリーンちゃん、こんにちは。改めて、デビュタントと婚約、おめでとうございます!
先日は、陛下とのデート♡楽しかったかしら? 陛下から追加でお洋服も頼まれているから、またデート楽しんでいらっしゃいね!」
「今度は王都にも行ってみたいと思っているんです。アルベルティーヌ様の工房も見学させていただけたら嬉しいです!」
「うふふ! 陛下にも遊びにおいでって言ってあるの! 2人でウェディングドレスの相談にいらっしゃいな♪」
──ウェディングドレス……! そうだ! 婚約したからそろそろウェディングドレスも決めなきゃいけないのね……!
お父様……お金のかかる娘でごめんなさい……! 今日のパーティでガラスの宣伝、頑張りますっっ。
──そういえば、驚いたのは、アルベルティーヌ様の旦那さん? ……熊……のような人だった!
「おお〜! お初お目にかかります、ベルチェ公爵令嬢アイリーン様! アレットが夜な夜な頑張って作っていたドレスはこれかい? ベルチェのガラスビーズが綺麗な代物だ!」
「ええ! この子がお友達のクロエ様の娘さんなの。陛下もお友達のアンジェリーヌ様の息子さんでね? もう2人が可愛くって頑張っちゃったのよ! ──アイリーン様、主人のアンドレです!」
「こんな可愛いお嬢さんにドレスを着てもらえたら、いこちゃんもアレットも喜ぶよ。何かご入用のものがあれば、いつでも声掛けてくれな!」
──美女と……野獣?
でも、アンドレさん、すごく良い人そう。熊みたいに大柄だけど、朗らかで笑顔が優しくて。
ふわふわとしたアルベルティーヌ様を優しく見つめるアンドレさん。──きっと、すごく仲の良い夫婦なんだろうな!
──そう伝えると、2人とも照れながら、『これから陛下とそういう関係を築きなさい』 と微笑んでいた。
カミュ様と結婚……国王と王妃だから、ほのぼのとした生活だけもしていられないだろう。
だけど、夜は一緒に葡萄酒を飲んで、週末は王城のお庭で精霊たちとお酒を飲んだり、殿下やエミールさんたちと一緒におしゃべりする……想像したら、きっと楽しい毎日になると思う!
──カミュ様も、少しは楽しみにしてくれていたら……いいな。