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最弱騎士はそれでも最強を目指す  作者: 多摩樹悠一
第一章
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第3話 夢-後編-


村を襲った3頭の魔物


魔物から逃げてきた青年フィルはガウルの作った柵へと誘導するように逃げた。

そして、バキャァッという轟音がしたかと思ったら魔物が柵に激突していた。


最初にぶつかった1頭はガウルが作った柵に直撃し、気を失ったのか動かなくなった。

しかしその衝撃で柵が脆くなったのか2頭目、3頭目の魔物の突進を食い止めることはできず、破壊された。


二人は同じようにアルフの作った柵を利用しようと誘導したが、

アルフの作った柵はあまりにもお粗末で魔物は軽々と破壊し、

そのまま追いかけてきた。


人並みの脚力と体力しか持たない二人は既に息が切れ

万事休すだった。


『うああああああっ』

青年フックが叫んだ。そのときフックはアルフの服を掴み後方へ突き飛ばした。

そしてフックだけ逃げる。

アルフは時間稼ぎのための囮にされたのだ。


2頭の魔物のうち1頭は転倒したアルフを、もう1頭はそのままフックを追いかけた。


転倒したアルフに迫る猪型の魔物。

『うそだろ、この野郎!くそっ。こんなところでこのまま死ぬのかよぉ!』


死を覚悟…できるわけなかった。

まだまだやり残したことはあるこんなところで死ぬなんて御免だった。




『くらえこの猪がぁっ!』

追いつかれそうになったときアルフは思い切って身を屈め足払いを仕掛ける。

一歩間違えれば足を踏まれ骨折、さらには踏みつけられ死ぬ。

仮に運よく決まっても足が蹴られ骨折するだろう。


『ブヒィィィッ!!』


しかし運はアルフに味方した。

足払いがうまく当たり猪は転倒。アルフは足を犠牲に突進する猪を転倒させることに成功したのだ。


『いってぇっ!』

間違いなく骨折しただろう。折れた足が酷く痛む。


『アルフッ!今助けてやるからな!!』

そこへガウルが一本の大剣を携えて戻ってきた。


『喰らえ化け物イノシシ!ガウルスラアアアアシュッ!!!』

ガウルの放った一撃はアルフが足を犠牲に転倒させた猪を一刀両断にした。

そのときアルフは技名に自分の名前を付けるのはどうなんだと思ったがそれどころではなかった。


『どうだ!このガウルまだまだ衰えておらぬわ!』

ガハハと笑うガウルしかし魔物はまだあと2体残っている。


『おせーよ!おっさん!死ぬところだったわ!』

思わず叫ぶアルフ。

『すまんな、爺様(じっさま)たちを逃がしてたら時間くっちまった』


『こここ、こっちも助けてくれえええええっ!』

フックがこちらへ逃げながら泣き叫ぶ。


『くっ!ワシが斬り伏せてやるわっ!』

ガウルが武器を構え、そして魔物と対峙する。

魔物の突進をガウルはその大剣で受け止めた。がズザザザザッと後方へ押される。

力では敵わないようだった。


そのとき、もう1頭の魔物が目を覚ました。

体を震わせこちらに対し強い敵意を放っている。


『ぐうっ!アルフ!フック!動けるか!?』

『無理だ!片足完全に折れてる!』とアルフ

『ひぃぃぃぃぃ』縮こまって怯えているフック


『…ったくワシがやるしかないか!』



『ぬうううおおおおおおっ!』

ガウルは火事場の馬鹿力を出し魔物を振り払った。

だが、その時グキッと嫌な音がガウルの腰から鳴った。


『こ、こんなときにぎっくり腰が…』


『があああああああっ』

柵にぶつかり気を失っていた猪が背後からガウルに突進し、鋭い牙がガウルを突き刺す。

ガウルの悲鳴が轟く。


『おっさああああああああああんっ!!!!!』


残る獲物はアルフ一人だ。

アルフは片足が折れている。動くことも儘ならない。

魔物たちは次の標的であるアルフに襲い掛かってきた。

『あぁ……死んだな』


それがアルフの最後の言葉になった…はずだった。


『…?』


来るはずの衝撃がいつまで経っても来ない。


うっすらと目を開けるとそこには白銀の鎧を纏った女性が立っていた。


風になびく金に輝く髪、輝く白銀の鎧に白銀の剣と盾。その姿はあまりにも神々しくアルフは目を奪われた。


『少年、無事…ではなさそうだが生きてるな。』


残りの2頭の魔物は女性の一撃で絶命しており、ピクリとも動かなくなっていた。


『ガウルのおっさんは…?』

そういうと女性は倒れているガウルの傍に寄り手を当てる。


『ふむ、血は結構出ているが命に別状はなさそうだ。これなら助かる』

そう言うと女性の手を光を纏い、その光はガウルを包み込む。

すると、たちまちガウルの傷は塞がっていった。


『貴女は一体…』


『あぁ私か?私は通りすがりの聖騎士(パラディン)だ。たまたま村の傍を通っていてな。村から逃げてきたおじいさんたちに助けを求められて来たのさ』


『……かっこいい』

アルフは心を奪われていた。自分もああなりたい。助けを求める人のもとへ現れ魔物を倒す。

まさしく英雄の姿がそこにはあった。


アルフは自分もそんな英雄になりたい。そう心から思った。



過去編終了です。

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