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ラビリンスエイジ ー賢者と歩く迷宮(ラビリンス)ー  作者: BAMBOOK
1章 ー迷宮と母の影ー
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第8階「謎と仮説」

意識を失った直後落ちるような感覚の後に地面に叩きつけられた俺は何事かと周りを見渡す。


「おぉ!迷宮主が帰ってきたのぉ!おかえりなのぉ!」


さっきぶりの梟が目の前で白い羽を羽ばたき滑空・着地する。


「なんだ?俺はまた迷宮に入ったのか?」

「ん?自覚ないのかぁ?迷宮主は突然空中から出てきてここに落ちてきたのぉ。」

「はぁ。」


全く記憶にない。俺は視界がブラックアウトするまで食堂にいたはずだそれがどうして俺の部屋のどこかに繋がっているはずの俺の迷宮に出てきたんだ?


「で、迷宮はどこにあったのぉ?やっぱりミーがペンダントを触ったら出来たからペンダントの中なのぉ?」

「いや、恐らく違う。今ペンダントは俺の部屋の中だ、俺は食堂にいて何かの拍子にまたここに来たんだ。」

「むぅ。ペンダントじゃないとするとどこなのぉ?…」


俺とミーはミーの元主である迷宮主の所有物であるらしいペンダントを触ってここに入ってきた。そして、そのペンダントは今寮にある。気を失うまで俺は4~500m程離れた所にある食堂にいた。普通に考えるならそこで何かの拍子にペンダントの中の迷宮に入ったと考えるべきか?


「…場所によってはミーが強くなるかならないかその必要の度合いが変わってくるの。なんか死が身近に感じて嫌なのぉ。さっさと決めてほしいのぉ。」

「なぁ、500m離れた場所にある迷宮の入口に転移する方法ってあるのか?」

「話が噛み合わないのぉ。」

「いいから。」

「はぁ、裏から表に幾分には近い事が出来ると思うのぉ。でもその逆だと魔力が皆無で物理法則が邪魔して多分無理だと思うのぉ。」


魔力と物理。また、相互関係が分からん単語が出てきた。今度システムに用語ヘルプのようなものがないか探さないと脳が混乱するな。


「そうか。それじゃあ食堂から寮のペンダント内の迷宮に入るのは不可能だとして今迷宮はどこにあって、この現象が起こった原因は何なんだ?」


考える。今迷宮の出口から出てもいいが、それでまた急に意識が飛んで迷宮内に飛ばされるか分かんないんじゃ普通に生活が出来ない。とりあえず原因の糸口だけでも見つけなければ。


「あ、そういえばぁ。迷宮主が落ちてくる直前にキーンっていう迷宮戦争が始まるような音がしたけど迷宮主、迷宮にでも入ったのぉ?」

「俺が迷宮に入った?そんな馬鹿な。だから俺は、食堂に…」


ん?ちょっと待てよ?


そんな時、俺は今日の朝のヤマトさんとの会話を思い出す。


『リョーマがこれから通う学校ならそういった知識面からヒノクニで唯一の“迷宮を所有する”学校だからできる実践的な面まで幅広くリョーマがこれから探索者をする道標になる重要なことを学べる。』


“迷宮を所有する学校”


その時俺は何かが閃きそうになる。昔ヤマトさんの冒険話を聞いていてヤマトさん達とは別のモンスターの攻略法を閃いた時のようなそんな空中分解されたパズルのピースが次々と合わさっていくような感覚を取りこぼさぬ様俺は無意識に深い思考状態へ入っていく。


リョーマは軽く深呼吸をし、右手で大きく指を鳴らす。


ピシィィッッッーーー


指を鳴らす音が耳の近くで木霊するような今までに無い長く深い思考状態に入ったリョーマは一つの仮説を創り出す。


「なぁ、ミー。」

「何なのぉ?」

「迷宮の入口って基本的にどこに出来るだ?」

「んん?どこにって基本何処にでもできる可能性はあると思うのぉ。ある程度体積があってそこに侵入者が侵入可能な空洞があれば。」

「じゃあ、もし仮に仮にだぞ?迷宮の入口に生物がいたとして、そこに迷宮の入口が重なって生物の体内に迷宮が出来るって事は有り得るか?」

「ちょっと待つのぉ。それってもしかして…」


それを最後にミーは汗を流しながら考え始めている様だった。何度も首を回しては振り、回しては振って必死に可能性を検討しているようだった。そして一言、


「迷宮は人が多い場所だと入口を作る時、極端にポイントが高くなるのぉ。確率は極々低いけど周りに殆ど人がいない密閉空間に迷宮の入口を作ることは“有り得る”のぉ」


そう、この時俺とミーは1つの同じ仮説をたてていた。

俺とミーがペンダントを触れ、迷宮に入った時に周りに置いてあったものと迷宮から脱出し、そのまま食堂に向かった時にあったもので共通する“モノ”は…



『俺自身』だった。

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