第3話
ゴブリンと言ったら雑魚キャラ、初心者用の敵のようなイメージあるだろう。一方でゴブリンにめちゃくちゃ苦戦するアニメなんかもある。俺はゲームメインだからどっちかと言うと雑魚キャラのイメージがあった。だが前言撤回。目の前にいるゴブリン、めっちゃ怖いです。
子供くらいの身長に鍛え上げられた?筋肉。小さいナイフを持ってて顔もバカでかい。そして何より殺意というものを初めて感じた。確実にこっちの息の根を止めようと今か今かと狙っている。
なぜ俺はこんなに無謀なことをしているのかさっきまでの自分をぶん殴りたい。だけど背中を向けたら殺されそうで逃げられない。俺は覚悟を決め木の剣を構えた。
「よし!やるぞ!秋羅チャンスがあったら魔法打ってくれ!」
秋羅の返事を聞き、俺は気合いをいれてゴブリンの方に走っていった。不思議と身体が軽い。ゴブリンもナイフを構えてこちらに走ってくる。
剣を上から振り下ろす。すると身体が何かに動かされるように自然と綺麗な形で剣が振り下ろされた。だがゴブリンもナイフでそれを防いでくる。ものすごい力だ。
「ちょっ!力強すぎ!」
俺は剣を押し返されて後ろに吹き飛んだ。ゴブリンが笑いながらこちらへ近づいてくる。やばい超怖い。
しかし、
「ファイアバレット!」
後ろから秋羅の声と共に炎の弾丸がゴブリンに飛んだ。3発放たれた炎の弾丸のうち1発がゴブリンの顔に命中する。これが魔法ってやつか!!
「秋羅!!なんだそれ!魔法か!?めっちゃかっこいい!後で教えて!!」
「そうだよ魔法だよ!分かったから!今がチャンスだからはやく!」
俺は立ち上がり、再び剣を構える。次は上からではなく横から振る。炎を払おうと足掻いているゴブリンに向かって俺は力強く剣を振った。身体が自然と動きゴブリンの首を捉える。だがゴブリンもギリギリで反応して致命傷を避けた。
「グギギギギ…ギッ!ギッ!キギィ!」
「うぉぉなんか喋った!きも!」
ゴブリンは目に見えて弱っていた。肩で息をして顔は黒焦げだ。首をおさえながらもの凄い顔で俺を睨んでいる。
「ファイアバレット!!」
そこへ秋羅からの魔法の攻撃が入る。ゴブリンは慌てて避けた。魔法を警戒して完全にこっちへの視界が外れ、背中を向ける。チャンスだ!
俺は剣を振りかぶった。ゴブリンは気づいていない。そして…
「グギイイイイィィィィ!!」
振り下ろされた剣はゴブリンの背中を捉え、肩から腰あたりまで大きく切り裂いた。ゴブリンは叫びながら地面に倒れる。地面に触れると同時に粒子となってまるでそこにいなかったかのように消えてしまった。
勝ったぞぉぉ!!!
俺は緊張が切れたのか腰が抜けた。いてててて…
(レベルアップしました)
突如脳内に無機質な声が響く。おぉ!
レベルが上がったぜ。ステータスを確認するとレベルが2になっており新たにTPという欄に5という数字が書かれてあった。そしてアイテムボックスにゴブリンの牙が1つ追加されていた。
「お兄ちゃーん!大丈夫?」
「大丈夫だー!でも腰が抜けちゃって…起こしてくれ」
TPの振り分けは家に帰ったらやるか…
俺は秋羅に手を引かれ立ち上がった。疲れが凄い。足も重たいし身体が痛い。
「秋羅。今日は一旦帰っていいか?身体のあちこちが痛くて…」
「いいよ。今暗いから多分危なくなるだろうし。明日からちゃんとレベリングしよ!」
それから俺たちは家に帰った。途中でゴブリン?の叫び声やらが聞こえた時はめちゃくちゃ走った。さすがにこんな疲れてる時に戦いたくはなかった。
家に帰りつくと風呂にも入らずそのまま寝てしまった。かなり疲れていたらしい。次の日起きたのはなんと12時だった。
「やばい!!!学校行かな!!時間は!??12時!!??無理!おやすみ!!」
「兄ちゃん!!起きて!!もうお昼だよ!」
「秋羅!?なんでお前までいるんだ?学校は?」
「昨日あんなことあったのに学校なんてあるわけないじゃん!スマホにも全国の学校は1週間休校だって連絡来てるよ」
そう言えば昨日ゴブリンを倒したのを思い出した。あれ夢かと思ってたわ。俺は冷静さを取り戻す。スマホを見るとネットニュースも昨日のことばかり。日本には5つの使徒がいるらしい。なんでも今日中に自衛隊が総攻撃を仕掛けるとか何とか。ステータスにアイテム以外は効かないって書いてるのに…
SNSを見るとステータスのことを書いているチラホラいた。しかし、ほとんどの人が相手されていない。中には不謹慎だ!とか言って叩かれてる人もいる。可哀想…てかステータスで思い出したけど俺レベル上がってたんだった。
「秋羅ー!そう言えば俺レベル上がってたわ。」
「マジで!?TPは振り分けた?」
「いや、まだしてない。それを今聞こうと思ってたんだよ。どれにやるべきだと思う?」
振り分けられるのは
攻撃力、防御力、魔力、知力、体力の5つだ。最初に振り分けるのが今後のレベル上げで楽になるか決まるんだが…
「俺は素直に攻撃でいいと思うんだけど秋羅はどうだ?」
「僕も同じかなー。兄ちゃん剣士だから攻撃力でいいと思う。魔力に振って魔法剣士みたいになるとかもありかも!」
たしかにな…てか魔法とかも使ってみたいんだよな…まぁでも効率的に行くなら普通に攻撃に振るか。
俺は攻撃力をタッチしてTPをプラス5した。すると攻撃力のEがDに上がっていた。
「おぉ!Dに上がった!身体の奥底から力が湧き上がってくるぜぇ!秋羅!魔物狩りに行くぞ!!」
「急に元気になるじゃん…分かったけどその前にご飯食べてから行こうよ!お腹空いた!」
俺たちはものすごい勢いで飯を食った後、魔物を退治しに行ったのだった。
俺TUEEEEが始まる予感