アイリ、陛下と婚約の儀に挑む
婚約しました。あっさり。
「──お嬢様! とっても可愛いですっ!」
「ありがとう、エミリー! 今日もエミリーの腕はすごかったわ!」
──6/1(土) 王城内神殿で婚約の儀を行うので、部屋であの白い薔薇のドレスを着て準備をしていた。エミリーが髪を結わえ、アクセサリーを着けてくれる。
─エミリーの本日のお嬢様レシピ♪─
・メインの白い薔薇のドレスに合わせ、アクセサリー類もシルバーと、ダイヤモンドやガラスパーツです♪
・念話のブレスレット、解毒効果のあるネックレス、結い上げた髪に着けた髪飾りのコームは近接戦の暗器! 光の魔力を通すことで目くらましができ、コーム自体も武器になる優れものだそうです! (おそらくお嬢様が何かの機会に陛下からプレゼントされたもの!)
・携帯用の鞭は、お嬢様の太股の鞭ホルダーに。
・髪は儀式なので、編み込み、後ろできっちり目にまとめてあります♪
「ねぇ……エミリー、暗器と鞭ってさ……今日、要る?」
「何をおっしゃいますか! 今日はリーニャは行けないんですよ? 儀式に入りましたら私も下がりますし。いざとなりましたら、グサッとビシィッとやっていただきませんと。まぁ、陛下とアルベール様もおりますし、お嬢様強いので大丈夫だと思いますけれど。」
すっかり、何かある前提で話が進むのが我がベルチェ家……!
というか、もはや襲ってくるの決定みたいで怖いんですけど! いや、陛下もお兄様もいるし。ダイジョブダイジョブ〜☆
──って、思っていたけど、今のところ何も無い。
王城内に入って悪霊たちが睨みかかってきて怖かったので、こっそりと浄化してやったくらい。滞りなく儀式が終わりました。
構えていたけれど。儀式と言っても、王城内神殿にて、お互いの家族だけの小さいものだった。
お互いの身の潔白を誓い、陛下から婚約指輪を指にはめてもらった後、指輪にお互いの魔力を注ぎあう。
そして、最後にお互いの指輪にキスをする。これで婚約の儀は終了☆
正式に結婚すると、お互いの婚約指輪に血を一滴ずつ捧げることで婚姻の証と、結婚指輪になるのだという。
結婚指輪になると、婚姻を解消しない限り外れないらしい!
そのため、お互いを守るための防御魔法などを掛けるのが一般的だそうだ。
──お父様は泣いている。早くないですか? まだ婚約ですよ? 今から泣いていたら、結婚式どうするんですか?
ちなみに、今日初めて王弟殿下であるシルヴァン殿下を見ることができた。9歳! 子犬……! 可愛い子犬ちゃん! ちっちゃい陛下みたいで可愛い! この子も将来イケメン君になるに違いない。
「アイリーン嬢、とってもお綺麗です。早くおねえさまって、お呼びしたいです! お兄様をよろしくお願いします。あと、水魔法をとてもかっこよく使いこなすとお兄様から聞きました! 僕も水魔法の使い手なので、いつか強い魔法教えて下さいね!」
──ええっ! なにこの天然人たらし……! 仲良くしようね〜〜〜♪
っていうか、陛下! 勝手に何吹き込んでくれちゃってるんですか。もはや弟君の私に対しての認識が "戦うお義姉様" じゃないですか!!!!(泣)
「シルヴァン? アイリーン嬢はもう僕の婚約者なので、構うのは程々に。しごかれたいなら、僕が相手してあげるよ」
9歳の弟君に、つーん。しごいてやるぜ! って、陛下! 大人げないですっっっ!
愛理ちゃんチョロいぞ……!!!!!