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アイリ、魔法を使ってみる


 とりあえず、お兄様に魔法の概念を一通り教えてもらうことができた。

 約二ヶ月後のデビュタント、ガーデンパーティまでにある程度の防御魔法くらいは身につけよう、ということになった。



 「陛下とジェスパーに聞いたけど、アイリ様は人の魔力も見えるんだって?」

 「え、見えますよ? 最初は分からなかったんですけど、この世界に来てから、人の後ろに色の付いた靄が見えるんです。

 魔法を使っている所を見る機会はまだ少ないのですが、色やどのような形で魔力が注がれているかは分かります」


 お兄様は何やら一生懸命にメモを取っていた。

 本当に研究熱心ね……!


 「色と、魔力の量と、あとは何となくですけど、人によって強いな……怖いな……っていう感覚が分かります。

 陛下と、お兄様、あと側近のエミール様なんかは強いなって感覚です」


 「うん、おそらく強さや魔力保有量なんかも感覚で分かるんだろうね。アイリ様は人の魔力について視覚化できる能力があるのだと思う」


 ──まーた新たな能力を見つけてしまったよ……?


 「──普通は魔力って見えないものだから、人には言わない方がいい。ただ、相手がどんな魔法適性があるのか、相手の強さが分かるというのは役に立つから生かすといい」


 「はいっ! 言わないように気をつけます!」

 「アイリ様は、只者では無いのは分かってはいたが……

 過去の聖女様も、こんな特殊能力持ちだらけだったんだろうな。そりゃ記録に書けないわけだ……」


 お兄様は盛大に溜息をつく。公に研究材料になれず、申し訳ございません……!



 「──まぁ、せっかくだし……現時点でアイリ様がどれくらい魔法を使えるのか見てみたいと思う。どれくらい使えるか分からないと、攻撃や防御の方法も練れないしね」

 「えっ! 魔法! 使ってみたいです!」

 「的を用意するから、自由に魔法を当ててみてほしい。更地だし、自由にやってもらって構わない」



 お兄様は、普通の木材で作られた "的" に強化魔法を掛けたものを用意し、それを10mほど離れた場所に置いて固定した。


 「さぁ、これに魔法を当ててみてくれ。」

 「壊すイメージでいいんですか? それとも当てるだけですか?」

 「強化魔法は掛けているから、普通の木よりは硬いけれど……まぁ的はあるので、壊せるなら壊してもらっても構わない」



 ──ふむふむ! 水の魔法が得意ってことは、最初はやっぱり水を出してみよう!


 自分の魔力をまとめて水を出すイメージを脳内に描くと、手の中に水が出てきた。


 『水に回転を掛けつつ、高圧洗浄機のように高圧で細く鋭く速く! 的に当たれ!』


 ──シュッ!!!!


 放った鋭い矢のような水流は、的の中心だけ綺麗に丸くくり抜いた。



 「──え?」

 「あのさ、アイリ様って魔法使うの、今日初めて……だよね……?」

 「ごめんなさい! 失敗しました! 的倒せませんでした!

 水圧を上げることを意識しすぎて、水流が細すぎましたね。水に回転掛けたからドリルみたいになっちゃった。もう少し全体的に太く当てて……」

 「いやいやいやいや! 普通にこれ人に当てたら死ぬから。綺麗に的の中心だし、おかしいから! というか、初めてでこの魔法行使力!?」



 ──え、失敗だと思ったのに……! 褒めてもらえた!

 BB弾のおもちゃのエアガンで遊んでいたから、的当ては得意っ!

 それに年末、寒い中ケ〇ヒャーで家の外壁を大掃除した甲斐があったわ!!!!


 「大丈夫です! 対人には使いません。それに、威力弱めればいいだけなんですよね? ケ〇ヒャーじゃなくて、普通のホースくらいに」

 「ちょっと何を言っているのか俺には分からないが、あれは放ってはいけません」


 「──あのっ、的まだ立ってますから! 次、試してみてもいいですか!?」

 「もう、好きにして……」



 『水を空中に分散して、氷の礫になって的まで飛べ!!』


 ──シュッ!! ザシュザシュザシュッッ!!


 「おお、やった! 今度は的が壊れた〜! 木っ端微塵〜!」

 「……」



 ──魔法! 楽しいっっっ!!!!




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