アイリ、陛下に餌付けする
ほのぼのラブ回。
───アイリーンの部屋 バルコニー(闇魔法部屋)
「──美味しいっ……!」
顔をゆるゆるに緩ませながらプリンを頬張っている陛下。
すごく可愛い……!
「この "プリン" ってデザート、すごく美味しいねっ……! ねぇ、アイリって天才なの?」
──すごくしっぽがブンブンと動いてる……! これはきっとシュークリームも好きかも?
例の闇魔法でバルコニーに作り上げた部屋で、黒わんこにプリンを餌付けしている。
プリンを作った後、手紙をまた送ってみた。そしたら、 『今晩23時バルコニーで』 と返事が帰ってきた。
とりあえず、部屋にあった手頃な木の収納箱に氷魔法を掛けて、プリンを冷やしておいた。
そして、本当に陛下が来たので、プリンを餌付けしてみた。
「──昨日は手紙ありがとう。すぐ返事したかったんだけど、ちょっと忙しかったし。これは直接お礼を言いたかった」
「届いていたみたいで良かったです! 差し出がましい真似をしてすみません」
「──いや、あれはすごく良い案だと思う。リーニャと、エミリーにも後ほどお礼を言おうと思う。
今、実現可能性を検討する為に、検討会を開く準備を進めている。一応、領地を跨るから貴族たちとも連携を取らねばならないし」
「大掛かりですものね……」
「──あ、魔道具に関しては、魔法が流せれば岩石でも良いんだ。だから大丈夫。
ただ、アイリとリーニャの存在は知られないでおきたい。それに、二人に負担を掛けすぎない方法も考えたいし。
エミールとアルと上手く動いていくから、少し待ってて? また何か思いついたことがあれば、気軽に教えてほしい」
「お役に立てそうで嬉しいです」
──どうやら喜んでくれたみたい。
「そうだ! 今度はシュークリームも作ってあげますね♪ プリンが好きなら、きっと好きですよ!」
「──で、あのぉ……とりあえず、数日間分の霊を浄化しちゃってもいいですか? すごく睨まれてて怖いんです……」
「っああ! お願いするよ! これでも数年間まとわりつかれていたことを考えると、数日くらいどうってことなくなるよね……!本当に助かっている。ありがとう!」
少しは楽になっているんだねぇ。それは良かったよ。
召喚されたかいがあるってもんですね!
『光のベールで包み込む〜! 浄化っ!』
今日は広範囲にベールで覆うイメージにしてみた。
今回は女性の霊の睨みがすごかった……!
一応、女性なので優しめにしてみた。
そうだなぁ、次は光の雨とか霧でもいいかも。
──んんっ! 広範囲に光と水の混合魔法とか……いいかも!
「陛下、光と水の混合魔法で、広範囲浄化とかも楽しそうです! しばらく会わずに悪霊溜めて、試してみましょうっ♪」
「ええっ、毎日でも会いたいのに! 嬉しいけど、それはちょっと困る……!」
「そうだ! 浄化のイメージを込めた水を、直接王城内の水路に流して循環させたらどうかな〜? 風魔法や水魔法で流れを早くして!」
「それはいいな。王城内の空気が軽くなるだろう」
空気清浄機的な箱を作って、光魔法掛けた風を出すとかも良いけど、風は生活魔法程度しか使えなさそうだしなぁ。残念!
「せっかく二人きりだから、国のことは後回し!」
「っっ////」
しっぽが萎れた拗ねた黒わんこも可愛い……
次、シュークリームでも作ってあげようかな、とか考えるくらいには陛下のこと気に入ってますよ?
まぁ、直接は言いませんけどねっっ!
シュークリームもエクレアも大好物!!!