アイリ、領民に餌付けされる
ほのぼのデート回。
───オープンテラスのレストラン
周りの視線に耐えつつ、ランチ中。
カミュ様に分けてもらったフライも、私の頼んだムニエルもとっても美味しい!
日本にいた時も川魚をよく釣って食べていたけれど、この国でよく食べられている川魚は鱒に近い魚。フライもムニエルも合う♪
けど、ヤマメとかイワナとかニジマスの塩焼きも好きだった。お嬢様がまるかじりはお行儀良くないので、あっても食べられないと思うけど……!
「食後の飲み物は何にする?」
「カフェラテにしようかしら……?」
「じゃあ、カフェラテとコーヒーを頼もう」
カミュ様が呼ぶと、店員のお姉さんがすっごい嬉しそうな顔で飛んできた。まぁ、カミュ様イケメンだからね!
しばらくすると、デザートとカフェラテ、コーヒーが運ばれてきた……のだけど。
「わぁ……ラテアート……! 器用ですわねぇ……」
「すごいね、僕とアイリーンの顔が描かれてる!」
「──これはちょっと飲むのが勿体ないですわ……!」
ラテには、私たちの顔が描かれていた。それに、デザートもサイズが小さめで、プレートに全種類乗っているし!
──これは、店員さんの粋な計らい……?
「こんなにデザートいただいちゃっていいのかしら……?」
「アイリーン様! 先日は私の弟を助けていただきまして、ありがとうございました!」
「あぁ! もしかして、先日の襲撃に巻き込んでしまった子どもたちのお姉さん……!? 怖い目に合わせてしまってごめんなさいね」
「いえ! 家族一同感謝しております……!」
──どうやら、彼女がこちらに気を配っていたのは、どうにかしてお礼を言いたい、とタイミングを計っていたため……らしい。
「弟はたぶん、市場か商店街にいますから、きっとアイリーン様に会えたら喜ぶと思います……!」
「ええ! これから行ってみます♪」
──デザートもどれも美味しかった。今度はエミリーも連れてこよう♪
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───市場
──ここでもやっぱり私たちは全然忍べていない!
「アイリーン様! 陛下! ご婚約おめでとうございます!」
「ベルチェの姫様! お祝いにこれ持って行ってください!」
「お二人ともお美しくてお似合いです……!」
「姫様のワンピースとても可愛らしいです……! 陛下とお揃いの服……素敵です!」
色々な人に声を掛けられ、にこにこ〜と手をひらひらさせるご機嫌のカミュ様。めっちゃしっぽがブンブンしてます……!
そして、持たされたカゴには次々と色々な食べ物が……! 餌付けされるベルチェのお嬢様って……いいんですかね……
『祝われるって嬉しいよね〜。お似合いだって♪ しかし、アイリーンってやっぱり領民に人気なんだねぇ』
『嫌われないように頑張りたいと思います(白目)』
『ははっ! それはプレッシャーだねぇ』
念話で会話してくるカミュ様。すごく楽しそうな顔してますね。
──ええ、アイリーンの人気がすごくて、ちゃんとアイリーンになれているのか怪しいので、少しプレッシャーを感じます。
でも、お祝いされて、喜んでもらえるのは嬉しい♪