SIDE:カミーユ─デートまで─
カミーユ視点。
2章のドレスの試着の回の話、SIDEアルベールの回の話(雰囲気)が入ってます。
カミーユ視点 金曜の出来事
───アトリエ・ド・アルベルティーヌ
「いらっしゃい、陛下! 今日も変装がすごいわね!」
「こうでもしないと城を抜け出せなくて」
そうなのだ。エミールが探しにくるからな。抜け出すには隙を上手く突くしかない。
まぁ、ウェントが久しぶりの城の脱出で、張り切って手伝ってくれたおかげなのだが。
──出来上がった服はジーンズ生地で、一般的なデザインだった。
だが、所々にリンクさせたチェック柄の白い生地がお揃いで、着るのが楽しみになった。
「アイリーンちゃんの白薔薇のドレスの縫い直しもあるから、この後ベルチェ家に持っていくこともできるけど……直接渡したいわよね?」
「ええ! 直接渡しに行きます! ──あの素敵なドレスの縫い直し……とは?」
「ああっ! ベルチェ卿に頼まれてね? 諸事情あってお披露目を早めたから、ガーデンパーティに向けて少し手を入れてほしいって。少しデザインを変えてドレスをリメイク致しますの!」
──そうか、あれはデビュタントのドレスだから、薄いクリーム色だったのだな。失念していた……
「あら! そんなに申し訳なさそうな顔しないで? きっと何かあったのでしょう?」
「──ええ、まぁ。でも、アイリーンは上手く場をおさえ、王妃に相応しい所を見せてくれた。強く、賢くなければ王妃は務まらないからな」
「ふふっ、でも魔法での攻撃は無かったみたいね?」
──何故、オジエ夫人が知っているのだろう?
「ああ! あのドレスには私の魔法が掛かっておりますのよ。あのドレスの胸元の花、白薔薇はアイリーンちゃんの気持ち。
もうひとつ隙間を埋めている白い花は "カモミール" の花なの。あの小さな花に、アイリーンちゃんを守ってくれるように魔法糸で少し防御の魔法を掛けておいたのよ」
「防御の魔法……」
「──カモミールの花言葉は "逆境に耐える"、"苦難の中の力"、"あなたを癒す" ──踏まれても生きる、可憐なのに強く逞しい花なの。養生から帰ってきて美しく強く咲く……ね? アイリーンちゃんにぴったりでしょう?」
──なるほど、アイリ、アイリーンにぴったりの花だ。オジエ夫人にも守られていたのだな。
オジエ夫人には、ベルティーユのおすすめのお店を教えてもらった。
オープンテラスのカフェレストランに、テラス付きのオシャレなうるさくない上品なバルがあるらしい。
──オープンテラスで人の目があれば、アイリがいくら可愛くても我慢出来る……?
よし! オープンテラスのお店に行こう!
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───王城内神殿
「陛下〜? 抜け出してどこに行ってたんですかぁ?」
「おい、カミーユ! お前のせいで仕事にならん! 報告連絡は大人の基本だろ!」
──やっべぇ……エミールとアルベールがめっちゃキレてる……
「ああ! 週末のデート用の服が出来たから取りに行ってた! ごめん(てへぺろ)」
「カミーユ。今日サボった分、明日は仕事だぞ? みっちり仕事しろよ♡ 犬小屋に首輪で繋いでやるから♡」
「──アドリエンヌ嬢、週末うちでお茶会だった……よな? すまない、明日でもいいか?」
「はいっ! アルベール様! アイリ様にはそうお返事を致しますわ!」
「すまない、このバカ犬のせいで……くつろいでいってくれ」
──ああぁぁぁぁ、久しぶりのエミール加虐モード……怖いよう……!
あれ? アルとアドリエンヌ嬢……仲良さげ……? ──あの、女に興味ねぇって振りまくるアルが……? 笑顔……!?