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アイリ、名付ける

友情回part.2


 ───ベルチェ家 庭園



 エミリーの手によって可愛らしいお嬢様へと変身した後、アイリーン(猫)とエミリーに連れられ庭園に来た。


 そういえば、日本で召喚された日は12月31日だったが、こちらの世界は5月だった。

 今日は、5/2(金)らしい。なかなか温暖で過ごしやすい。そしてやっぱり異世界なのだと実感した。


 庭園は、花と緑が美しい綺麗な立派な空間。

 公爵家のすごさを目の当たりにした。これが敷地内だなんて……まるで、大きな公園だ。

 エミリーいわく、アイリーン様は庭で読書をしたり、お茶をするのがお好きだったらしい。

 ちなみに、エミリーの父が庭師をしているそうだ。素敵!



 庭園を進むと、アイリーン様のお気に入りだという、芝生のエリアへと出た。ここは、アイリーン様の庭らしい。


 広い芝生を囲むように低木が生え、スペースを区切っていた。

 芝生広場の左側には可愛らしい白い東屋があり、囲むように薔薇が咲いていた。

 東屋の傍には立派な広葉樹が一本生えており、太い枝に吊り下げられた椅子がゆらゆらと揺れていた。


 東屋に入ると、木目が美しい天然木のテーブルを囲むようにソファーや椅子が置かれている。

 ブラウンのソファーには、くすんだ落ち着いた色合いのピンクのクッションがあり、アイリーン様らしい可愛らしい空間になっていた。


 アイリーン様(猫)は、この空間が久しぶりだからか嬉しそうにくるくると歩き回ると、ソファーの上の丸くて大きなクッションの上に丸まった。



 「こちらでお茶にしましょう、準備して参ります。アイリ様は、何かお好きなものやお嫌いなものはございますか?」


 なんでも食べられると伝えると、エミリーは嬉しそうに頷き、早速準備に取り掛かった。

 アイリーン様(猫)の隣に腰掛けた。ソファーはふわふわで包み込まれるような快適さがあり、気持ちよくて寝れそう。



 「そういえば、猫の状態で "アイリーン様" とお呼びするのは、色々とまずい気がするのですが、お名前はどうしましょう?」


 アイリーン様(猫)は、ぴょんっと膝に飛び乗ると甘えるように擦り寄った。

 名前をつけてほしい! ときらきらとした金色の瞳で見つめられ頼まれた。

 ──名前……アイリーン様(猫)に相応しい名前!

 ええと! "アイリーン" と "にゃんこ" から取って……


 「 "リーニャ" はどうでしょう?」


 アイリーン様(猫)はしっぽを振ると、嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らした。

 「アイリ様! ありがとうございます! では、今日からは "リーニャ" として、第二の人生……いや! 猫生を楽しみますわ!!」


 リーニャの名前が決まったタイミングで、お茶会の準備もできたようだ。リーニャが喜んでくれてよかった。



 ──エミリーが準備してくれた軽食やお菓子はどれも美味しく、初めて食べたとは思えないほどにしっくりと馴染んだ。


 「──ところで、何故アイリーン様は猫の姿になったのですか? 夢では "精霊" と仰っていたと思うのですが……?」


 リーニャは頷くと、猫になった経緯を教えてくれた。


 ──魔法で魂を分離された後、色々あって精霊王に会うことができ、精霊王の加護を受け "光の精霊" となった。

 精霊となっても、しばらくの間は精霊としての力は使えない。

 精霊となって二年経ち、精霊として馴染んできた頃、私が召喚された。


 見ず知らずの世界に一人召喚され、心細いであろう私を助けたかった。

 光の精霊として、私に加護を授けたのが初めての "力の行使" だった。

 それにより、力を多く使ってしまい、体が小さくなった。

 そこで、小さい姿であれば、ある程度は姿の変化が出来るようになったことに気が付いた。

 それは、精霊王の計らいだろう──と、リーニャは言った。


 「──側に居やすいように猫の姿に変化し、アイリ様のサポートをしようと思いましたの。この姿でしたら、ある程度の力の行使が可能ですから」

 「リーニャ……ありがとう……」


 リーニャ……すごくいい子みたい。

 嬉しくなって、もふもふっとリーニャに頬ずりをする。リーニャはくすぐったそうだ。

 ──分かった。リーニャのためなら、浄化頑張るよ!



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