SIDE:カミーユ─言えずにいる─
1章のSIDEカミーユのエピソードの話
2章の婚約の儀の話
が関わってます〜☆
カミーユ視点 日曜のデートの回想
───ベルチェ領 領都ベルティーユ
昨日、エミールに見張られて頑張ったおかげで、無事デートの時間が取れた!
今日もあの侍女のエミリーは最高の仕事をしてくれた。
一般庶民が着るようなデザインの服なのに、メイクも薄いのに、可愛すぎるじゃないか……!
忍ぶつもりもないけれど、これでは、お忍びデートにはならないな。お忍びデートは王都でしよう。
何を考えているのか? 顔を赤くしてこちらを見てくるアイリが可愛い……俺、今日色々と大丈夫かな……
「──え? 黒髪?」
「──あっ……えと、アイリのことが好きすぎて、アイリーン嬢の姿にアイリの元の姿をいつも投影してるんだ……」
──プレゼントした服を喜んでくれるアイリの姿に舞い上がって、つい! うっかり! 口を滑らせてしまった……!
エミールに 『ストーカー気質で色々と気持ち悪い』 って注意されていたから気を付けていたのに!
一瞬引いた顔を浮かべたアイリだったけど、さほど嫌そうじゃ……ない……?
アイリの心の広さで助かった〜!!!! 俺、絶対挽回する!
──はずなのに?
どこに行ってもアイリーン様! ベルチェの姫様! って……!
アイリーン(元の!) 人気……すごかったんだな……!
いや、貴族たちからも好かれているし、当たり前だけど……目の当たりにすると、びっくりした。
可愛いけど、アルベールの妹っていう認識だったから、改めてこんなに人気だとは……!
てことは、アイリ……モテるのか!? 早く結婚したい……秋早く来ないかな……!
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アイリが助けた少年の家にお邪魔した。
少年の父親がお揃いでグラスを作ってくれると言うので、お言葉に甘えた。
少年の父親の作業を食い入るように見つめるアイリが可愛かった。
魔力が見れたら楽しいのだろうな、と少し羨ましく思った。きっと彼女の目には、魔力が注がれているのが見えているのだろう。
──きらっ
ふと、反射した光で窓際に目をやると、スノードームが並んでいた。
アイリの住んでいた所は、冬になると真っ白く雪が降り積もる所だった。
少年に頼んでこっそり買って、包んでもらった。
──でも、買ってから気付く。
これをあげたら、向こうの世界のことを思い出して、帰りたくなってしまったり……しないだろうか?
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──オジエ夫人におすすめされたバルでお酒を飲んでいた。
「今度から闇部屋で一緒に晩酌もできますね♪ お揃いのグラスで葡萄酒飲むの楽しみですね♪」
お酒を飲んだからか、ふにゃっと笑って、顔を少し赤くさせながら柔らかく笑うアイリが可愛くて……言葉が出なかった。
普段は恥ずかしがり屋なのに……ふとした時の爆弾の威力……っ!
闇部屋でお酒飲んで2人きりなんて……無理だ……! 俺には手を出さない自信が無い!
──そんな汚れた俺とは違って、精霊たちの心配をするアイリは優しくて。精霊たちにお礼がしたいと言う。
精霊たちはアイリに助けられたから、むしろ何でもしてあげたい! って感じだけど。
あの気まぐれな精霊たちが、そう思って動くんだから……やっぱりアイリはすごい。
普通の女の子だから忘れそうになるけど、やっぱり彼女は "聖女様" なんだ──
「そっかぁ、じゃあ今度もらおうかな? 水路の見張りもしてもらってるし、何かあげたいんだけど……向こうの世界戻れるなら日本酒とか梅酒持ってくるんだけどなぁ……ごめんね?」
精霊たちと向こうの世界の話をするアイリ。
もし帰っても、またこちらに戻ってきてくれるだろうか? この言い方だと戻ってくる前提だけど。
アルベールからもらったメモは、まだアイリに伝えられていない。
いつか言わなければ、と思う。
けれど、アイリの側の居心地が良くて、もう手放せそうにない。
本当は向こうの世界に帰れるって知ったら、怒るだろうか? 向こうに帰ったら、向こうの世界の方がやっぱり良くて、帰ってこなかったら……?
──そう思うと、言い出せずにいる。アイリの母上と弟さんのこともあるし、本当は早く言わなければいけないのに。
ベルチェ家の邸まで送り、悩んだけれど、スノードームをプレゼントした。
アイリは喜んでくれた。次のデートもしたいと言ってくれた。
いつ言おうか。
早く言わなければ幻滅されてしまうかもしれないのに……
考えていたら、目の前で首を傾げているから可愛くって、思わずキスしてしまった。
──そうやって、どんどん好きになったら、もし離れなきゃいけない時が来てしまったら、俺が辛くなるだけなのに。
もういっその事、指輪に血を交わして、結婚してしまおうか……?
契約したら、こちらの世界にアイリを留めておける?
──ガーデンパーティには、言う。言った上で選んでもらう。
言えずにいるちきんなカミーユ
2人とも思いのほか好きになってしまってどーしよー的な。
じれったい()