始まりの剣
少年の望んだ出会いは叶わない。
少女の剣は怖い。
「待てやぁぁぁ!!!」
「待つかぁぁぁ!!!」
二十分間これだ。走ることにいい加減、嫌気が差してきた。それにしても相手が鬱陶しいほど追いかけてくる。僕には特殊能力か何かがあってそれを狙いに来ているんだ! と思いたかったが、さっきのぶつかったことに対する怨恨だろう。
それにしてもあのお兄さんはいつまで追っかけてくるのだろう。執念深すぎる。
「お前のせいでぇぇぇぇぇ!!!」「すみませんでしたぁぁぁぁぁ!!!」
怒られた、謝った、次は?
「許すかぁぁぁぁぁ!!!」「ですよねぇぇぇぇぇ!!!」
実はこのやり取りは一回目じゃない、十回目だ。執念深さが伝わったかな? 夕日が綺麗だと思って一瞬気を抜くと、その時を待ってたかのように加速してくる。そして、さっきのようにやり取りが始まる。流石にこれを何度もやり続けると気が滅入る。
「……ちょっと、待ったぁー!!」
そんなただひたすら追いかけっこするだけのマンネリ化した現場に明瞭な声が響いた。
その声は、聞き覚えがある声だ。
その声は、さっき見かけた制服の女子のものだった。
その声は……えっと、んーと……他には無いな。
……取り敢えずだ。さっき逃がしたはずの女子が立っていた。
「さっきの恩返しだ! そいつを吹き飛ばしてやる!」
そう言うと、さっきは持っていなかった大きな袋から竹刀を取り出し構えると、言った。
「白守式操剣術 真実の死!」
相手は彼女の宣言通り、吹っ飛んで気絶した。
話が徐々にそれてる感覚があります。