第61話 森の中
青竜たちの集落を出て次なる集落を目指すアルフたち一行。
現在いる場所は森の中。
太陽は真上にあり、小鳥が囀り心地よい風が吹く、そんな中を歩いて進んでいた。
『なぁシーデル。どっちの集落を先に行くんだ?』
アルフは歩きながら青竜の族長の息子であるシーデルに聞いた。
『ここから近いのは緑竜の集落だ。早ければ明日にでも着くだろう。』
『そんな近くにあったんですか?』
ネルが疑問を投げかけた。
青竜の集落を出て早2日。残り1日となると歩いて3日で行ける計算となる。
現在の進行速度は人間であるアルフや女のネルに合わせてある。
竜人族の強靭な足であればもっと速く移動できるだろう。
『あぁ、青竜と緑竜は度々、使者を送って連絡を取っていたからな。他の種族のように絶縁状態ではない』
『何!?そうなのか!?我知らなかった!』
ラディアが驚く。赤竜と青竜は、ほぼ絶縁状態であったため、驚くのも無理はない話だろう。
『緑竜の集落は北にある帝国の領土の近くだ。
時折、帝国の愚か者が我らに害をなそうと来るのを迎え撃っているそうだ』
アルフたちのいる大陸には5つの国と1つの里が存在している。
アルフは詳しい名称までは知らないが、アルフやネルの住んでいるバルバロッサ王国。
それに加えてイングリード魔法国。さらには帝国に聖法国や水神国がある。
バルバロッサ王国の北方に位置する竜人族の里はその北側が帝国と隣接しているとのことだ。
帝国はその武力によって領土を広げ、大陸一の領土を持つ荒っぽい国だ。
そんな国と隣接している竜人族の里は大変なんだろうとアルフは思った。
『そのせいもあって緑竜は人間にいい印象を持っていない。気を付けるといい。』
『あ、あぁ…』
『我が逃げる際に使った転移石。あれが王国の傍に設定されてたのもそういう理由があったからか…』
ラディアが頷きながらそういった。
確かに荒っぽい帝国の中に竜人族の子供を放り出しては魔物の中に放り込むのと大差ない。
帝国か王国。選ぶなら王国だという判断なのだろう。
『それじゃあ黄竜の集落はどこにあるんだ?』
『黄竜の集落もまた帝国の国境に近い場所にあるがここからだと少し距離がある。
我ら青竜は黄竜とは交流を取っていないから詳しくはわからないな』
『そっかぁ』
そうしてアルフたちは歩きながら会話をしていると前方の方から人影がやってきた。
敵か?と身構えるアルフたちだったがその姿を見て驚いた。
シーデルが一早く駆け寄り声を出した
『おい!どうした!?何があった!?』
『ごふっ……ごほっ……』
血を吐き、よろつきながらも歩く男性。
全身傷だらけで体には多数の矢が刺さっており、ところどころから血を流している。
そしてその男性はついには倒れかけるが、シーデルがそれを受け止めた。
血だらけの男性は血で汚れているが翡翠色の角を生やしていた。
そう、緑竜であった。




