第11話 アレリア
『あー……本当に付いてくるつもりか?』
時刻は昼前。活気溢れる街の中を歩きながらアルフはアレリアに聞いた。
『当然だ。旦那様は貧弱だからな。私がついていったほうが依頼とやらも上手くいくだろう』
ふんっ と胸を張るアレリア。
『そして依頼が終わった後は私が鍛えてやる。どうだ、嬉しいだろう?』
先ほどの戦闘からしてもアレリアは確かに強い。そんな彼女に鍛えて貰えるというのは願ってもない話なのだが……
『俺は聖騎士になるのが夢だ。だから鍛えて貰えるのは嬉しい。是非ともお願いしたい』
『けど、依頼内容がアレだから依頼に同行するのは勘弁してくれ』
アルフの受けた依頼はペットの遊び相手もといおもちゃになることだ。
あの姿を他の人に、しかも歳の近い女の子に見られるというのは恥ずかしかった。
『ほう、旦那様は聖騎士になりたいのか。それは崇高な目標だな。
私の夫としても相応しい。』
『しかしなぜ同行を拒むのだ?もしかして報酬のことか?それなら私はいらないぞ?』
『いや、内容がペットのお守りだからさ。わざわざ手伝って貰うほどのことじゃないんだよ』
あえて”お守り”という表現をするアルフ。遊ばれているだけだなんて言いたくないからだ。
『何?冒険者なのにそんなことをするのか?私はてっきり魔物の討伐かと思っていたぞ』
『となると私が行くと邪魔になるかもしれないな……』
考え込むアレリア。
『あとさ、その旦那様ってのはやめてくれ。恥ずかしい』
アルフは少し照れ臭そうに言い出した。
『そうか、ならば名前を教えてくれ』
言われて初めて気づいた。アルフは彼女に名を名乗っていない。
『俺はアルフ。カルミール村の出身で今は冒険者をやっている。目標は騎士になることで最終的には最強の聖騎士になることだ』
『ふむ、自己紹介をありがとう。私はアレリアだ。改めてよろしく頼む。』
そのさっぱりとした返答にアルフは不思議に思った。
『アレリアはその……笑わないのか?俺が聖騎士になりたいって話を。
アレリアもわかってる通り俺はものすごく弱い。そんな俺が最強の聖騎士になりたいだなんてバカみたいな話だと思わないのか?』
『ん?全く思わないな』
あぁ、そうか と何かに気づくアレリアそして言葉を紡ぐ
『アルフ、君は何か勘違いしているな。人は皆、生まれたときは何もできない赤子だ。
けれどそこから様々なことを学び、体験し成長して大人になるんだ。』
『君が今弱いことと、将来の夢は関係ないのだよ。君が成長したいと努力をするならば叶えることは不可能ではない。』
と私は思うよ。そう言ってアレリアは笑って見せた。
アルフはアレリアという少女のことが少し好きになると同時に救われた気持ちなった。
『では、依頼が終わったらまた会うとしよう。またなアルフ!』
アレリアは元気よく手を振りアルフと別れ、人込みの中へと消えていった。
『ん?どうやって会うんだ?』
アルフがそう思った時には既に遅かった。