第14話 国王
アルフたち一行はアレリアたちが乗ってきた馬車で王城へと移動した。
王城には入り口に橋がかけられており、門が存在した。
頑丈な造りであろう門には屈強な門番が二人立っており、アルフたちが乗っている馬車が近づくと
一礼し、門を開けた。
案内された部屋は客室であった。
客室には綺麗な装飾の施された鎧や、剣、そして盾が飾ってあった。
アルフとアレリアは並んでソファーに座りムパスは対面のソファーの後ろに立った。
そして国王べリア・ヴァン・バルバロッサがやってきた。
その存在感は王というだけあって気圧されるほどの圧を放っていた。
ベリア王は部屋に入るや否やアレリアを見て
『ぬおおおおおおっ!アレリアっ!心配したぞおおおおおおっ!』
そう言ってアレリアに抱き着こうとした。
しかしアレリアは抱き着こうとするベリアに対し拳を突き立て迎撃した。
『父上、なぜ私が家出したか理解していただけていますか?』
淡々と話すアレリア。
『あいたたた。も、もちろんじゃ!婚約者が嫌だったのじゃろう!?あんなもん破棄じゃ!破棄!』
『……良い相手じゃったから会えばきっと気に入ると思って強く言ってしまったんじゃ…。』
口をすぼめて指先同士をつんつんさせながらもベリアは言った。
『それでそちらの少年はなんじゃ?』
『アレリア様の新しい婚約者候補です。』
ムパスが答える。
『どこの子だ?』
それは爵位のことを聞いているのだろう。
それに対しムパスは答えた。
『平民でございます。』
『……』
『アレリアよ、その少年の何が気に入ったのじゃ?』
『直感だ。事故とは言え唇を重ねたとき不思議と不快感ではなく幸福感を感じた。』
『生物としての本能だ。この人がいい』
『な、ななななんと……じゃが平民と婚約など大臣が……うーむ……』
『それなら問題ない。アルフは聖騎士になる男だ』
『なぬ!?そちらの少年はそれほどに強いのか!?』
『旦那様、そちらの少年は現時点では低級の魔物相手でも苦戦するほどの実力かと私は思います』
『それは誠か?少年よ』
『はい、でも俺は必ず強くなってみせます。』
アルフはその目に確かな意思を宿しそう言う。
『……ふむ』
ベリアはしばらく黙り込む。
そして何かを決心したのか口を開く
『あい、わかった!少年アルフよ!そなたをバルバロッサ王国が誇る騎士団に入団させ、そこで研鑽を積め!』
『そして聖騎士になった暁にはアレリアとの婚約を認めよう!』
『しょ、正気ですか!?国王様!?』
ムパスがこれでもかと目を開き驚く。
『二言はない。これで良いか?アレリアよ』
『あぁ、さすが父上だ。感謝する。』
こうしてアルフの騎士団への入団が決定した。