第1話 最弱認定
『貴方の能力値は過去最低レベル。最弱です』
そう告げられた時、頭が真っ白になった。
~~~~最弱騎士はそれでも最強を目指す 第一話~~~~~
ここは王都バルバロッサ。王城を中心とした平民から王族まで様々な人種が暮らす都だ。
そんな王都に一人の少年が訪れていた。
『よーしっ!ここから俺の最強伝説が始まるんだな!』
声高々にそう意気込む少年の名はアルフ。田舎の村、カルミール村から遥々上京しに来ていた。
『お、兄ちゃん遠方から来たのかい?ならどうだい?王都名物バルバロッサ牛串!一本銅貨3枚だよ!』
屋台の気前のよさそうなオヤジさんがアルフに話しかける。
『うまそうですね!いただきます!』
アルフは懐から銅貨を取り出し渡し、牛串を受け取る。
食べると口の中で肉汁が飛び出し旨味で口内がいっぱいになる。
『さふがおうほ。ふいもんもふまいなぁ』
牛串を食べながら満足気にそう呟く。
『兄ちゃんもしかしてあれかい?能力値の測定に来たのかい?』
『そふっ!それっ!』
『ちゃんと飲み込んでから喋りな……』
ごくんと肉を飲み込む。
『そう!俺、自分の強くなったか知りたくて来たんですよね!』
『ほぉ、兄ちゃん何か なりたいものがあるのかい?』
『えぇ、ありますよ!夢は最強の騎士。聖騎士になることです!』
『おぉ?こいつは大きく出たなぁ』
そう言ってオヤジさんはがははと豪快に笑う。
『ところでオヤジさん!能力値の測定ってどこに行けばいいんですかね?』
『知らないんかい!まぁそれならあそこに見える神殿だよ。行ってきな』
『さんきゅーオヤジさん!それじゃ!』
アルフは屋台を離れ、神殿へと向かう。
神殿は他の建物に比べて高かったため大して迷うことなく神殿に到着した。
中へ入るとアルフ同様に能力値の測定に来たらしき人々で賑わっていた。
『はーい、皆さん!能力値の測定に来た方はこちらへ並んでくださーい!』
案内係と思われるお姉さんが誘導をしていた。
最後列に並び自分の番が来るのを待つアルフ。
前のほうを見ていると次々と測定結果が映し出される。
この国では強さのランクがF~SSランクまである。
Fランクは赤子や小さな子供だがSSランクともなればその強さは別格。英雄クラスとも呼称されている。
強さは数値化され、その数値の高さでF~SSまでランク分けが行われる仕組みだ。
アルフは自身の強さに自信があった。
何せこの日のために猛特訓をしてきたのだ。
過酷だったトレーニングを思い出すと目がうるっとするが、今となってはいい思い出だ。
そんな思い出に更けていると自分の番がやってきた。
『では、貴方の能力値を測定するのでそちらの魔法陣の上に立ってください。』
そう測定係のお姉さんに言われアルフはワクワクしながら魔法陣の上に乗った。
間も無く魔法陣が輝き始め光の粒子が体を包み込む。
『お姉さん、一つお聞きしたいんですけど騎士になるにはどの程度のステータスが必要ですか?』
『そうですね、この国の騎士の最低ランクはDランク。測定数値で言えば800程度です。』
『なるほど…』
さすがに英雄クラスのSSランクあるとは思わないが最低でもDランクはあるだろう。
そう慢心していた。
『自信はおありですか?』
測定係のお姉さんが問う。
『えぇ!なんせ目指すは最強の聖騎士ですから!』
神殿内に響くほどの声量で宣言する。
アルフは自分は他とは違う特別な存在だと信じていた。
しばらくすると光の粒子が消えた。測定が終わったのだろう。
『測定が終わりました。まもなく結果が映し出されます。』
そして結果が映し出された。
ーーーー測定結果【F】ーーーー
名前:アルフ
性別:男
年齢:15
最大体力:12(F)
最大魔力量:0(F)
筋力:4(F)
知力:1(F)
すばやさ:4(F)
耐久:2(F)
魅力:0(F)
合計23
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『『えっ?』』
アルフと測定係のお姉さんの声が重なった。
『アルフさん』
そして測定係のお姉さんが告げた。
『貴方の能力値は過去最低レベル。最弱です。』