閑話 女湯
男湯ではアルフとバレットが湯につかって癒されている中、
女湯ではアレリア、フィル、ネル、ペトゥラの4人が話をしながら温泉を堪能していた。
他に客はいなかったので実質貸し切り状態だ
『あの!アレリア様ってアルフさんとお付き合いをされているんですか?』
ネルが切り出した。
『うーむ、私はそうだと思っていたがアルフのほうはどうも乗り気ではないようだ。
だから実際には私の片思いという関係だな。』
『そう…なんですね…』
ネルはアレリアに見えないようにガッツポーズをとった。
これなら自分にもまだチャンスがあるのだと。
『ネル。君はアルフのことが好きなのか?』
と直球に聞くアレリア。
『ふぇっ!?え、ええと!その……はい…』
ネルは観念したかのように頷く
『アレリアもネルもアルフの何がいいの?コハクも妙に気に入ってるし』
フィルはお湯を両手で掬いながら二人に聞いた。
『私は直感だな。一目惚れというやつだろう』
『わわわ私は…その……魔物に襲われたとき助けてもらって
その姿がすごいかっこよかったというかなんというか……あぅ……』
アレリアは気にもせずに言い切るがネルは顔を真っ赤にしながら答えた
『そういうフィルはどうなんだ?君もアルフを狙っているのか?』
『全然、いっつも怪我してるし弱いし性格が良いようにも見えないし何がいいのかわからないわ』
『そんなことはないぞ!『です』!』
アレリアとネルの反論に思わずうっと来るフィル。
三人がアルフについて語っている最中、一人会話に入れず無言のままの人物がいた。
ペトゥラだ
彼女はアルフに対して特別な感情を抱いているわけでもないし
三人とも仲良く話せる間柄でもない。
アルフに関しては初めて会ったとき盗賊を逃がしてるわけでドジなやつだな、ぐらいにしか思っていない
『…ま、まぁそのあいつがいなかったら取り返せなかったけども』
などと湯に半分顔を沈めてぶくぶくと独り言を呟いた。
そうやって視線を下げていると三人の胸部に目が行った。
アレリアは見事なものをぶら下げており、フィルはほどよいサイズ。
ネルは小さいが自分より大きい。
ペトゥラは自分の平たいがわずかに膨らんだ胸を見下ろす。
こんな体では異性には見向きもされないだろう。
魔法国の披露会でも男性に声をかけられたことがない
家族以外の異性とまともに話したのなんてアルフぐらいだ。
そう考えるとアルフは自分にとって少し特別なのかもしれないなとペトゥラは思った。
そんなことを考えているとペトゥラは
のぼせてキュゥっと倒れた。
『ペトゥラ!?『さん』!?』
三人の声が遠くで聞こえた。
そして意識は遠のく。
ペトゥラは気が付くと宿の部屋のベッドの上にいた。
服はだれかが着せてくれたのだろう。
同性とはいえ他人に着替えさせられたと思うと少し恥ずかしい気持ちになった。
『あ、気が付きました?』
声の主はネルだった。
アレリアとフィルは席を外していた。
『……うん。僕のぼせちゃったのか』
『そうですね。私たちお喋りに夢中で気づいてあげられなくてごめんなさい』
ネルはそう言って謝る。
『いや、君が謝ることじゃないさ。間抜けな僕が悪いんだ』
『いつもそうだ。僕はドジで間抜けで周りからも期待されない。だめだめエルフなんだ。』
そう言っていて目が潤んでくる。魔法国での扱われ方を思い出す。
『ペトゥラさん。貴女はダメな人じゃないですよ?』
『…どこがさ』
『だって盗賊のリーダーが逃げようと洞窟から出るとき弓で射抜いたじゃないですか。
あんなの私やアレリア様、フィルさんじゃとてもできませんよ!』
『そうやって自分のことダメだダメだって言って自分の可能性を押しつぶしてたらもったいないですよ?』
ネルはそう言って優しい笑みを浮かべる。
『…そう…かな……』
ペトゥラはしばらく考えやがて自分の顔をパンッと叩いた。
『よし!目が覚めた!僕は僕なりに頑張る!それで僕を出来損ない扱いした魔法国の奴らを見返してやるんだ!』
そんな会話をしペトゥラとネルは少し打ち解けたのであった。




