第62話 森の中その2
アルフたちの進行方向から逃げてきた傷だらけの緑竜の青年。
緑竜の青年は咳き込み血を吐きながらも声を出した。
『帝国が…あいつら軍を率いてやってきやがった…傘下に入らないなら武力を行使するとか言ってよ…』
『それでどうしたんだ!』
シーデルは何かないかと自身の服を探りながら聞いた
『俺たち抵抗したさ。けど数が多すぎて…ごふっ……ちくしょぉ……』
そう言って涙を流す緑竜の青年。
『お前ら!何か…何かないのか!このままではこいつ死ぬぞ!』
シーデルが叫ぶ。
しかしアルフたちは致命傷を治せるような薬も魔法も扱うことができない。
『頼むよ青竜……仲間を……助け……て…………』
その言葉が最後まで綴られることはなかった。
緑竜の青年は亡くなったのだ。
シーデルは青年の瞼を手で閉じさせる。その手は怒りか、それとも悲しみか、震えていた。
『あぁん?なんか増えてんぞぉ?』
そのとき下卑た声が森の中に響いた。
声の正体は人間の男だ。
兵士のような風貌をしたリーダーらしき男一人とその手下らしき男が五人がこちらに向かってきていた。
『ラッキー。女もいんじゃん。野郎ばっかで退屈してたんだよなぁ』
ネルを見ながら舌を出す男
『貴様らか』
シーデルが問う
『あぁ?』
『貴様らがやったのかああああああああああああ!!!!!!』
激昂するシーデル。
竜化し、その鋭利な爪で一番手前にいた手下の男の首を切り裂いた。
男は声を出す間もなく絶命した。
『あぁ!?青の竜だとぉ!?てめぇら!構えろぉ!!!!!』
咄嗟に指示を出す男。
だが、勝負にならなかった。
激昂したシーデルはアルフたちが手を出す間でもなく瞬く間に兵士らしき者たちを皆殺しにした。
戦闘が終わり、シーデルは竜化を解き人の姿に戻る。
『なぜだ…なぜ我ら竜人族が狙われる……。』
拳を握りしめ肩を震わせるシーデル。
竜人族は個々の戦闘力こそ高いが数は少ない。
更にはその少ない数を4つの集落に分かれて暮らしている。
そこを領土を拡大させようとする帝国に狙われたのだろう。
『シーデル。我ら悲しんでる暇ない。早く他の緑竜を助けに行かなければならない』
ラディアが炎を燈した強い瞳で言う。
『しかし相手が軍となると俺らだけ向かったとしてなんとかなるっすかね?』
オルガルドが問題を挙げた。
『人間など、この私が皆殺しにしてくれる!!!!!!!』
怒りの収まらないシーデルはそう叫ぶ
『シーデルさん。怒りに囚われては戦況を見落とします。どうか冷静になってください』
ネルがそう、シーデルをなだめようと言葉を発する。
『くっ…』
『ここはひとまず青竜と赤竜たちの元に帰り、力を借りるべきです。』
『なら、一人伝令に向かわせて後は救援に向かうべきっすね』
オルガルドが提案をする
『その役目は私が請け負おう。私が竜化し全速力で走り戻る。』
『ん、我らは緑竜の集落に急ぐ。これで決定』
ラディアが握りこぶしを作り言った。
シーデルは青竜と赤竜の元へ、アルフたちは緑竜の集落へと急いだのであった。




