第53話 戦後
アルフが放った始人の力により魔の支配から解放された2体の竜人は人の姿へと戻っていた
『オルガルド!ガルヴォルド!目を覚ませ!』
ラディアが倒れている二人を揺する
しかし反応がない
ルーカスの仲間、セリアが回復の魔法をマルクスに使ったのか
立ち上がり近くへ寄ったマルクスが言った
『セリア、こいつらにも回復魔法かけてやんな』
『貴方、そこの2体の竜人に殺されかけたのによくそんなこと言えるわね…』
『彼らが悪いわけじゃないよ。どうやら彼らの意思でやってたわけじゃないみたいだしね』
そう言ってルーカスはアルフのほうを見る。
当のアルフはというと…
力尽きていた
別に死んでいるわけではない。ただ力なく倒れているだけだ
始人の力は使った後の反動が大きい
以前も使った後、倒れたが今回もまた然りだ
そんな力を多量に使える白銀の英雄はやはり別格なのだとアルフは倒れながら思った
『はいはい、そーいうならかけてあげますよーだ』
セリアは観念したかのように竜人2人に近づき回復魔法を唱える
回復魔法をかけ終わって少しするとオルガルドは目を覚ました
『ぐっ…ここは…?』
頭を押さえながらも起き上がるオルガルド
一方、ガルヴォルドはまだ倒れたままだが表情は穏やかなものに変わっていた
『オルガルド!正気に戻った!?』
ラディアが瞳に涙を溜めながら嬉しそうに言う
『ラディア嬢?一体何がどうなってるんで?』
『オルガルドとガルヴォルド!敵に乗っ取られて暴れまわってた!それをアルフたちが助けてくれた!』
そう言ってアルフたちを指さすラディア
『アルフ…?…はっ!?人間!?なぜ人間が!?』
竜人族は他種族を好ましく思わない。それはオルガルドも例外ではないらしく
人間に囲まれている現状に困惑するオルガルド
『オルガルド!今はそんなことを言ってる場合じゃない!我ら他種族に迷惑をかけた上に助けられた!礼を言え!』
怒るラディアに対し戸惑いながらもオルガルドは礼を述べた
『あー人間の皆さん。この度はすまなかった。そしてありがとう。おかげで助かった』
胡坐をかいた姿勢で両手を膝につき頭を下げるオルガルド
『僕らは仕事でやったまでだからお礼はアルフに言ってあげてください。彼がいなければ殺しざるを得なかったですから』
ルーカスはそう淡々と述べた
アルフは倒れたまま、いいよいいよとばかりに手を振る
倒れているアルフをネルが心配そうに眺めている
『アルフさん、大丈夫ですか?』
『あー、休めばまた動けるから大丈夫。ただ町の宿まで運んでくれ』
『なら、その役は俺が担ってやんよ』
マルクスがアルフ運搬役に名乗り出た
アルフとしては男よりもネルに運んでもらったほうが嬉しかったのだが…
『おい!ガルヴォルド!いつまで寝てるんだ!』
オルガルドがガルヴォルドをどつく。
『んごっ?……あんれぇオルガルドじゃねぇべかぁ……』
いや、それ寝てただけなんかい。とツッコミを入れたかったアルフだったが黙っておいた
『とりあえず町へ戻ろうか。竜人の方々には角を隠してもらえばばれないでしょ』
ルーカスがそう言って話をまとめた。




