第59話 対談
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魔人バレットを退け、暴走していた赤竜を鎮圧した青竜の集落は落ち着きを取り戻していた
目を覚ました赤竜たちは代表の族長を中心に、青竜たちは代表の族長を中心に話し合いをしていた。
『俺は赤竜の族長を務めるガルディア。今回は青竜の皆さんに多大な迷惑をおかけした。本当に申し訳ない』
そう言って頭を下げる赤竜の族長ガルディア
『ワシはコーデルという。まぁ此度は災難じゃったのぉ。幸い死傷者は出なかったんじゃから良かったとするかのぅ
集落は……この通りじゃがのぉ……』
苦笑いをしながら答える青竜の族長コーデル
青竜たちの集落には激しい戦闘の痕跡が残っていた。
破損した家屋や、荒れた田畑。えぐれた大地。とても軽い被害とは言えない。
『集落の復旧には責任をもって手伝わせていただく』
『それには及ばんて。そちらの集落も無事ではないのじゃろ?』
赤竜たちの集落は魔人たちの襲撃を受けた場所だ。
青竜たちの集落同様に荒れ果てているだろう。
『じゃから赤竜族は赤竜族で自分たちの集落を直すことを考えるとよかろ。
わしらはわしらでなんとかするでの』
『寛大な心遣い。感謝する…。』
深々と頭を下げる赤竜の族長。
『して、人族の…アルフとネルといったかの?そなたらには救われた。代表して礼を言うでの』
『いやいや、あの魔人とは因縁もあったし、何よりラディアを放っておけなかったからな
別にお礼を言われるほどじゃないよ』
少し照れながらアルフは答えた
『けど、こうしてみるといがみ合ってるようには見えないんだが、何で集落を別にして暮らしてるんだ?』
素朴な疑問をぶつけるアルフ。
確かにラディアは竜人族同士でもいがみ合っていると言っていた。
だが目の前で話す赤竜と青竜たちは仲が悪いようには見えなかった。
『それについては俺が話そう』
赤竜の族長ガルディアが名乗り出た。
『俺たち竜人族は特殊でな。先祖がそれぞれの属竜たちから受けた血のおかげで竜人でいられるわけだが、
竜の属性の違うものや他種族と交わうと、その子供は竜としての力がとても弱まってしまうんだ』
『だから受け継いだ血が薄まらないように同種同士でしかつがいにならないようにそう言い伝えているんだ』
『要は赤竜は赤竜、青竜は青竜でしか夫婦になったらダメってことか』
『そうだ。』
『でもそれがわかってるってことは前例があったのか?』
『あぁ。そこにもいるだろう。ラディアがその例の一つだ』
『我が?』
話が飲み込めずきょとんとするラディア
『ラディアの父は赤竜だったが禁忌を侵し、人と恋に落ち、子をなした。
その結果、竜の血は薄まり竜化できない子供ができてしまった。』
『我は確かに竜になることはできない。でもそれはまだ幼いからだって…』
『あぁそう話していたな。まだ幼かったお前にそれを話すのは酷だと思ったんだ』
『我の父はガルディアだと聞いていた。でも本当は違った?』
少し悲しそうな顔をして尋ねるラディア。
『すまない。だがお前のことは本当の娘のように大事にしてきた。許してくれ』
目をつぶりそう語るガルディア。
どうもラディアは火を吹くぐらいならできるが竜になることはできないらしい。
その理由が父と母にあったという話だ。
『なぁ、その父親と母親ってどうなったんだ?』
『禁忌を侵した罪で里からは追放されたさ。子供は集落に置いてやってほしいと最後の願いを残してな…
今はどこで何をしているのかわからん』
『もしかしてその父親の名前って…』
『確かゴルカ、という名だ。心当たりがあるのか?』
『あぁ…』
カルミール村にいた偏屈爺さんであるゴルカ。
なぜ彼が竜人の魔力にしか反応しない地図を描けたのか、そしてなぜ竜人の里の場所を知っていたのか
辻褄が合った。
『ん?待てよ。ラディアっていくつなんだ?』
『今年でひゃく…ぐがっ!』
赤竜の族長がそう言いかけたときラディアが顔に蹴りを入れた。
『我!まだ若い!子供!』
『いてて…レディの年齢を言うのは失礼だったな…』
そう言って顔を抑える赤竜の族長
『そろそろよいかの?』
青竜の族長コーデルが手を挙げた
『確かに竜の血が薄まるのを危惧するのは大事じゃが、
今回のように魔人の襲撃に遭った際に戦えるものが少ないのはどうかと思うんじゃ
じゃから、この際いっそのことすべての竜人族が集まって暮らすというのはどうじゃ?』
『何!?』
ざわざわとざわつき始める周囲の竜人たち
『ふむ…俺はそれもありだと思うがこればかりは俺たちだけでは決められんな…。
緑竜と黄竜たちとも話をしなければ…』
『それはそうじゃの。じゃから竜人族一同揃っての会議を開きたいと思うんじゃ』
そう青竜の族長コーデルは宣言した。




