第26話 泥棒
宿へと入ったアルフたちは手続きを済ませ、
男女別の部屋に分かれた。
アレリアはアルフと同室が良いとごねたが
ネルが猛反対し、その結果アレリアが折れることとなった。
その後は各自、自由行動をしていいとのことになったので
アルフは町の中を見て回ることにした。
レヴィルの町は王都ほどではないが活気に溢れており、アルフは心を躍らせた。
街道には様々な屋台が出ていた。
アルフが見たことのない果物や、涎が出るほどおいしそうな食べ物を売る屋台。
女性が喜びそうなおしゃれなアクセサリーに服。武器や防具を売るお店があった。
昼食は宿で摂ったがアルフは成長期、小腹が空いたので
屋台で牛串を買い、頬張る。
牛串にはタレがよく染み込んでおり、噛むとタレと肉汁が飛び出し
至福の味をアルフにもたらした。
『うっまっ…』
アルフは大満足気に街を見て回る。
そんなとき叫び声が聞こえた。
『どろぼおおおおおおっ!!!!!!!』
声のした方向を見ると少年?らしき人が息を荒くしながら
フードを被った明らかに怪しい男を追いかけていた。
怪しい男はアルフのいる方へと逃げていた。
アルフは迷わず男の進行方向に立つ。
すると男は
『どけぇぇぇぇぇっぶっころすぞぉぉ!!!』
汚い言葉を放ちながら懐からナイフを取り出し振り回しながら走ってくる。
アルフは一瞬考えた。この男を殺さずに捕らえる方法を。
こんなときアレリアやネルならば男のナイフを弾き、転倒させ捕らえるだろう。
だが自分にそんな技術はない。
そしてアルフはイメージした。
ネルの突きを。対象を的確に捉え真っ直ぐ放つ強力な突きを。
アルフは鞘の付いたままの剣を抜き、男目掛け突きを放った。
しかしその突きが男に当たることはなかった。
男は急に俊敏な動きをし、アルフの突きを躱す。
そしてそのまま走り去る。
『もぉぉぉぉぉっ!お前騎士だろ!?何で逃がしちゃうんだよぉっ!』
追いついた少年がぜぇぜぇと息を荒くしながらアルフに対し苦情を言ってくる。
『すまん……でも何で俺が騎士だってわかるんだ?』
『その手!その紋章は王国の騎士だろ!それぐらい知ってるよ!』
『あぁなるほど…』
『で、何を盗まれたんだ』
『……魔鉱石……それも高純度の……』
『魔鉱石?何でそんなものを?』
魔鉱石といえば魔法石を作るための原料だ。希少度が高く滅多にお目にかかれるものではない。
『お前らの国から頼まれてた魔法石を作るために
その原料を鉱夫たちから受け取って魔法国へ帰る最中だったんだ……』
『えぇ!?それってかなりやばくないか!?』
この少年が言っていることが本当であれば王国の魔法石、つまりは結界石を作ることができない。
それではアルフたちの旅の目的が達成されないわけである。
『そうなんだよ!僕の名はペトゥラ・リマード』
魔法国の貴族の子さ。
『あぁぁぁぁこんな失態ばれたら勘当じゃ済まないよぉぉぉぉ』
そう言って泣き叫ぶペトゥラ。
アルフはとんでもない現場に遭遇してしまったのであった。




