第5話 依頼
『まずは依頼の受け方を説明するわね』
晴れて冒険者となったアルフ。そんな彼に案内のお姉さんが説明をしてくれる。
『依頼はこの依頼板に貼られているものの中から選んで受付まで持っていくの』
『中には冒険者としてのランクを指定しているものもあるから気を付けてね』
冒険者には能力値とは別にランクがある。
ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ、ダイアモンドと5つのランクが存在する。
『もちろん最初はみんなブロンズね。無事に依頼をこなしていければ昇格試験に挑めるから頑張ってね』
そういうとお姉さんはカウンターへと戻っていった。
アルフはさっそく依頼板を見てみる。
依頼の数は魔物の討伐が多かった。
内容はゴブリン討伐、ホーンラビットの巣の掃討、ラムスパイダーの討伐にクリムゾンベア討伐などなど。
しかし今のアルフではゴブリンやホーンラビット相手でも殺されてしまうだろう。
能力値を知った今。さすがにもう自惚れてはいない。
『いや、強くなるためには多少のリスクは背負うべきか…?』
そう呟きながら依頼板を眺めていると1枚の依頼に目が留まった。
『何々?ペットの遊び相手になってくれる人募集。報酬は1日銀貨1枚と銅貨20枚…』
こんな依頼まであるのかと驚くが、ペットの遊び相手になるだけでこの報酬はとてもおいしい。
修行にはならなくてもしばらくの路銀を稼ぐにはいいだろう。
アルフはその依頼紙を取り、カウンターまで持っていった。
『すみません。この依頼を受けたいんですけど…』
『はーい、受注ですね。ってこの依頼…』
『どうかしたんですか?』
険しい顔をする依頼受付のお姉さんを不思議に思うアルフ。
『いやね、この依頼。度々来るんだけど受けた人が二度とやるかーって言って破棄しちゃうことが多いの』
『そ、そうなんですか…』
『冒険者ってほら、戦闘狂の人が多いじゃない?だから可愛いペットの相手ってのは合わないのかなーって思うの』
『なるほど』
しかしこの報酬は魅力的だ。最弱の烙印を押されたアルフでも達成できそうで報酬のいい依頼。
これ以上のものはないだろうと思い決心する。
『俺、やります!』
『わかったわ。じゃあこれで受注は完了。後はこれを持って依頼主のところへ行って指示を受けてね。』
お姉さんは依頼紙の下半分を切り、手渡してくれた。
そしてアルフは依頼紙を手に依頼主のもとへと向かうのであった。