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アイリ、鞭使いになる

アイリちゃん、鞭使いになる。


 ───セザールとエミリーと脱出の練習の数をこなすこと、一時間。


 「お嬢様、緑の魔法が得意な者は、その特性上、植物や虫に関しても詳しい者が多いのです。ですから、毒のあるつるや、毒虫をイメージして弱らせるということも可能なんです。──お嬢様ならどうしますか?」


 セザールが再び悪そうな笑顔を浮かべ、質問してきた。


 エミリーがこっそりと念話を送ってくる。

 『光の魔法があれば、浄化や治癒が使えますが、これは秘密の方がいいと思うのです! これは最終手段です。水魔法で何とかする方法を考えてみて下さいね!』



 「──うーん。水で体内の毒素を薄めるイメージ、もしくは、汗か何かで体外に排出するイメージ。

 ジェル……粘度の高い液体に、外側から毒を吸着してもらうイメージとかもありかもしれないわ。 "吸着のジェル" ね!」


 「まぁ、基本は外出の際は防具の魔道具類をアクセサリーとして身に着けるのが基本ですから、大丈夫だとは思うのですが。もし、これは毒かもしれないと気づいた時に、すばやく薄めるイメージや体外に排出するイメージを描くことが大事なのです」


 「──覚えておきますわ! そんな物騒なことに巻き込まれないことが一番ですが、最悪の事態を想定して準備することが大切よね!」


 ──なるほど、お嬢様って大変なんですね!

 もっと刺繍とかお花生けたりとか! そんな上品なイメージだったよ!



 拘束から逃れる訓練に付き合ってくれたセザールにお礼を言い、更地でエミリーと共に二人で魔法の自主練習をした。


 的への精度が少し上がった気がする。

 威力の制御もイメージ通りにできるようになってきた。


 威力だけならやっぱり氷の方がすごい。

 ただ、お父様やお兄様のように火の魔法の使い手なら……魔力量勝負になってしまうのかな?



 「──あの、お嬢様! もちろん、お嬢様のことはお守り致しますが! 何か巻き込まれた際に共同で戦う……なんて時のために二人の合体技や連携技……みたいなのも作りませんか!?」


 エミリーは目をキラキラとさせていた。

 意外とこの侍女、戦闘狂である!



 「──エミリーは毒つるで相手を絡めて弱めて絞めつつ、私が高速の水ドリルとか、高水圧の水カッターみたいなので手足落とすとか!?」

 「それは良いですね! 身動き取れませんね!」

 「それとも、胴体だけ出るように手足だけ拘束してあげて、口はジェルで覆って、私はジェルの鞭、エミリーは蔦の鞭でじわじわといたぶる……なんていうのもアリじゃない!?」

 「わぁ! お嬢様! それもいいですね!!」


 「──それならば、私が土人形を出してあげましょう! 存分にいたぶってくださいませ!」


 遠巻きに自主練を見ていたジェスパーが、イイ感じの土人形を出してくれた。

 色といい形といい……ジンジャーマンクッキーのようで、なんだか可哀想なのだけど。



 ──ビシィッ! バシッ!


 「お嬢様、これ楽しいですね。尋問などにも使えそうですねっ!」

 「奇遇ね、エミリー! 私も楽しい……っ!」

 「動く的でしたら、より練習になるのですが、これでも楽しいですね!!」

 「武器を使う練習にもなるわね。剣や弓ほど筋肉要らなさそうだし、私、鞭使いになろうかしら?」

 「持ち運びも楽ですしね! 太腿に鞭ホルダー着けましょうっ! ジェスパーさんにお願いして!」

 「おお! それならば私、鞭と鞭ホルダーお作り致しますよ!」


 二人で仲良く楽しく鞭を振り回し、ジェスパーさんの作ってくれた土人形を痛めつけた。

 鞭……いいかもしれない。


 ──今日も一日楽しかった。

 魔法を考えるって楽しいっ!

 お嬢様万歳! ファンタジー万歳! この世界万歳! 鞭万歳!!!!




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