アイリ、ドレスを試着する
アルベルティーヌ様が頑張った回
───ベルチェ家 応接室
「うわぁ……! まだ2週間しか経っていませんのに! アルベルティーヌ様、ありがとうございますっ!」
5/25(土)、クチュリエールのアルベルティーヌ様がいらっしゃった。ガーデンパーティで着るドレスが仕上がったらしく、試着をすることになった。
白に近い、薄いクリーム色の艶やかな良質の生地がベースで、胸元にはサテン地の白い薔薇の花が3輪。薔薇の花弁の所々には透明なガラスビーズが縫い込まれ、キラキラと光を反射する。
サテンの艶やかな薔薇の花の花の間には、違う生地で作られたマーガレットのような白い小ぶりの花があしらわれていた。小ぶりの花の中心には黄みがかったガラスビーズがキラキラと輝いていた。
「──この花はね、カモミールの花。花言葉は "逆境に耐える"、"苦難の中の力"、"あなたを癒す"……強く逞しい花なの。ふふっ、アイリーンちゃんにぴったりでしょう?
養生から元気に帰ってきたあなたが、これから何があっても強く幸せに咲いてほしい……そういう願いを込めたの。」
『それに王妃になったら、大変なこともあるでしょう?』と、にっ! と笑顔を見せるアルベルティーヌ様。
あ、婚約相手知ってるんですね??
「先代の王妃様とね、公爵夫人のクロエ様、令嬢時代から仲良くして下さっててね? 服飾が諦められなくて、独立してアトリエを開いてからも贔屓にして下さっていたの。そんな大好きな友達の息子と娘が結婚するのよ!? 私、もう、自分の子どものように嬉しくって!!!!」
アルベルティーヌ様は、ドレスを着せながら嬉しそうに目を細めていた。
「わぁ、お嬢様っ! とっても可愛いです! 胸元下のリボンでブーケのようにして正解でしたね!!!!」
「我ながらいい仕事したわぁ! アイリーンちゃん、可愛いブーケになったわね! あぁ本当に可愛いわぁ!!!! クロエ様にそっくり(泣)」
『アイリ! とっても可愛いっっ! 陛下に見せるの楽しみね!』
みんな褒めてくれた。陛下に見せるのが、今更だけど恥ずかしくなってきた……!
うん。すっっごく可愛いの! そして、ボリューム感がある割に軽い。胸元下から切り替えで重ねられたチュールがいい仕事をしているっっ! キラキラのビーズたちも素敵!
しかし、お友達二人が一気にお亡くなりになってしまったアルベルティーヌ様もなかなか辛いよね……
───軽いお直しをした後は、もう納品となった。アルベルティーヌ様の仕事は早い!
お父様の先日のお言葉に甘えて、いくつかドレスとワンピースを注文した。嬉々として、デザイン画をエミリーと共に描きあげていた。リーニャも念話で参戦していた。
ダンスと鍛錬のおかげか、少し体が健康的になってドレスが合わなくなってきていた。
丁重にお礼を言うと、アルベルティーヌ様はニマニマしながら教えてくれた。
「クロヴィス様が、わざわざアトリエにいらっしゃってね? 『 6/1の婚約の儀に間に合わないだろうか?』って。婚約のお相手をこっそり教えてもらって、嬉しくって頑張っちゃったわよ〜! だから、お礼はクロヴィス様にお伝えになってね♪」
───お父様……! ありがとうございます! アルベルティーヌ様もありがとうございます(泣)
アルベルティーヌ様の話もどこかで書きたい
しかし私には文才がない(白目)