第38話 絶望
アルフとネルが玉座の間へとたどり着くとそこには
1体の人型の魔物と戦う魔法騎士団長ジーナと魔法王カイネル・シン・イングリードの姿があった。
だがその魔物の姿。見覚えがあった
『え、バレット…さん…?』
そう、騎士バレットだ。
筋骨隆々の肉体に大剣を持つ姿はバレットそのもの
だが違うのはその頭部に生えた長い角と禍々しい翼
人のそれではなかった。
『おやぁ?これはアルフ殿にネル殿!ここまで来られましたかぁ!』
いつもの大きな声でそう話しかけてくるバレット
『バレットさん?なんだよその姿。それに何でその人たちと戦って…』
『察しが悪いですな!アルフ殿は!吾輩は山羊悪魔ですぞ!』
『そいつは上級悪魔です!人に擬態し侵入していたのです!』
ジーナが叫ぶ
『そ、そんな嘘だろ?何かの冗談じゃ…』
一緒に旅をした仲間であるバレットさんが悪魔で魔法国襲撃を手引きした?
理解が追いつかない。
そうしてアルフとネルが困惑してる間も戦闘は続いている。
ジーナとカイネルは高位の魔法を唱えるがバレットはそれを容易く弾いて見せる。
『おやおや、魔法騎士団長と魔法王といってもこの程度ですか!
これなら吾輩がわざわざ手を下す必要もなさそうであるが、せっかくなのでまぁその首いただいて帰るとしましょう!』
次の瞬間バレットは高速で移動しジーナの前に現れて大剣を振り下ろした
『っ!?【強固な盾】!!!!』
咄嗟にジーナは防御魔法を唱える。
だがバレットの斬撃はシールドを砕きジーナの肩を斬り裂いた
『がああああああああああっ!!!!!』
『い、いかん!おのれ!【爆業炎】!!!!!』
カイネルが最上位の攻撃魔法を唱える
凄まじい熱を持った炎の塊がバレットに向かって飛ぶ
『おっと!それはまずいですぞ!』
バレットはそう言いジーナの首を掴み自らの盾にした
『なぁっ!?【解除】!!!!』
カイネルは咄嗟に魔法を解除するが火の一部は残り、ジーナを燃やした
『おやおや!エルフとは酷いことをするのであるなぁ!味方を燃やすなど!ぐははははっ!』
高々に笑うバレット
『『バレットオオオオオオオオッ!!!!!!!』』
アルフとネルが飛び出した
バレットを倒すべく
『始人の雛とただの雌が吾輩に傷を負わせられるとでも?』
バレットは手にしていたジーナの焼死体を振り回しアルフとネルを殴り飛ばす
『ぐああっ!!!』『きゃあああっ!!!』
二人は飛ばされ床を転がる
バレットは興味をなくしたのかジーナの死体を放り捨てる
それを見たカイネルは激昂し、更なる魔法を打とうとするが…
『では!吾輩はこれでおさらばするである!まだ仕事が残っているのでな!』
バレットはカイネルが魔法を唱えるよりも速く飛び去って行った。
そこに残ったのは魔法騎士団長ジーナの遺体と倒れているアルフとネル。そして魔法王カイネルだけとなった。
王城と王都ではまだ多数の魔物が残っており、戦況は絶望的であった…。




