第52話 竜人戦-後編-
アルフとネルはルーカスたちが戦っている最中、必死に竜人を観察していた
正気を失うということはそれをさせている原因があるはずだと
そして2体目の竜人が乱入してきた
2体目の竜人は同じ正気を失っているにも関わらずルーカスたちのみを狙っている
となれば暴走、というよりも洗脳や支配されていると考えたほうが正しいとアルフは考えた
そして見つけた。竜人たちの後頭部に小さな黒いコブのようなものが付いていた。
しかしそれ以上、傍観を続ければルーカスたちが死んでしまう
二人は頷き合いラディアの拘束を解く
ラディアは2体の竜人の名を叫びながら飛び出した
『オルガルド!ガルヴォルド!やめて!』
そしてアルフとネルも飛び出す
『ネル!ルーカスたちに加勢するぞ!』
2体の竜人は攻撃の矛先をラディアに変え、飛びかかった
ラディアに気づいたルーカスはラディアを守ろうと走るが間に合わない
2体の竜人の鋭い爪がラディアを引き裂こうとした瞬間
『二人の……アホォォォっ!!!!』
自らに爪を向けた2体に怒ったラディアが火を吹いた
大人の竜人の吹く炎に比べればお粗末なものだが、それでもその火は2体の竜人の目に直撃し、怯ませた
そして2体の竜人が怯んだ隙を見逃すアルフたちではなかった
『ネル!ルーカス!後頭部の黒いコブだ!』
アルフは二人に合図を出す
『君は!?…わかった!【曲風裂】!!!!』
『たあああああああっ!!!』
ルーカスとネルの攻撃は見事2体の竜人のコブを切り裂いた
その途端、激しくもがき始める2体
『オルガルド!ガルヴォルド!』
ラディアが叫ぶ
ルーカスはトドメを差すべく次の魔法を放とうとする
『やめて!殺さないで!』
ラディアの悲痛な叫びにルーカスは一瞬、躊躇った
この状況で2体の竜人を殺さずに救う方法があるのだろうか?
2体はわけもわからず周囲の木々に激突したり空へと炎を吐いたりしている
もはや手遅れだとルーカスは判断し…
アルフは魔法国を出る前に魔法王に一つのことを教えられていた
始人の力は魔を払う力であると
魔王を屠った白銀の英雄もまた自分と同じ始人であり、その力によって
魔を払ったと
そしてアルフは一度見ている。英雄が魔を払うその瞬間を
アルフは魔王の一件からひたすら始人の力を発する訓練をしていた
その訓練は決して無駄ではなくアルフに暖かな白色の光をもたらした
あのとき、自分は山羊悪魔に歯が立たなかった
そのせいで今、こうして目の前の子供を悲しませる結果となろうとしている
ならばもう…もう目の前で悲しむ人を生み出させない!
『ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオォッ!!!!!!!』
アルフは吠えた!2体の竜人を救うため。2体を殺さんとする魔の存在を屠るため
そして放った
『絶聖斬撃ッ!!!!!!!!!』
白銀の英雄が放った斬撃に比べればその光は明らかに弱かった
だが、2体の竜人に巣食う魔を屠るには十分であった。




