嘆きのダンテ
ーーー数年前
ダンテはゴモーラ帝国に勇者として生まれた。
ダンテは勇者となるべく厳しく育てられた。、
しかし共にいた仲間がモンスターとなってしまう。
「なっ、ジライヤ!何があったんだ!」
ダンテはもがき苦しむジライヤが巨大な化物の姿になったのに戸惑いを隠せない。
「ダンテ!しっかりして!ジライヤを倒さないとこの街が…キャアっ!」
「ミルカ!」
共に戦っていた女勇者ミルカがモンスター化したジライヤの爪にやられる。
「ダンテ…私は置いても良いからここから逃げて!」
「馬鹿野郎!お前を放っておけるかよ!!」
ダンテはミルカを担ぎ、逃げ出したがその時ミルカの身体にも異変が起こる。
「ミルカ…?どうした!?」
ダンテの足の自由が効かなくなる。
なんとミルカまでもモンスター化し、ダンテの手足を伸びた髪で絡め取っていたのだ。
そして目の前にはモンスター化したジライヤ。
絶対絶命の危機である。
ジライヤはダンテとミルカを手で叩き潰そうとする。
そこで本能的に危機を感じ取ったダンテは究極魔法を唱える。
「フレアルテマ!!!」
ダンテの唱えた究極魔法はジライヤとミルカのみでなくゴモーラの街をも滅ぼしてしまった。
「そんな…俺は…なんて事を…!」
勇者である自分が自分の街を滅ぼしてしまうなんて…。
ダンテは自己嫌悪に陥る。
(そうか…勇者とモンスターは裏表一体…魔王現れし時勇者現ると聞く…、そうか、わかったぞ…勇者の秘密が…くっ、ふはははは…)
ダンテは笑い出した。
それは嬉しいから笑うのでは無い。
人は堪えようのない絶望に追い詰められた時、気が触れたかのように笑ってしまう。
ダンテは世界を救うはずの勇者が世界を滅ぼしうるモンスターになる事を知ってしまい、狂ったかのように笑った。
やがて笑い疲れたダンテは雨が降りしきる中、途方に暮れていた。
(勇者の秘密を知った以上…もう俺には夢も希望も無え…ミルカ…ジライヤ…俺もてめえらの所にいくよ…)
腕には包帯が巻かれているがその中には緑色に変色した腕に僅かな触手がグロテスクに蠢く。
(へ、包帯が巻かれているところが最近またピリピリしだしたと思ったがそう言う事か…)
ダンテはモンスターに襲われて傷だらけでもはや動けない。
ダンテは全てを諦め、このままのたれ死ぬか、モンスターになろうとしていた。
そして気を失ったところに、ベリアル達が助けに来たのだ。
ーーーダンテはまたももがき出す。
「早く逃げろ…逃げないとモンスター化した俺に…ぎゃあぁ!!」
ダンテの包帯がちぎれ体一面が巨大化し、原型を留めない魔物の姿に変貌する。
ダンテはモンスター化した。
「な…なんだ…?何で人間がモンスターに…?」
ベリアルは狼狽えるがダンテの言葉を思い出す。
(あんたも気をつけな、闇に飲まれたらやがてあんたもモンスターに…)
ベリアルは事実を知り気が動転しだす。
「嫌だ…俺はモンスターになりたくない…!」
「ベリアル!気をしっかり持って!今はこの人を倒すんだ!」
「「はぁーーー!!!」」
ベリアルにハヤト、猛る!
モンスター化したダンテはベリアル達によって介錯された。
ベリアル達はモンスター化したダンテを介錯するがその後ベリアルが恐怖で落ち着かなくなり寒くなっていく自分の体を抱きしめた。
「勇者がモンスターに…嫌だ、俺はモンスターになんかなりたくない…」
ベリアルの額から冷や汗が流れ、顔は青白い。
勇者がモンスターになってしまうのを知り恐怖しているのだ。
「ベリアル!!」
ハヤトが恐怖に震えるベリアルの体を強く抱きしめる。
「ベリアル、お前はモンスターになんかならない!信じろ!自分を信じるんだ!!」
しかし、そう言うハヤトも体を震わせている。
(ハヤト…お前はやがてモンスターになってしまう俺の事を心根では怖いと思っているのか…怖いと思いながらもそうやって励まそうとして…本当に良いやつだぜ、だが俺は…)
ベリアルは自分のみでなく、ハヤトも信じられなくなっていた。
「すまない、俺、お前の気持ちを知らずに…」
ベリアルはふと安堵したようにハヤトに言う。
「ベリアル、わかってくれたんだね!」
ハヤトはそう言いかけるがその直後首筋に衝撃が走り、ハヤトは気絶する。
ベリアルが掌底を浴びせハヤトを眠らせたのだ。
そしてベリアルは紙とペンを用意しこう書いた。
『愛するハヤトよ、俺はもう勇者としてのモチベーションを失ってしまった。俺はやがてモンスターになるだろう、そうするとハヤトの命も奪いかねない、ハヤト、お前は俺の愛するパートナーだ、だからこそお前には幸せになって欲しい、ハヤトよ、俺は空からずっとお前を見守っているぞ、ベリアル』




