表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱騎士はそれでも最強を目指す  作者: 多摩樹悠一
第一章
12/73

第7話 遊び相手-前編-


『アルフだっけ。あんた冒険者だったの?』

ソファーに座ったフィルはアルフに問いかける。


『あぁ、一応な』

『そっちこそお嬢様だったんだな』


『えぇ、私のフルネームはフィル・エスタニア』

『エスタニア家は騎士の家系。そして私はその令嬢ってこと。』


『ということはフィルはもう騎士になってるのか?』

自分の憧れであり目標である騎士。

既に騎士となっているのであれば彼女から何か得られるものがあるかもしれない。


『いいえ、能力値的には騎士の適性もあるらしいんだけど騎士ってどうも私の趣味じゃなくて今は神官になっているわ』


『だから怪我を治してくれたのか』


『そういうこと』

『まぁ自己紹介も済んだことだし私のペットを紹介するわね。ついてきて』

フィルは席を立つ。アルフも後を追うように立ち、ついていく。


連れていかれた場所は外庭だった。

庭で放し飼いをしているのだろうか、しかし入った時には見当たらなかったような気がするが…。


『じゃ、連れてくるわね』

そう言ってフィルは奥の倉庫?らしき建物に入る。あの中にケージと共に入っているのだろうか。


少ししてフィルが一体の動物を連れて戻ってきた。

…のはいいのだが

『はっ!?』


その動物は巨大な犬だった。体を長い真っ白な毛で包まれており、大きさはアルフの背ほどあった。

『まっ、魔物っ!?』

思わず身構えるアルフ。身構えたところでアルフに勝ち目があるとは思えないが構えずにはいられない。


『失礼ね。魔物じゃなくて聖獣よ。聖獣。』

『魔物なんかと一緒にしないでほしいわ。』


『あ、あぁそれは悪かった。』

聖獣というものの存在は知っていたが目にするのは初めてだ。

しかしこの威圧感。過去に見たイノシシの魔物がかわいく見える。


『名前はコハク。この子の遊び相手をお願いね。』

『時間はそうね…。夕暮れまででいいわ』

『コハク!GO!』


『アオンッ』と元気よく飛びかかってくるコハク。

アルフは押し倒され顔をべろべろに嘗め回される。


『ちょ、やめ、てか重たいっ!潰れる!』


『コハクあんたのこと気に入ったみたいね。よかったわ』


『そんなことより助け…』


『あはは、大丈夫よ。コハクは賢い子だから殺すようなヘマはしないから』

くすくすと笑いながら喋るフィル。その姿はかわいらしいのだが…


『それ一歩間違えたら死…』

アルフはそれどころではなかった。

アルフの脳裏にある言葉が浮かび上がる。

(この依頼。度々来るんだけど受けた人が二度とやるか―って言って破棄しちゃうことが多いの)


『そういうことかあああああああ』

アルフの叫びは庭中に響いた。



そうしてアルフの初めての依頼が始まった。

次回は10/28(月)に更新予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ