第13話 一大事
血相を変えてアルフに詰め寄るフィル。
何のことだかわからないアルフ
『エスタニア嬢。落ち着かれよ』
なぜかフィルの後ろからアレリアが現れた。
『で、ですがっ!アレリア様!』
『さ、様!?』
なぜフィルとアレリアが一緒にいるのかわからないが
さらに騎士の銘家であるエスタニア家。その令嬢がアレリアに対して「様」付けをしている。
どう見てもただ事ではない。
『先ほどぶりだな、我が旦那様アルフ。実は私の家出がばれてしまったんだ。』
そう言って困った顔をして見せるアレリア。
『その後は私の方からご説明いたしましょう』
後から出てきたのは燕尾服を着た執事らしき気品に溢れた老人だ。
『私はアレリア様の執事のムパスと申します。以後お見知りおきを』
『そしてアレリア様はバルバロッサ王国の国王、べリア・ヴァン・バルバロッサ様の第三子、つまりはこの国の第三王女です。』
『お、王女っ!?アレリアってそんな偉い人だったのか!?』
『アレリア「様」です』ギロリと鋭い眼光を飛ばすムパス。その圧力に気圧されるアルフ。
『すまないな、アルフ。私のフルネームはアレリア・ヴァン・バルバロッサという。』
『そう……だったのか……』
あまりに驚きすぎてなんて言葉をかければいいのかわからないアルフ。
『なお、アレリア様に狼藉を働いたゴルランドという男は既に処分致しました。』
しれっと恐ろしいことを言うムパス。
『アレリア様は普段、表には出てこられない方。故に認知度が低くても仕方のないことではあります。』
『が、アレリア様には既に婚約者がおります。』
『故に、貴方のしたことは一大事なのですよ。少年』
事の重大さに言葉の出ないアルフ。フィルはバツが悪そうな顔をしている。
『ムパス。私はあの婚約に関しては反対だといったはずだ。私は私の好きな相手と結婚する。』
アレリアはそう言い放った。
『なりません。貴女は仮にも王の血を引く貴族。それがどこの馬の骨ともわからない平民と結婚するなど認められるはずがありません。』
『ふっ、それなら問題ない。アルフは最強の聖騎士になる男だ。英雄クラスを目指す者ともなれば文句はないだろう』
『なんと!この貧弱そうな少年が英雄クラスになると!?そんなことは天地がひっくり返っても起こりえませんぞ!』
ムパスは相当の実力者なのだろう。一目でアルフの弱さを見抜いたのだから。
『黙れムパス。私の前でアルフを侮辱することは許さん。』
『っ……少し頭に血が上りすぎたようですな……失礼いたしました。』
そう言って頭を下げるムパス。
『その少年の処遇に関しては私が決定することではありません。一度屋敷へ来ていただき国王様の指示を仰ぐといたしましょう。』
『まぁそうだな、父上のほうが話はわかってくれるだろう。』
同意するアレリア。どうやらアルフの意思は聞いてないらしい。
そしてアレリア、ムパスそれにアルフはフィルを後に王城へと赴くこととなった。
次回更新日は11/02(土)です。
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