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アイリ、陛下と夜遊びをする③

 

 ───落ち着け、私!!!!

 無心になろうと、紅茶をすする。

 陛下は緑茶だけでなく、紅茶も美味しく淹れられるらしい。ミルクティーも丁度いい温度で甘さも丁度いい。


 「陛下は、緑茶だけでなく、紅茶も上手に淹れるのですね?」

 「美味しかった? 味覚が合うなら結婚しても上手くやれそうだね」

 「……っっ!!!! またそういうことを平気で言う……っ」


 陛下は少年のような、楽しそうな笑顔を浮かべていた。

 私、これ、からかわれているよね……?



 「──この素敵な空間は、闇の魔法で作ったのですか?」

 「うん。ただ、この部屋は結構魔力が要る魔法で、常には作れないけどね? 闇魔法は、夜との相性が良いから、闇の魔力が使いやすい夜限定の魔法なんだ」

 「 "夜限定" って響きがとてもいいですね! プラネタリウムも作れそうっ!」


 ──夜と相性がいいなら、黒い空間で星を映すって、出来そう!


 そう言うと、陛下は笑いながら闇魔法について教えてくれた。


 闇の魔法は、本来は "消滅" など物騒なのが得意な系統らしい。

 陛下も、一番得意なのは攻撃魔法らしく、やろうと思えば、相手の魔法や、相手ごと闇で飲み込むことも出来るらしい!

 それって……最強じゃない!?


 その "消滅" の応用で、闇の中に大きな空間のポケットを作るイメージで物を格納できるようになったのだと言う。

 あまり大きくない物は黒いジャケットやハンカチーフでも良く、大掛かりなものは暗い空間が必要らしい。


 「──あぁ! アイリが見ていた "ドラ〇もん" の "四次元ポケット" だっけ? あれをイメージしたんだよ!」


 ──ほんとこの人、よく見てますね……!

 てか、四次元ポケット見て真似するとか! 応用力もすごいなこの人。頭良いわ!



 「でも、夜に魔法でこんな素敵な空間を作ってお茶会なんて!

 なんだか、ちょっと "夜遊び" してるみたいで、すっごく楽しいです! 何かを消すより、生み出す魔法の方がわくわくします!」


 「アイリがそう言うなら、いくらでも出してあげるよ。

 "消滅" 系の魔法は、アイリに何か起きない限り使わないよ。でも、アイリは可愛い大事な婚約者だからね。アイリに何かあったら、僕は躊躇なく相手を消す」


 にこやかに見えるけど、一瞬殺気のようなものを感じた。

 鋭い眼差しの陛下は、あまり言いたくないけれど、やっぱりかっこよかった。


 ───全くもう! この人はっっっ!!!! 真顔でそういうこと言わないのっっ!!!!



 紅茶を飲み終わったタイミングで陛下が時計を見る。


 「──もう1時か……! そんなに可愛い顔されたら……名残惜しいけど、さすがにもう寝ないとね?」


 陛下は残念そうな顔をこちらに向けた後、少しだけ笑った。


 「明日からレッスン頑張って。何か聞きたいことがあれば、紙に書いて僕に届くようにイメージするといい。生活魔法の一つ、転移魔法の初歩だからアイリにも使えると思う」


 そう言うと、魔法が解除されて、元のバルコニーに戻った。



 「おやすみ、アイリ。手紙待ってるね。早く結婚したい」


 アイボリーの髪の毛を一房手に取り、そっとキスを落として──陛下は消えた。


 ──って! かっっ髪……髪にちゅー!? っっ////


 「だめだ……心臓が持ちそうにない……まだ4日しか経ってないのにストーカー気質の陛下にときめくとか……っ、我ながらチョロすぎるっっ……!」



 ──えー、そんなこんなで、この世界に召喚されて、長いようでまだ4日!


 籠原愛理、18歳! 霊につきまとわれるイケメン犬系ストーカー気質の異世界の王様に "特殊能力持ちの聖女様" & "運命の人" として勝手に15年監視された挙句、召喚され、なんと求婚されてしまいました!!!!


 今日もまた眠れそうにありません!(白目)




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