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第四話「経過」

ダメだドク、(魔法が)当たらん。


さて諸君……諸君って誰だろう?

まあそれはいい、本題に入るが、私が転生してから三ヶ月程が過ぎようとしている。

これにより、 私は産まれてから一歳と数ヶ月になるようで、遂に歩けるようになった。

これで、移動に困ることもなくなったが…………なんだろう、親が外に出ろと五月蝿い。


それと、父親がちょくちょく帰って来るようにもなった。

名前は「ゲルマー」と云うらしく、ゲルマン人をとても意識した、覚えやすい名前となっていた。

彼は領主軍の百人隊長をしているそうで、その役職に相応しく筋骨隆々だった。


ーーーーーアドルフ・アラン・ヒトラー(仮名) 種蒔きの月、十四日。


「まあ、こんなものか。それにしても、何なんだろう、この「諸君」というのは……日記をつけるのは初めてだからな。しょうがない、しょうがない。」


アランは独り言をブツブツ言いながら、この前父親が買ってくれた日記ノートを閉じる。


ゲルマーも、アランが言語を理解していることに、最初は驚いていた。だが、エルダの話によって納得し、息子の異常なまでの発達に畏怖を感じながらも、本やらペンやらを買ってくれた。


この世界において紙はとても高価な代物、まして本なんて言うまでもないだろう。それを息子に買ってやることが出来るということは、それなりの給料を貰っており、則ち、その雇用主たる領主とやらは、貴族にしては結構な善人なのだろう。


「あ、忘れていたな、魔導の習得は最優先事項だった。」


アランはすっかり忘れてしまっていたが、彼が転生した少し後に、魔導入門なる本を家の本棚から発見していたのだ。

アランはいそいそと魔導入門を取り出し、それを開く。

……ここでこの本に書かれている前文を軽くまとめると、


・ 魔導とは、その生物の中に宿る「魔力」によって為される「魔法」をこの世界に発現する行為、又はその技術を指す。


・ 魔導には詠唱が必要。だが、大いなる主の加護を受けた者はその限りではなく、詠唱は必要としない。

・ 魔力は幼少期に魔法を沢山使用することで鍛えられる。


・ 魔法の基本属性は、火、水、風、土、の四つ。他にも、幻惑、重力、強化などがある。



ーーーーーこんなものだが、この前文の後に、各属性の魔法で最も簡単なものが載っていて、更にその後にも様々なことが載っているのだが…………それは割愛。


「うーむ、では先ずこの、火炎というのからやるか。」


アランは庭に出て、すぐさま詠唱を開始した。


「大いなる炎の精霊よ、我の欲するは燃え盛る炎なり。今一度その力を我に貸し与え給え……火炎‼︎」


彼が詠唱を終えると同時に、彼の手先から少し大きめの炎が発生。

地面を少しだけ焦げ付かせ、近くに燃え移るものがなかったのですぐに消えてしまった。


「おおっ! これが魔法か、そういえば使うのはこれが初めてだな。前文だけ読んで放置していたが、どんどんやろうではないか。」


だが、よくよく考えてみれば、これは些か危険ではなかろうか?

アランは思った。

確かにこれは凄いものだが、近所で騒ぎになってしまってはいけない。


もっと安全で、これと同じくらい簡単なものと言えば…………水、そうだ、水だ。


「次は水にするか。」


アランはそう呟くと、水の魔法のページを開いた。




諸君、私は魔法が好きだ。諸君、私は魔法が好きだ。 諸君! 私は魔法が好きだ!!

火魔法が好きだ。水魔法が好きだ。風魔法が好きだ。土魔法が好きだ。幻惑魔法が好きだ。重力魔法が好きだ。

迫り来る敵を水で流し、そこに岩を降らせて殺すのがすきだ。素人が何度も間違った詠唱をしているのを見ると、感動すら覚える。

私は思いっきりファンタジックな魔法を望む! 諸君はどうだね?

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