表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

第5話

めっちゃ遅くなって申し訳ないの気持ち

塔に辿り着くとそこには大きな扉があった。だいたい10メートルくらいかな?そして横に小さな看板がちょこんと立っておりそこには、


「適正レベルは10から♡」


と書かれている。ハートついてるのがめちゃくちゃウザイんですけど……まあいいや。


俺たちが入ろうとすると扉は勝手に開いた。しかし、中は真っ暗で何も見えなかった。


「なんも見えねーな…秋羅!魔法打ってみてくんねーか?」


「おっけー!ファイアバレット!」


秋羅から放たれた炎の弾丸は吸い込まれるように暗闇の中に消えていった。


「なんも見えなかったな…」


「消えたね…どうする?」


「まあどうせ入るしかないからな…いくか!」


俺たちはゆっくりと塔の中に入った。瞬間、目の前が急に明るくなった。俺たちは咄嗟に手で光を遮る。そして目が慣れてきたところで手をどけるとそこには広大な草原が広がっていた。さらに奥には森林があるのも見えた。


「な、なんじゃごりゃ〜!!」


「いつの時代の驚き方だよ兄ちゃん…でもほんとにすっげえや!」


塔の中に入ったはずなのに空があって太陽がさんさんと照っている。しかも爽やかな風まで吹いていらっしゃる…


俺たちはしばらく何もすることも無く立ち尽くしていた。


「どうする…?進んでみるか…?」


「うーん…どうせ行かなきゃだから進んでみようよ!楽しそうじゃん!」


俺たちは扉から離れて奥へと進んだ。途中草むらからゴブリンなどが出てきたがしっかりと処理して行った。30分ほど進むと森林に到着した。近づいてみたら森林は結構大きくて木々が生い茂っているので陽の光もあまり入っていない。

不気味な雰囲気だ…俺の探究心をくすぐるぜ…


「兄ちゃんどうする?今日は一旦帰る?行ってもいいけど多分帰る時外夜だよ?」


「そうか…ここ外じゃなくて塔の中だったな…」


俺はスマホを見て時間を確認する。時刻は既に午後4時を過ぎていた。


「今日は一旦帰るか。夜道に魔物と戦うのはしんどいしな。明日またここに来よう」


俺は1度ステータスを確認する。レベルは17に上がっていた。ここら辺の敵にはほとんど時間をかけることなく倒せるようになっていた。


次の日…


俺たちは昨日来た森林に戻ってきた。途中、東堂の狩場(笑)を通ったが東堂達はいなかった。森林は昨日と変わらず不気味な雰囲気があり近寄り難い。俺たちは意を決して森林の中に入った。


「いや、さっむ!!」


森林の中は外と比べかなり寒かった。地面も結構湿っていて歩きづらい。さらに奥に進むにつれどんどん暗くなっていく。僕ホラゲーは苦手なんですけど…

5分ほど歩くと周りは木々に囲まれ夜みたいに暗くなっていた。

にしても敵がいないな…入ってから1度も出会っていない。そういえばここ…どこ?


「なぁ…とんでもないことに気づいた」


「え、何?何なの兄ちゃん」


「帰り道わかんねぇ」


「え、終わったじゃん。僕もわかんないんだけど」


「よし!帰ろう。今すぐ帰ろう」


俺たちは踵を返して来た道を戻った。はずだった…


「見事に迷子なう」


「何やっとんじゃああああい!!!!」


「まぁ落ち着きたまえ弟よ。木の棒で地面に線を引きながら歩こう。そしたらいつか外に出れそうじゃん?」


「いや、消えるでしょ!無理だよそんなの」


「やってみねーとわかんねぇじゃん!別にそんな大変なことじゃないし!」


俺たちはどうやって森を出るか言い争っていると、今まで静かだった茂みからガサガサと音が聞こえた。


「しっ!静かに!今なんか聞こえたな?」


「聞こえたよ…絶対なんかいるじゃん」


俺たちは音が聞こえた方をじっと見つめた。適正レベル的にはそこまで警戒しなくてもいいのだが、今までモンスターに出会ってないばかりに異様に警戒した。

目の前の茂みが激しく揺れる。

瞬間、何かが勢いよく飛び出してきた!


「え!?ちょっと!」


なんと飛び出してきたのは人間。しかも可愛い女の子!!!え???

しかも女の子は短剣を振りかざしている。危ないじゃん。

俺は咄嗟に剣を構えて短剣を弾いた。


「なんですかあなた達!なんでこんなとこにいるんですか!」


「いや、俺たちが聞きたいんだけど!?てか危ないから短剣構えるのやめて!?」


俺たちは互いに剣をおろして小さな木陰に身を隠した。


「俺の名前は国枝心波、高校生だよ。こっちにいるのは弟の秋羅、君の名前は?」


「私は空野 春華(そらの はるか)、私も高校生よ。さっきはごめんね…ここの森敵がいなかったから音が聞こえてびっくりして飛びかかっちゃった…」


「いや、いいよ!俺達もビビってたから…てかなんでここにいるの?ここって適正レベル10のはずだけど…」


「私はレベル10だよ!中に入ってから1レベル上がったけど…あなた達もレベル10かそれくらいでしょ?」


「たしかにそうだけど…でも政府の発表で確認されてる最高レベルは6だって…」


「政府が確認してるのなんて大した数じゃないわ。せいぜい10%くらいね。だから政府が発表したレベルより高い人は少なくともいるわ。てかあなたもそうじゃない」


そうだったわ…と思いつつ彼女と情報交換をした。彼女は1人でずっとレベルを上げてきたそうだ。ステータスのことに気づいたのは塔が出た次の日でその日から1人で戦ってきたらしい。最初の装備は杖だったがゴブリンなどから拾った牙などをリメイクして短剣を作ったらしい。ん??リメイクって何?


「なぁ。リメイクってなんだ?」


「え?しらないの?ステータスのアイテムボックスのとこにあるよ。素材を組み合わせて新しいの作るみたいな感じ。よくあるゲームのやつだね!」


俺はステータスを開いて確認する。アイテムボックスを開くと持ち物が並んでいる。よく見ると右端にリメイクの文字があった。リメイクを押すと今の持ち物で作れるアイテムリストがでてきた。

あらまほんとですわぁ…全然気づきませんでした…

俺はゴブリンの牙と木の棒を組み合わせて短剣を作った。すると目の前に空野さんが持っていたのと同じ短剣が出てきた。すげえなこれ。


「これで戦ってたのか…すげえな空野さん、怖くなかったの?」


「まぁ元々ゲーム好きだったし、そりゃ怖かったけど現実と切り離して考えたらそんなに辛くもなかったわ」


とっても強いお子さんですねぇ…よしよししたくなる。しないけど。

なんやかんや話しているうちにこの森に入ってから1時間は経っていた。その間にも敵は1度も見なかった。そして、少し辺りを探索して帰ろうとしていた時、再び茂みから音がしたのだ。


「よしっ!みんな警戒しろよ…次こそ敵かもしれないからな…」


茂みから出てきたのは東堂だった。



は??



「よう…2日ぶりだな…クソガキィ…てめぇに今日はプレゼント持ってきたんだよ…ありがたく受け取れや!!」


そう言うとやつは鈴のようなものを俺たちに投げた。俺はそれをキャッチする。

するとその鈴のようなものがいきなり不気味な音を立てて鳴り出した。

森が揺れる…確実に得体の知れない何かがこちらへ近ずいてきていた。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ