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第九話「アイツ、再び」

遅くて申し訳ございません。

 「ん? あぁ、今日だったか。」


 いつも通りの食事、いつも通りの魔法の練習をして、疲れたら寝る。

 これがアランの基本的な生活となっていた。

 だが、今日は一段と眠気が強い。こういう時は『アレ』の前兆なんだと、アランは前の世界などの経験に基づいて、知っていた。

 

 丁度よく外暗くなってきたので、さっさと寝ることにした。


 「……グーテナハト…………グゥ。」


 アランはベッドに入ると、すぐに眠ってしまった。

 その間わずか二秒、これはギネスブックに載ってもおかしくないくらいの速さである。


 



 

 「―――――おお、来たか。」


 アランが目を覚ますと、その眼前には黒の世界が広がり、更に手前で尊大な態度で座っているのは、もちろん〈アイツ〉だった。


 「それで、今日は何の用なんだ?」


 アランが椅子に腰かけながら問う。


 「いや、今日はちょっとした助言がな。」


 「助言だと? 私が貴様の助言など信じるとでも?」


 アランは〈アイツ〉を睨みつける。

 その瞬間、〈アイツ〉の表情には、少しだけ慌てた様子が見えた。


 「別に信じなくてもいいが、明日は一人で森に行った方が良い。」


 〈アイツ〉は何時に無く真剣な表情をアランに向けた。

 余程信じて貰いたいものと見える。


 「…………一応、話だけは聞こう。」


 アランの経験上、〈アイツ〉がこんなにも真剣な表情で助言を持ち掛けてきたのは、恐らくこれが初めてだ。

 なので、ほんの少しだけ、内容が気になったのだ。

 〈アイツ〉はアランが聞く姿勢に入ったのを見ると、口元にほんの少しだけ笑みを浮かべつつ口を開いた。

  いける! とでも思ったのだろう。

 

 

 「内容はいたって単純。明日、家の近くにある森へ行け。適当に歩いていると、お前はある場面に出会う。」


 「場面とはなんだ?」


 ………………乗ってやるか、仕方ない。


 「それは行ってからのお楽しみってやつだ。胡散臭いだろうが、行かないってんなら「行こう。」…………は?」


 「いや、行くと言ったのだ、行くと。」


 〈アイツ〉は目を丸くして、驚愕の表情を浮かべていた。

 まあそれも仕方のないことで、〈アイツ〉は絶対に一度は断られるだろうと踏んでいたのだ。

 更に、そうなったら、意地でも納得させてやろうという腹でもいた。

 

 「そ、それなら良かった。話が早くて助かる。」


 予想と違った返答に面を食らいつつ、〈アイツ〉は話を続ける。

 

 「あと、お前さんも薄々感づいてるとは思うが、身体の模様やら、領主の本贈呈は俺によるものだ。」


 〈アイツ〉の言う身体の模様とは、『主の加護』のアレの事であるが、アランとしても分かり切っていた事なので軽く受け流し、後は特に言うことは何もないので、さっさと目覚めることにした。


 「おっ、もう行くのか? まあいい、頑張ってこいよ…………。」


 

 

 ―――――〈アイツ〉と黒い世界が消え去り、アランの視界は例の如く真っ黒になった。



 

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