アイリ、使用人について考える
長かったので分けました。
───アイリーンの私室
部屋に戻り、湯浴みと着替えを終えた後、紅茶を飲む。
エミリーの入れてくれるミルクティーと、二人とおしゃべりするこの時間が大好き!
私とエミリーはソファーに、リーニャはホットミルクを器用に飲みながら、丸いふわふわのクッションに乗っている。
「ねぇねぇ、エミリー! セザールさんってお強いのかしら?」
「父……ですか? まぁベルチェ家で働けるくらいなので、弱くはないと思いますけれど……」
エミリーは頬に手を当て考えながら、ベルチェ家の使用人について教えてくれた。
ベルチェ家は歴史も長い公爵家。そもそも使用人の質は皆とても高い。
執事のスクールや、メイドのスクールもあるが、倍率が高い家の一つ。
セザールは、武術にも長けており、緑の魔法の使い手として庭師の仕事はもちろん、攻撃魔法、薬や毒にも精通している。
アルベール様ほどは強くはないが、鍛錬の相手としては申し分ないだろう──ということだった。
「なるほど! 人気な奉公先っていうのがあるのね!」
「ベルチェ家は使用人に対しても優しく、仕えがいがある家として人気が高いのですよ。お給金や休みの制度も手厚いですし……」
「そっか……きっとクロヴィス様もアルベール様も優しいし、居心地が良いから、きっと使用人さんたちにも人気なのね」
「──この家の使用人さんたちは、皆プロフェッショナルって顔をしているし、きっと凄い人たちなのね! 私もこの家の者として恥ずかしくないように頑張るわ!」
「アイリ、料理が好きなら、料理長のアンジェロとも仲良くなれると思うわ! セザールもいい人だから、きっと仲良くなれると思うの!」
リーニャがしっぽをフリフリと振る。
──徐々にみなさんと仲良くなれますように!
「もし、出来るなら、お菓子作りとか料理も好きだったからやりたいな〜!」
「アイリは料理だけでなくお菓子作りも趣味なの?」
「うん。向こうの世界ではよく作っていたの」
「アンジェロさんに頼んだら厨房貸してくれたりしないかな〜? さすがに、お嬢様が包丁って危ないって言われちゃう?」
「うーん? アンジェロなら大丈夫じゃないかしら?」
「私もアンジェロさんなら大丈夫だと思います! 気さくなタイプで、面倒見いい人だから、目の前で作る分には止めないと思いますよ!」
「──なるほど! じゃあアンジェロさんに会ったら頼んでみる!」
リーニャが甘えるように膝の上に乗ってきた。
「私もアイリのお菓子食べてみたい!」
「お嬢様……! 私も異世界のお菓子、食べてみたいです!」
リーニャもエミリーも、きらきらとした瞳で私を見つめてくる……!
期待の眼差しが眩しい……っ!
リーニャもエミリーも楽しみにしてくれてるし、アンジェロさんに会ったらお願いしてみようっと!
あと普段のご飯もすっっごく美味しいから、感謝も伝えなきゃ!
「そのうちアンジェロさんに会う機会もあるだろうし、会えたらお願いしてみる! 二人にも私の好きなお菓子食べてもらいたいなぁ!」
「──果物いっぱいいただきましたし? 陛下にもおすそ分け♡しませんとね……! アイリ様のお菓子なら喜ばれますよ♡」
「そうですわね! きっと陛下、アイリからお菓子もらったら喜ぶと思う!」
「っっ////」
──エミリーとリーニャ〜〜〜!
二人とも、またニマニマと悪い顔して〜〜〜〜っっ!!
「あまりからかうとお菓子あげませんからねっ!!!!」
「アイリが可愛くて……つい……」
「アイリ様の赤いお顔が可愛くて……つい……」
ガーン! とした表情を浮かべるリーニャとエミリー。
陛下のことになると、いつもニマニマするんだから!