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アイリ、アドリエンヌの過去を知る

アドリエンヌの回。


 ───王城内 談話室



 カミュ様にとりあえず事の顛末を報告すると、対応してくれた。

 しばらく歓談を楽しんでほしい、とパーティ参加者に一時抜けることを伝え、気絶したアドリエンヌ様は体調が悪いことにして、談話室へと連れて来た。


 後は、お父様やお兄様が上手くやってくれるらしい。

 念話でやり取りしたので、よろしくお願いします〜!!!! と押し付けてきた。



 ──目を覚ましたアドリエンヌ様からは、もう殺気のようなものは感じられなかった。

 むしろ、彼女からは、やはり悲しみや諦めのような表情が見えた。


 「──ねぇ、私、アドリエンヌ様のこと知りたいんだけど、普通におしゃべりしませんか?」


 暖かいミルクティーを差し出すと、おずおずと受け取ってくれた。

 そして、夢で見たこと──おそらく、アネットの霊に見させられていた過去のアドリエンヌ様の記憶、を伝えると、彼女は話し出した。



 ──彼女の母は、彼女を産んですぐに亡くなった。

 彼女の父は再婚すると、幼い彼女のことを邪険に扱うようになった。


 彼女の父も、新しい母も霊力は無かった。

 そのため、()()()アドリエンヌ様を疎んで、2人の間にできた妹に愛情を注ぐようになっていった。



 ──アドリエンヌ様は、幼い頃から魔法を使う器用な子だった。


 周りの幼い子たちからは、同年代の子よりも魔法が使える妬みか、それとも見える異質さに対してなのか、仲間外れにされた。

 両親も、使用人たちも、魔法を使うアドリエンヌ様に 『令嬢らしくない』 と言い、妹と比べたらしい。


 ルヴィエ家の使用人の子どものアネットだけが、唯一、アドリエンヌ様を理解し、仲良くしてくれた。

 しかし、アネットはアドリエンヌ様が12歳の時、流行病で亡くなり、仲が良いのは死霊だけとなった。



 ──アドリエンヌ様が13歳の時、春の武術競技会で大人に負けないカミュ様の戦いぶりを見て憧れた。


 カミュ様を手に入れたら、周りのみんなを見返せるのではないか?

 そんな気持ちから、カミュ様の周りに死霊たちを差し向けてしまった。元々引き寄せることは分かっていたので、バレないと思ったらしい。


 カミュ様が適度に衰弱した所で、目の前で死霊たちを減らし、カミュ様に好きになってもらおう──と思っていたが、死霊たちは消されてしまった。

 私が現れてしまい、予定が狂ってしまったのだ!



 父親が数週間前に執事と、今回の婚約祝いの品について話しているのを偶然聞いてしまい、婚約を知り焦る。

 そこで、父親が私の魔法行使力の高さを褒め、私とアドリエンヌ様が比べたことが、襲うきっかけとなってしまった。


 そして、私に監視の霊を付け、ゴロツキを雇い襲わせたり、陛下に監視の霊を付けたり、殿下を襲わせたりして……今に至る──と。



 「──本当は、誰にも好かれるアイリーン様が羨ましかったんです。アイリーン様を死霊越しに見ている時も、使用人に愛され、陛下にも愛されている──誰からも認められるあなたが羨ましかった」


 「浄化の力以外は私と変わらない、って死霊たちに言われ、その通りだと思ってしまった私が浅はかだったのです。そんな能力が無くとも、素敵な女性ですから好かれるのに……」



 ──そっかぁ……まぁ、悪霊に唆されてしまった被害者、でもあるのね……




アイリに通じるものもありつつ、違ったのは周りの理解と愛だった(泣)

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