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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

僕の大事な"モノ"

僕の大事な大事な存在

作者: 赤間カル

シリーズ三作目です!

四作目までで、取り敢えず次のはもう既に考えております!

出来ましたら是非に読んでみてくださいな(*´˘`*)♡

小学校一年生、僕は交通事故に遭った。車に跳ねられ、幸い命に別状はなかった。けれど、僕はその日、耳を失った。

聞こえなくなったのだ。

ああ、これでどうやって聞き分けるんだよ、どうやって声を聞くんだよ。

その日からずっと、毎晩泣いた。泣いて泣いて、涙が枯れるほど、ずっと。

ある日、クラスで一人浮いている僕の肩にそっと、手を置かれた。振り向くと、手話で、

「一緒に遊ぼうぜ」と誘ってくれた奴がいたんだ。そいつが、一番最初の出会い。

付いていくと、校庭では残り二人がサッカーボールで遊んでいた。

二人は僕に気づき、笑顔で接してくれて、普通の男として接してくれて、「友達になろう」とも言ってくれたんだ。

その日は嬉しくて泣いた。泣いて泣いて、三人には迷惑をかけたけれど、先生に呼び出しをくらった時でさえ、一緒だった。僕は耳が聞こえないから、手話で三人は説明してくれた。

笑った。

その日、耳を失って初めて笑いあった。


その日から僕ら四人は一緒に遊び始めた、サッカーをしたり、公園の遊具で無邪気に遊んだり。

とても楽しかった。

耳が聞こえずとも、笑い合って、声を出して笑い合えて、気持ちが良かった。とても、爽やかな気持ちになった。

こんな奴なんだ、とか。

こんなこと思うんだ、とか。

耳が聞こえずとも分かって、友達ってこんなに大切でいい存在なんだなって初めて思った。

それまで自分を恨み続けていたのに、自分が好きになったみたいに。


それからずっと、クラスも一緒で、一緒に下校をして、帰り道寄り道とかしたりして、親に怒られて、けど、怒られる時だって褒められる時だって、いつも一緒だったんだ。

三人で帰って、一緒にご飯食ったりとか、

二人で帰って、のんびりしたりとか。

一人では、何も出来なかった。

そんな日常を送って、僕は幸せだった。


ある日、僕は町の路地に居た。

狭い道だ。

暗くて、薄暗くて、なんにもなくて。

そこに、光が指した、何の変哲もない場所から、光が降りて来たんだ。

ああ、こんななんにもない所(僕)にも、手を差し伸べてくれつ奴がいるんだ。

そう思って、手を伸ばした。


ある日、三人のうちの一番仲がいいやつから呼び出しがあった。

目的地へと急いで、周りを見渡すも、何も無いし誰の姿形もない。

ーーーー✕✕?どうしたんだよ、おい!!

呼びかけすら応じない。

本当に彼が僕を呼んだのだろうか?

そんな不安が募る。

僕は、無意識に前へと吹き出した。

前へ、前へと、ーーーーあれ、これって道路だよね。え・・・・・・は、ちょっと。なんで、僕道路なんかに・・・・・・。

気づいた時には、

ーーーー遅かった。


〈今日未明、✕✕市内にてトラックとの衝突によるものか、死体が発見されました。トラックは横転し、炎上しています。死体はすぐさま運ばれ、炎が燃え移ることはありませんでした。なお、警察は交通事故と処理をしーーーーーーーー〉


目を開けると、自宅にいた。

体が軽く、何だかふわふわとしていた。

窓を開け、外を眺める。

ーーーー別に違和感など覚えなかった。普通の住宅地だ。

外へ出よう。そしてあいつらに逢うんだ。

二人の元へ急ごう。

少し早足で、僕は玄関を出た。

ーーーーあれ、何処だ?ここーーーー

花の咲く野っ原が僕を出迎える。さっき見たら住宅地だったのに。なんで?

とりあえず歩みを進め、行くと、川が見えた。とても透き通る綺麗な川だ。

蓮の花が浮いている。

こんな場所、見た事無い。

すると、向こう岸から手を振っている人影が見えた。

「おーい!久しぶりだなぁ!」

ーーーー誰だアイツ。

その隣にまた一人いた。

「おい!✕✕じゃねーか!一緒にサッカーやろうぜ!」

ああ、なんだあいつか。

僕は浅い川を渡った。

「あれ、誰も居ない?」

見る見るうちに、青ざめていくのを覚え、後ろを振り向くと・・・・・・。

「渡れないーーーー帰れない・・・・・・?あ、ああ。

ああああああああああああああああああああああーーー!!!!」



ああ、可哀想に。

待っていてね、次こそ僕が迎えに行くよ!

ああ、交通事故なんて、耳を失って、三度目に君を失うなんて。

「ーーーー僕は最低な人間だな。」

土砂降りの雨が降り注ぐ中、道端に一人、途方に暮れている男がいた。

雨の雫が頬を伝うのか、それとも自分の涙の雫が伝うのか、今の時分には知る術はなかった。

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