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もう一人の勇者

ベリアル達が次の目的地に進む為にレベルアップに励んでいる最中、傷ついた旅人が倒れているのを見つけた。


「大丈夫ですか?」

旅人は30代ほどの細身の男性で皮の鎧に剣を持っていた。

モンスターにやられたのだろうか?


「とりあえずすぐそこの小屋にまで運ぼう!」


ベリアルとハヤトは傷ついた剣士を小屋まで運ぶ。

ハヤトは薬草を揉み剣士に飲ませる。


「薬は飲ませた、じきに良くなるだろう」

やがて剣士は目を覚ました。


「あ、目が覚めたみたいだね♪」

ハヤトが声をかける。


「あんたが助けてくれたのか?」

「ああ、そこに倒れていたものでな」


ベリアルはややぶっきらぼうに答える。


「そうか、あのまま死なせてくれりゃ良かったのに…」

剣士は言葉を洩らした。


「馬鹿!簡単に死にたいなんて言っちゃだめだよ!!」

ハヤトは剣士に怒鳴った。


(そうか、ハヤトも一度は死のうとしていた、だからそう言う人は助けたくなるもんなのかな?)

ベリアルはそう思っていた。


「生きてりゃきっと良い事あるよ!挫けるな!」

ハヤトは発破をかける。


「何があるってんだ…俺の事何もわかってねえ癖によ…」

剣士は怒りを露わにする。


「貴様、ハヤトを悪く言うと承知せんぞ」

「ベリアル、やめろよ!」


剣士の胸ぐらを掴もうとするベリアルをハヤトは制止する。


「ふう、すまねえ、カッとなってしまって…それより俺は知ってしまったんだ…「勇者の秘密」をよ…」


「勇者の秘密??」

ベリアルとハヤトは剣士に聞く。


「ああ、これを見ろよ」

剣士はそう言うと古い包帯を取り出した。


「なっこれは!??」

包帯を取った剣士の腕には人間にはない緑色の小さな触手のようなものが呻いていた。


「あんた…ひょっとして…」

ベリアルは聞く。


「察しの通りだよ、俺も勇者…勇者が世界を救うなんて…全くの嘘っぱちだったんだ!」


すると緑の触手の動きが激しくなりだした。

「グアアァッ!!」

剣士はもがき出した。


「剣士さん!しっかり!!」

ハヤトは剣士の手をギュッと握る。


「ハァハァすまねえお嬢ちゃん、いや勇者さん」


「勇者…?」

ベリアルがハヤトをチラッと見て聞く。


「君の事だよ」

ハヤトは話を反らす。


「ああ、そうか」

ベリアルは納得したが話は全ては飲み込めないでいる。


「聞かれたくない事だったか、すまねえな無駄な気を使わせてしまって…」

剣士はハヤトに詫びる。


「ううん、気にしてないよ、貴方も魔王を退治しに来ていたのですか?」

ハヤトは剣士に聞く。


「ああ、ところで自己紹介まだだったな、俺はダンテ」


「僕はハヤト=ウズメ、ハヤトと呼んで」

「ベリアル=アスタロートだ」


パーティは自己紹介を交わした。


「そうさ、てかあんたらも魔王退治に?」

「まあな…」

ベリアルは応えた。


「そうか、それはそうとベリアルさん、あんたも気をつけな、あんたも闇に飲み込まれるとやがてモンスターに…ぐあっ、痛つつっ!」


ダンテの触手が疼く、心なしか少し広がっているように思える。


「今は安静にしといた方が良いんじゃ…」


「いや、もう俺はどのみち長くねえ…ならモンスターになっちまう前にお前らに話したい事があるんだ、最後まで聞いてくれ…」


ダンテは話を続けた。

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