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アイリ、家族団欒を楽しむ②

家族団欒回。魔道具の使い方に触れる。


 クロヴィス様に今日のことを聞かれたので、話すと嬉しそうに頷いていた。

 お茶会の話や、エミリーやリーニャと仲良くなったことや、魔導具師のジェスパーさんに念話の魔導具を作ってもらったこと。


 特に、お揃いで作ってもらった念話の魔道具の話は食い付きがすごかった。

 ──これは、クロヴィス様も欲しがっているのだろうか?


 さすがに今日は使用人を下げさせていたが、明日からはアイリーンと父、そしてリーニャはペットの猫として過ごすのだ。きっと必要だろう。


 「あの、クロヴィス様、リーニャ……アイリーン様と話したいですよね……? ──クロヴィス様も、要ります?」

 「いっ……! いいのか!?」


 「これで使用人さんを下げずとも、リーニャとお話できますよ!」

 


 クロヴィス様は食い気味に反応してきた。

 かっこいいおじさまの顔が綻び、満面の笑みに変わる光景は……なかなかの破壊力である。

 薄々感じてはいたけれど、さてはクロヴィス様……なかなかの親バカだな……?


 そういうわけで、クロヴィス様が着けやすいように、長方形のガラスパーツをカフスボタンとして魔道具化することに決まった。

 魔導具師のジェスパーさん、大忙しである。

 


 ──そういえば、ジェスパーさんは気のいいおっちゃんだった。

 

 しばらく別荘で養生していた(という設定の)私を見て、泣きながら元気になったことを喜んで、すぐに作ってくれた。

 出来上がった魔道具は、可愛らしいアクセサリーに仕上がっていた。

 ジェスパーさんは魔法の腕がいいだけではなく、手も器用だった。



 ジェスパーさんに念話の魔導具を作ってもらうと、早速、部屋に戻りエミリーとリーニャに教わり使い方の練習をした。

 魔力や魔法のことなんて分かるのかと思ったが、ここでもアイリーンの生前の記憶が役に立った。


  まず、魔導具を使う前に、自分の血を一滴魔導具となっているガラスパーツに垂らし、魔力を流して "所有者認定" をする。

 すると、魔力に反応して、ガラスの色が変わった。私のガラスの色は水色に薄い黄色のマーブルのような色だった。


 エミリーは緑色、リーニャは薄い黄色。エミリーとリーニャが纏っている靄のようなものと同じ色だった。



 魔導具を使う時は、自らの魔力を魔導具に流して、頭の中で話したい人を思い描き話すと念話ができる。

 脳内でイメージする人によって通話する人や人数も切り替えられるという便利なものだった!


 最初は慣れずに、話したい内容を思わず口にしてしまっていたりしたけれど、慣れてくると念話というものは便利だった。

 携帯電話やスマートフォンなどの物が無くとも会話ができる、しかも脳内で思い浮かべるから周りには聞こえない、というのは便利だと思った。


 初めての魔道具と魔法はとても楽しかった。他の魔法もおいおい使ってみたい。



 「──あ、そうだ。アイリ様。明日、陛下がアフタヌーンティーをしようということで、手紙を預かってきた」


 「お茶会のお誘い……ですか?」


 「明日、王城へ一緒に来てくれないだろうか? 私が連れていかないと、拗ねて仕事にならないのだ……」


 ──ええ……おい! 黒わんこ(王様)! 仕事しろ!!


 「クロヴィス様……お疲れ様です……。分かりました。いずれ、召喚のこととか、監視(ストーキング)について……まぁ()()()説明して頂こうと思っておりましたので、喜んで王城へ参上致します!」


 「ああ、助かるよ。手紙は今書いてもらえれば、陛下の元へと飛ばすので、一筆書いてもらえないだろうか?」



 ──手紙も飛ばせるの!? さすが魔法が使えるファンタジー世界!


 『(意訳)黒わんこ、明日城に行くから待っていろ!

今までのアレコレ、ストーキングしたこと、巻き込みやがったことの言い訳聞いてやるから覚悟しとけ! 美味しいお菓子とお茶を用意して首を洗って待っとけ!』



 ──この国の字も書けた! 見たことのない文字だから、少し楽しい。

 アイリーンの体と記憶があるため文字が書けることも読めることも当たり前なのだが。


 こうして書き上げた手紙をクロヴィス様に渡すと、手紙がすっと消えた。

 きっと黒わんこ(王様)の所に届いただろう。




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