SIDE:アルベルティーヌ─ドレスができるまで─
アルベルティーヌ回。世話焼きのミセス。
クチュリエール(裁縫師)アルベルティーヌの視点小話
───5/6(月)アトリエ 応接室
「オジエ夫人、久しぶりだな。」
「お久しぶりですわね! ベルチェ公クロヴィス様!」
※フルネーム:アルベルティーヌ・オジエ
クロエ様がお亡くなりになって、葬儀の時以来かしら? きっと、アイリーンちゃんのドレスの件ね?
「こちらまでご足労頂き恐縮ですわ……! ご連絡頂けましたら、邸の方に参りましたのに。」
「いやいや、それには及ばない。相談があってな。防音魔法を掛けさせてもらってもいいだろうか?」
──こうして、防音魔法を掛けるクロヴィス様。
どうやら、婚約の儀が約3週間後の6/1に行われるらしい。そこにドレスを間に合わせることができないか、という相談だった。
なかなかハードだけれども、婚約なら……それはドレス着たいわよねぇ?
なんだぁ、アイリーンちゃんも遠慮せずに言ってくれたら良かったのに! まぁ、難しいわよねぇ、いい子だし……!
「婚約の儀をきちんとするなんて、アイリーンちゃんはどこの良いお坊ちゃまを捕まえちゃったのかしら?」
「まだ公表されていないので、内密に頼む。……陛下だ」
──えええええええ! アイリーンちゃんとカミーユくんが結婚!?
あらぁ、とっても良いじゃない! 二人ともそんな歳になったのね……!
これはきっと、アンジェリーヌ様もクロエ様も天国でお喜びになっているでしょうね!!!!
「あら! きっと生きていたらお二人も喜んだでしょうね! 私も自分の子のように嬉しいわ!!!!」
「──だろうな。ドレス姿を見せてやれなかったのが残念だ……。7月のガーデンパーティで、婚約のお披露目を兼ねる。10月の秋の豊穣感謝祭にて、結婚のお披露目をする。
結婚式は陛下の希望で、王城内の神殿で内々に行うことになった。どうやら、先代に似て、派手な催し事は嫌いらしい」
──内々に行うなら、おばちゃんも式に呼んでくれないかしら〜?
結婚式のドレスも作らせてもらえないかしら〜? 二人のためなら頑張っちゃうんだけどな〜〜〜
「──大丈夫だ。アルベルティーヌ。式のドレスも君に発注するから。二人のために腕を発揮してやってくれ」
──あらぁ? 私ったら、顔に出ていましたかしら?
「あの子が養生から帰ってきて、最近体づくりを頑張っていてね? おそらく服が合わなくなってきている。
──でも、あの子は優しいからね、ドレスや服をせがまないんだよ。だから、ついでに良さそうなものを幾つか見繕って作ってやってほしいんだ。動きやすいものだと喜ぶだろう」
「かしこまりました! あの子は、クロエ様に似て、優しくてアクティブなお嬢様ですのね? ドレスの件承りましたわ! 急いで仕上げて参りますね」
──ここからは寝る間も惜しんで、ドレス製作にあたりましたの。私、久しぶりにやりがいの感じる仕事で楽しかったわ!
私の可愛いお友達 "いこちゃん"(蚕) に糸を吐き出してもらって、緑の魔法でしなやかに強く輝くように、魔法を細く長く練りながら魔法糸を紡いでいくのです。
この糸は、大事な胸元のお花の部分とビーズの縫込みに使うの♪
アイリーンちゃんのイメージは、清楚な外見の中に光る強さ。
そうね! カモミールの花がぴったりだわ!
魔法を込めて、願う。
あの子たちを守ってくれますように。養生から帰ってきた強さ、美しさがより際立ちますように───
──あぁ! 早くこのドレスを着たアイリーンちゃんを見たいわ!
頑張ってドレス作るわね! カミーユくんも喜ばせたいし! 頑張っちゃうわよ〜〜〜〜!!!!
アルベルティーヌ様は、服飾が好きすぎて独立しちゃった元子爵令嬢。
服飾の道が諦められず、オジエ商会(大商人)の元に嫁ぎ、独立してしまったガッツのあるお方。
アンジェリーヌ(先代王妃・カミーユの母)とクロエ(ベルチェ公爵夫人・アイリーンの母)とは、令嬢時代からの親友。
いつか、シリーズでアルベルティーヌ様の結婚するまでとか書けたりしないかな(白目)
※妄想は大好きなのに、文才のない私。そして、まず書き始めちゃったので、これの完結だけが当分の目標です。